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【PCゲームグッズLab.】
ロジクール初の左手ゲーミングキーボード「G-13」

「G-13」

発売中

価格:オープンプライス



 ロジクールから、フルカスタマイズ可能な片手ゲーミングキーボード「G-13」が発売された。価格はオープンプライスで、実売価格は9,980円前後だ。今回、本製品を入手したので、試用レポートをお届けする。

 本製品は、左手で操作することを前提としたキーボードで、片手にキーボード、片手にマウスを利用することが多いユーザーを対象とした製品だ。特に、マウスを片手に照準を定め、キーボードで移動を行なうFPSやRTS、MMORPGなどには最適とされている。

●フィーリングが良いキータッチ

初回起動時にチュートリアルが表示される

 パッケージ内容は、ドライバCD、ユーザーズガイド、保証書、それと本体と至ってシンプル。ユーザーズガイドには詳細が記されておらず、ドライバをインストール直後に表示されるチュートリアルで機能を学べる。このチュートリアルが秀逸で、言葉は一切用いていないものの、図とアニメーションだけで表現しているため、初心者でもわかりやすい。

 本体のデザインは一見シンメトリデザインを採用し、どちらの手でも利用できるようにみえるが、本体右側に8方向ジョイスティックを備えていることからもわかるように、左手用に設計されている。手前にパームレスト、奥に液晶パネルを備えるため、奥行きはかなりある。机の上に置くとかなりのスペースを占有するが、これは多機能とのトレードオフだろう。利用するときはメインのキーボードをどこかにしまっておくほうがいいかもしれない。

 キーは一般的なメンブレン式だが、これまで試したロジクール製キーボードの中でもフィーリングが良い。配置は上から2段が7キー、3段目が5キー、4段目が3キー。また、ジョイスティックの左側上下にクリック感が高いボタンを2個配置している。また、液晶下部にプログラム切換用ボタン、「GamePanel」操作ボタン、バックライトON/OFFボタン、マクロ切り替えボタンなどを備えている。

製品パッケージ パッケージ内容。ドライバCD、保証書と至ってシンプル
本体右側面。なだらかなフォルムが目につく 本体左側面

 ジョイスティックは親指で操作を行なうようになっている。配置はよく、使い勝手がいい。RTSでは画面移動、MMORPGではカメラ操作などに便利だ。しかしFPSなどは、一般的なキーボードの置き換えとして、G4/G11/G12/G13キーで移動、G22キーでジャンプする操作を行なうユーザーが大半だと思われる。そのためこのジョイスティックにどれだけ価値を見出せるかが問題かもしれない。

 またジョイスティックはスイッチ式で、ほかのキーと同様、キー入力やマクロなどを割り当て可能になっている。いっそのことアナログスティックなら、移動の速さなどを調節できるのでそれなりの価値はあったのだろうが、「形の変わったキー」でしかないと思うと物足りない。

 メインキー部分は手の形に沿ってなだらかなカーブを描いている。または、G4/G10/G11/G12キーには窪みがあり、キートップを見なくともホームポジションにつけられる。本体の高さも妥当につけられており、手の大小に関わらず快適に操作できる印象だ。

ジョイスティックは親指で操作するときのベストポジションにある G4/G10/G11/G12キーには窪みがありホームポジションにつきやすい
普段目につかない本体底面にもしっかりデザインが施されている パームレストは滑り止めラバーつきで滑らない

 独自の液晶「GamePanel」はフルカラーバックライト付きのタイプで、見やすい。標準では黒地にカラー文字を乗せた表示だが、これはソフトウェア上から反転表示が可能だ。コントラストは高く、いずれの角度からでも見やすい。後述するが、キーのバックライトと液晶のバックライトは共通しており、ソフトウェア上からカスタマイズ可能だ。 パームレストは滑り止めラバーがついており、手に汗をかくことの多いユーザーでも滑ることはないだろう。

 ハードウェア面で使っていて気になったのは、メインキーの配列だ。いわゆるFPS系のゲームだと、G22キーにジャンプ(通常のキーボードで言うところのスペース)を割り当てることになると思うが、このG22がやや中心寄りであり、一般的な日本語109キーボードで言うところの「無変換キー」あたりにある。

 英語キーボードに慣れていて、スペースバーの左のほうを押す習慣がついたユーザーなら問題ないだろうが、日本語キーボードを使ってきたユーザーからすればやや窮屈な指配置だ。ジョイスティック横のG23キーを使えば済むのだが、このボタンはほかのキーとはクリック感が異なる。やはりG22の横に通常のキーが欲しいところだ。

スペースバーに相当するG22がやや中央寄りである この指のポジションを維持したまま、日本語キーボードに移すと、無変換キーに相当することがわかる。やや窮屈だ

 また、付属のソフトウェアを一切インストールしない環境では、G-13は何1つ機能しないということをあらかじめ断っておこう。後述するソフトウェアによってプロファイルを読み込み、本体内のオンボードメモリに保存したとしても、専用ソフトウェア無しの別の環境では一切機能しない。このあたりは、とりあえずUSBキーボードとして動く同社のゲーミングキーボード「G-15」や、ドライバレスでもマクロ動作を再現できるゲーミングマウス「G-9」などとは異なる。そのため、LANパーティーに本製品だけを持参してプレイすると言ったことはできず、ソフトウェアのインストールという一手間がかかる。

 さらに、ソフトウェアによる機能実現の欠点として、アンチチート技術が導入されたゲームでは、本製品はまったく機能しなくなることがあるということだ。実際にオンラインRPG「ファイナルファンタジーXI」で試したところ、マクロはおろか、移動などの基本操作もすべて機能しなかった。こういったゲームで利用したいと考えているユーザーは注意したほうがいいだろう。

●キーとGamePanelは別々に設定

 本体の設定は、キー割り当てに「G-Series キー プロファイラ」、GamePanelの設定に「LCD Manager」を利用する。いずれもタスクトレイに常駐されており、簡単にアクセスできる。

 キー プロファイラでは、キーセットごとの各キーへの機能割り当て、マクロの記録/編集、キーセットごとのバックライトの色などを設定できる。キーのセットは最大3つまで保存可能だ。セットの切り替えはM1~M3キーで切り替えられる。

 なお、G13はあらかじめいくつかのゲームのプロファイルを保持している。試しにアサシンクリードがインストールされたマシンに接続したところ、自動的にゲームのプロファイルを読み込み、キー割り当てが行なわれた。

 また、ウィンドウ左下の赤い人の形をしたアイコンでは、プロファイルの管理が行なえ、本体に最大5つまでのプロファイルを保存できるようになっている。保存したプロファイルはユーザーが設定したホットキーで切り替え可能だ。デフォルトでは無効になっているが、設定→プロファイラのプロファイルタブで、「プロファイル サイクルを有効にする」にチェックをつけホットキーを割り当てることで有効になる。

G-Series キー プロファイラーの設定画面 インストールされているゲームを自動的に検出し、対応ゲームであれば自動的にドライバが持つプロファイルが呼び出される プロファイルは最大5つまでを本体内に保存できる

 機能の割り当ては一般的なキー入力のほか、一連のキー操作を記録したマクロ、アプリケーションのショートカットなどに加えて、テキストブロックとスクリプトを割り当てられるようになっている。

 マクロに関してはこれまでも何度か取り上げているので詳しくは紹介しないが、キー押下/リリースや遅延時間などの詳細を記録できるのは従来まで通り。マクロには名前をつけることができ、実行時にGamePanelに表示できる仕組みになっている(表示しない設定にもできる)。

 また、マクロを割り当てたときに、押したら1回だけマクロを実行するのか、次に押されるまでマクロを繰り返すのか、それとも押している間だけマクロを繰り返すのかなどを設定できるのもG-9と同様だ。

 マクロ機能には、「クイックマクロ」と呼ばれる機能もついている。「MR」キーを押すと、液晶にマクロの登録手順が表示されるので、指示通りに操作することでそのキーに一時的にマクロを割り当てることができる。「ゲームプレイ中でないとキーのタイミングがつかめない」などの理由で、GUIで設定できないときは重宝するだろう。

マクロの記録画面。キーの遅延も記録可能だ 「MR」キーを押すと、ウィザードが表示され、それに従って操作すれば一連の操作をマクロに記録できる

 「テキスト ブロックを割り当てる」は、あらかじめ入力した定型文をアプリケーションに転送する機能だ。デフォルトでは英語にしか対応していないが、下部にある「ユニコード再生を使用する」にチェックをつけることで日本語も利用できた。具体的にどういう仕組みで実現されているのか不明なので、どのゲームタイトルで有効になるのかはわからないが、メモ帳などのアプリケーションは問題なかった。オンラインRPGなどでは、すでに短縮形の表現が多用されるので、出番は多くなさそうだ。むしろメールソフトなどで定型の挨拶などをワンタッチで行なえて便利だろう。

 一方「スクリプトの割り当て」は、簡易プログラミング言語「Lua」のスクリプトを実行できる。Luaを採用しているソフトウェアとして、FPSゲーム「Crysis」やMMORPG「ラグナロクオンライン」、「World of Warcraft」などがあるようだが、ここでは深く掘り下げない。

「テキスト ブロックを割り当てる」の設定画面。ユニコードを利用すれば日本語も可能だ。しかしATOK 2009においては再生時に勝手に日本語入力モードがONになり、再変換されるという問題があった。MS-IMEでは問題ない Luaスクリプトの編集画面。Luaスクリプトについては本家Webサイトを参照されたい
バックライトの色は16万色の中から自由に選べる。ここで色をマウスで選択するとリアルタイムに色が変わって面白い

 目新しい機能としては、M1~M3のセットごとにバックライトの色を変更できることが挙げられる。キーのバックライトだけでなく、液晶のバックライト色も変わるので、色を覚えておけばどのセットが有効になっているのか、すぐに見分けられるのはよい。

セットごとにバックライトを変えてみたところ

●GamePanelの機能は従来どおり

GamePanelを設定する「LCD Manager」。バージョンこそG-15付属の3.0に向上したが、目新しい機能はない

 一方、もう1つの目玉機能であるGamePanelだが、これは従来のG-15の機能をそのまま引き継いでいる。標準で時計表示やメール着信表示、CPUやメモリの使用率、カウントダウンタイマー、ストップウォッチなどの機能を備えている。

 また、Windows VistaからはSideShowデバイスとして認識され、一部のSideShowガジェットが利用できる仕組みとなっている。

 GamePanel自体の仕様はG-15から変わっていないため、G-15との併用が可能だ。G-15を接続するとソフトウェアからは2つ見える仕組みで、それぞれに違うガジェットを割り当てて使うことも可能だ。

 ただし、G-15に搭載されているバックライトの輝度およびコントラスト調節機能については機能せず、該当設定のスライダーがグレーアウトしている。もっとも、G-13はデフォルトで十分に視認性が高いので、わざわざ設定する必要はないとも言える。

 さらに、対応ゲームではゲーム中のステータスを表示できる。ただし、これらの情報はゲーム中でも確認できるため、わざわざGamePanelで情報を確認する必要性が薄い。やはりゲーム中の時計表示やメール着信確認といった用途のほうが、本来の想定されている使い方と言えよう。

時計とカレンダー表示。ゲーム中に時間を忘れてしまうことを防げそうだ CPUとRAMの利用状況表示。ちゃんとCPUコア分のグラフを表示してくれる
POP3監視ツール。メーラーを起動しなくても定期的にメールをとってくれるので便利だ。ここで簡単にタイトルなどをチェックできる 現在再生中のメディア情報を取得する機能。 カウントダウンタイマーとストップウォッチ。カウンドダウンはあらかじめソフトで時間を指定しておく必要がある

●高機能に価値を見出せるかどうかがポイント

 以上、G-13を見てきたが、左手専用キーボードとしては非常に多機能であり、本来謳われているゲーム用途のみならず、マルチメディアからビジネス用途などでも幅広く活用できる製品だといえる。

 しかしゲーム用途のみに絞ってみると、高機能が故の高価格が導入のネックとなるだろう。本来、ゲーミング左手キーボードは入力が快適で、長時間利用しても疲れないためなどを目的に導入するためのものなので、余計な機能は不要というユーザーも多いだろう。ロジクールの安心感やGamePanelなどの機能、テキストボックスやLuaスクリプトの実行など、独自機能に魅力を感じるなら、導入を検討してみてはいかがだろうか。

□ロジクールのホームページ
http://www.logicool.co.jp/
□製品情報
http://www.logicool.co.jp/index.cfm/gaming/pc_gaming/mice_keyboards/devices/5123&cl=jp,ja
□関連記事
【1月7日】ロジクール、LCD搭載の左手専用ゲーミングキーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0107/logicool.htm
【2007年8月24日】【PCゲームグッズLab.】マクロキーと液晶を装備したロジクール「G15 Gaming Keyboard」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0824/gamelab02.htm

(2009年2月12日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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