前回、ネットブックとBluetoothでヘッドセットの組合せ3パターンご紹介した。もともとはSkypeで快適なヘッドセットのハズだったのに、ついつい調子に乗ってしまい結果的には音の良いヘッドセットを選んでしまう大暴走。そして今回は、その暴走ついでに音つながりでBluetoothに対応したスピーカーを探すことになった。Skypeスタートで、結局スピーカーとは思考回路的にどうなのと言う気もするが、お付き合い願いたい。 ●ネットブックで外部スピーカー ネットブックは一応ステレオスピーカーを内蔵していると言ってもオマケ程度でしかなく、音質がイマイチで音量も不足気味。下手にボリュームを上げると歪んだりと、そのままでは快適な音ライフは望めない。しかし、普通にヘッドフォン端子から小型スピーカーを接続したり、USB経由でUSBオーディオ的なものを使うと、どうしても別途ケーブルが必要になり美しくないのだ。そこでBluetoothに対応したスピーカーの登場となる。Bluetoothならワイヤレスは当然のこと、スピーカー本体がバッテリ駆動可能な機種であれば、スピーカー側もケーブルレス。正に気持ちいい組合せとなる。 以上の理由から、選ぶ基準は「バッテリ駆動ができること」と「ある程度音が良さそうなもの」のこの2点。もちろんAC駆動やUSB端子を電源とするのも緊急用として欲しいところ。まず予算1万円未満で該当する機種を検索してみた。 ●BIT-STB2825B 「Bluetooth スピーカー」をキーワードに調査したところ、まず目に止まったのは「BIT-STB2825B」。価格は8,800円(Amazon調べ)。ルックスはご覧のように円柱形で可愛い。ネットでの評判も良いようだ。この型番はブラックモデルだが、さらに2,000円安い値段でレッドとシルバーのモデルもある。少し形が違う「BIT-STB2819」や「BIT-STB2820」があったりと、なかなか面白いラインナップだ。仕様は「Bluetooth標準規格Ver.2.0+EDR」、「A2DP/AVRCP/HFP/HSPワンセグ音声SCMS-T対応」、そしてバッテリは「内蔵リチウムイオン電池」。筆者の要求にピッタリ! また、勘のいい方ならお解りだとは思うが、このBIT-STB2825Bはマイクも内蔵している。従ってBluetoothのプロファイル「AVRCP/HFP/HSP」もOKなのだ。 ものが届いて眺めてみると、これがなかなかよく出来ている。両サイドに直径24mmのスピーカーが配置され出力は2W×2、そして左側のリングは電源ON/OFFのスイッチを兼ね、右側のリングはLEDがピカピカ光るインジケーターとなっている。充電中は「赤」、充電完了は「緑」、ペアリングモード中は「赤・青の点滅」、ペアリング完了は「青の点滅」と、色で状態が解るのだ。中央には音量用の[-][+]と再生|停止/ペアリングの[>||]ボタン、そして小さいマイクが付いている。電源ON/OFF時に「ピポ!」と音がするのも愛きょうがある。 早速USB経由で充電しながら音を聞いてみると、これが予想外に(失礼)よく鳴る。もちろんユニットの口径が小さいので低音はそこそこなのだが、バランス的には悪くない。自然な感じで、ボーカルは前に出る。当初「まぁ鳴ればいいかな」程度でしか思っていなかったこともあり、かなり驚いてしまった。セッティングのコツとしては、コーナーに配置すると壁などがホーンの換わりになり、低音のボリューム感が増す。気になるバッテリ駆動時間は、音量にもよると思うが、半日程度聞いていたところまだまだ行けそうな感じだった。筆者お勧めのBluetoothスピーカーだ。
●YAMAHA NX-B02B 1つ目が大当たりを引いたので気を良くした筆者は、もう少し上のモデルを狙うことに。予算は2万円前後。この条件で探すと最もポピュラーなのは、「ロジクール Pure-Fi Mobile(PF-700)」となる。しかしこれでは何となく面白くないので、更に探すと、ヤマハの「NX-B02」を発見した。写真から普通のスピーカーに見えたので、「2本セットのペアなのかな」と思っていたが、どうやら間違い。箱の左右に直径4.5cmスピーカーを内蔵している。先のBIT-STB2825Bは円柱の両サイドだっただけに、このタイプが流行っているのかと勘違いしそうである。サイズは84×84×170mm(幅×奥行き×高さ)の0.6kg。写真からは大きそうに見えるのだが、意外とコンパクトだ。瞬間最大出力は10W×2。単三電池4本でバッテリ駆動にも対応する。値段は24,800円(ヨドバシ調べ)。考えていた価格より少し上で予算オーバー気味であるが、大昔、YAMAHA NS-10Mを愛用していたよしみで買ってしまった。 仕様は、「Bluetooth標準規格Ver.2.0+EDR」、「A2DP ワンセグ音声SCMS-T対応」。カラーバリエーションは「ブラック」「ホワイト」「レッド」と3種類ある。外装が「光沢のピアノ調仕上げ」や、独自技術「ツインSR-Bass」と新開発の大口径ドライバーによってサイズを超えた迫力の高音質などが特徴と同社のWebに載っている。これはなかなか期待できそうだ。 ACアダプタを使って電源ON、ペアリングなどはいつもの手順で特にマニュアルは読まなくても簡単に完了した。外観もヤマハならではのピアノブラックで綺麗だ。期待の音は……「ある意味普通」。これはNX-B02の音が悪いと言っているのではなく、ヤマハでこの値段なら価格相応の音質だろう。もちろんBIT-STB2825Bとはレンジや低音など全く比較にならないほど良いものの感動する程では無かった。用途としては小さいので持ち運べなくも無いが、どちらかと言えば、AC駆動で例えば本棚とか、ネットブックより少し離れた場所に据え置きする感じだろうか。 ●しまった! Aspire oneにはBluetoothが無い さて、ここで予定していたBluetoothでスピーカーネタは終わりなのだが、筆者はEee PC 901-Xだけでなく、もう1台ネットブックを持っている。AcerのAspire oneだ。HDDを搭載したネットブックの使い勝手はどうなのか試したかったので入手した。 ところがAspire oneはBluetooth非搭載。せっかくBluetoothでヘッドセットやスピーカーが楽しめるのに、Eee PC 901-Xだけだと面白くない。USBタイプのBluetoothアダプタを用意することに決めた。秋葉原で探してみると、パッケージに入ったメーカー製の物が2,000円以下、ビニール袋にUSBのアダプタだけ入って売られているものだと1,000円以下である。とりあえず動きそうなことを優先してプリンストンの「USB Bluetoothアダプタ」を購入した。Windows 2000/XP/Vista、Mac OS X 10.4.7以降に対応し、Bluetooth標準規格Ver.2.1+EDR Class 1、東芝のBluetoothスタックがCD-ROMに入っている。
ちなみに、Bluetooth標準規格Ver.2.0とVer.2.1の違いは「消費電力」。Ver.2.1の方が少なく、パッケージには最大5倍長持ちとある。Class 1とClass 2は「通信距離」の違いだ。前者は最大100m、後者は最大10mとなる。Eee PC 901-XはVer.2.0でClass 2。このUSBアダプタの方が性能的には上となる。 ドライバのインストールや操作パネルなどは、画面キャプチャを参考にして欲しいが、無事、Aspire oneでもBluetoothが使えるようになり、快適にスピーカーが鳴っている。この程度のサイズであれば常設でも問題無いだろう。Eee PC 901-Xでヘッドセットを使った時、まれにプチプチ音切れしたのだが、このアダプタでは今のところ発生していない。Class 1の効果だろうか。また、全体的な操作性は、この東芝版のBluetoothスタックの方が使い易い。唯一の欠点は、USBポートの場所を変えると、再度セットアップしなければならないこと。この点だけは何とかして欲しい。
調べてみると、コスト的な問題なのかネットブックでBluetooth非搭載のモデルは意外と多い。これでは前回と今回の大前提が崩れてしまうので、USBタイプのBluetoothアダプタは「ネットブック生活研究所」の必需品になるかも知れない。後の記事でまた使うことになる可能性もあるので、是非用意を! 2回にわたってネットブックとBluetoothで”音”編をお届けした。筆者としては、人がPCとやり取りするのに、ディスプレイ、キーボード、マウスと同列で音が重要なデバイスだと思っているだけに、ヘッドセットからはじまってスピーカーまで試せたのは、かなり有意義だった。ケーブルレスは一度味をしめてしまうともう元には戻れない。これまであまりBluetoothに興味の無かった方もチャレンジしては如何だろうか。 □関連記事 (2008年11月28日) [Reported by 本城網彦]
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