ブレッドボードを持ち歩こう




 我々は時々、ブレッドボードを持ち歩いています。そして、出先で回路を動かしたり、部品を試したりしています。

 ブレッドボードをモバイルで使っているわけですが、これは一見、なにか酔狂な行為に思えます。しかし実際には、役立ち、楽しめさえします。

ブレッドボード上に組み立てた回路を屋外で使ってみました。外でブレッドボードを使うのは風変わりな行為に見えますが、実はさまざまな良さがあります

 例えば、できあがった回路を仲間に見せて意見・評価をもらい、その場で回路の一部を変更して試すことができます。新しく手に入れた部品をすぐにテストするのも楽しい行為です。時には、まだブレッドボードを体験していない人に、ある種のプレゼンテーションを行なう時にも役立ちます。

 以降に、ブレッドボードを持ち歩くためのいくつかのアイデアをまとめてみます。なお、これらは、我々が実際に行なっている方法です。

 まずはミントキャンディのブリキ缶を使う方法です。缶のなかに秋月電子通商のブレッドボード「EIC-301」を入れました。

ALTOIDSの缶は、外形寸法が約96×62×21mmのブリキ缶です。日本でも入手しやすいお菓子です。製造元は“Tin Million Usesコンテスト”を行なうなど、ALTOIDS缶のお菓子容器以外の利用方法も訴求しているようです
秋月電子通商のEIC-301は、ALTOIDS缶にぴったり入ります。背の低い部品で構成された回路なら、ブレッドボードごと缶に収まります
左上はユニバーサル基板上に作ったヘッドホンアンプ(および電源)をALTOIDS缶に収めたものです。携帯用ヘッドホンアンプとして使用できるよう加工してあります。右下は、前回作ったヘッドホンアンプを収めたものですが、缶に収まるように、一部のコンデンサを背の低いものに変更しています
回路をブレッドボードごと持ち出せば、一応、実用的な利用もできます。屋外で楽しむブレッドボーディングや回路の利用は、室内とはひと味違う楽しさがあります
日本で入手できるALTOIDS缶はこの4種類のようです。輸入食品を扱う店舗のほか、ネット通販でも購入できます。ネット通販ショップとしては、例えばワールドプラザがあります

 上の写真では、ブレッドボードやその上の回路を持ち運ぶために容器を使っているだけですが、もう少しツール性の高い使い方もあります。例えば、ブレッドボードやパーツ一式を収めて、出先でアイデアのテストや実験を行なえるようにした“ボーディング・キット”です。

 我々がよく使う部品のひとつに、National Semiconductor「LMC555」があります。古くからあるタイマーICで、機能的にはシンプルながらも、工夫次第でいろいろな動作を実現できる興味深いチップです。

 そんなLMC555について考えを巡らせていると、時々「こんなことはできないか?」というアイデアを思いつき、それをすぐに試してみたくなります。そういったシチュエーションに、場所を問わずに使えるボーディング・キットがあると大いに楽しめます。

ALTOIDS缶のフタの部分にブレッドボードを貼り付けたボーディング・キットです。缶の内部には部品を保持しておくための導電性ウレタンフォームを貼っています。なお、左上に見える紙はLMC555を使った無安定マルチバイブレーターの回路図で、これも缶の中に収めています
ボーディング・キットの利便性を高めるために、電源および電源スイッチを組み込んでいます。缶の穴開け加工はリーマーを使う作業で、ブレッドボーディングに比べると少々面倒ですが、キットの使いやすさが向上します。ただし、この加工を行なう場合は、電源(+-極)のショートに十分注意してください

 ALTOIDS缶だけではありきたりですので、ほかの例も見ていきましょう。ここで使っているブレッドボードも上記と同じEIC-301です。

100円ショップで購入した汎用のピルケースです
開くと、5つのパーティションが使えます。いちばん大きな収納部には、EIC-301がピッタリと入りました。なお、各収納部の文字は、購入後にインスタントレタリングを貼りました
収納部のフタが外せるので、このように出先で回路を組み立てることができます。ただし、ブレッドボード上に背の高い部品がある場合、フタを閉じることはできません
ジュエリーや時計向けのアルミ製小物入れです。東急ハンズで購入しました
このように、部品とブレッドボードを収納できました。なお、この写真に写っている超小型のカラーブレッドボードの入手先・入手方法は、次回でご紹介する予定です
京都のおみやげ店で購入した和菓子の箱に、和紙を貼り付けて作った和風ボーディング・キットです
EIC-301がちょうど入りました。少し工夫すれば電池ボックスが入るかも知れません
ブレッドボードや部品を入れるケースにこだわれば、出先や屋外でのボーディングがよりいっそう楽しいものになるでしょう

 最後に、室内で便利なブレッドボード向けケースを少しご紹介します。

 何度もブレッドボーディングをしていると、「後で使うからこのまま保存しておこう」と思える回路がいくつか出てきます。ブレッドボード上にやや規模の大きな回路を組み立てたとか、試行錯誤の結果に十分巧く動く回路ができた、という場合です。

 そういった回路を分解し、後でまた組み立て直すのは面倒です。また、うまく動いた回路は、後に部品の定数や回路パターンを考えるための“良いサンプル”として役立ちます。そんな理由から、ブレッドボード上に組んだ状態のまま保存しておきたい回路が増えてくるわけです。

 我々のメンバーも数個~十数個、回路組み立て済みのブレッドボードを保存しています。しかし、以前はその保存に苦労していました。本のように重ねての保存ができませんし、引き出しに入れると意外なほど場所を取ってしまいます。そこで、現在は下の写真のような収納グッズを使用しています。

ポリプロピレン製の食品保存容器です。5枚前後のセットで売られており、安価でサイズも豊富なので、これを利用しています
このようにフタの部分にブレッドボードを貼り付けます。こうすると、このままボーディングを行なえます
回路が完成したらこのように閉じて保存します。上下逆さに見えますが、この状態で容器を数段スタックさせることができ、多数の完成回路を少ないスペースで保存することができます
パンなどの食品を入れる金属製のケースです。作成途中の回路や、購入後未整理の部品を臨時的に入れる場合に使っています
保存するというほどでないけれど、近々再度使うであろう回路をこんなふうに収納しておきます。小さなお子さんやペットがある家では、回路に触れさせない入れ物としても便利です

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(2008年10月2日)


船田戦闘機、スタパ齋藤、上杉季明によるユニット。電子工作からバンド演奏までさまざまな活動を行なうが、各活動に共通するテーマは“電気が通ること”としている。電子部品・電子回路の玄人ではなく、それらに対して強い興味を抱いている。ブレッドボーダーズは、そんな立ち位置から電子部品・電子回路に触れていくプロジェクトである。


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