発売中 価格:84,979円(構成例) デルの新ブランド「Studio」シリーズは、コンシューマ向け製品の中で、スタンダードな「Inspiron」とプレミアムの「XPS」の中間に位置づけられる製品だ。カラーバリエーションが豊富で、デザインも美しく、ユーザー自身のこだわりを反映できる製品となっている。 Studioシリーズの第一弾として、15.4型ワイド液晶とIntel製CPUを搭載した「Studio 15」、15.4型ワイド液晶とAMD製CPUを搭載した「Studio 1536」、17型ワイド液晶とIntel製CPUを搭載した「Studio 17」の3モデルが発表されたが、ここでは、AMDプラットフォームを採用した「Studio 1536」をレビューしていきたい。 ●天板のカラーが8色から選べる Studioシリーズは、デザインやカラー、質感などにもこだわっていることが特徴だ。Studio 1536の筐体は、比較的オーソドックスなデザインだが、天板のカラーの選択肢が豊富なほか、パームレスト部分の塗装も凝っている。天板のカラーは、クール・ブラック、インテリジェント・ブルー、クラシック・レッド、プラム・パープル、グラファイト・グレー、オリーブ・グリーン、タンジェリン・オレンジ、チェリー・ピンクの8色から選択でき、どの色を選んでも価格は変わらない。 試用機のカラーはタンジェリン・オレンジであったが、天板はゴムのようなしっとりした感触の塗装が施されており、持ったときも手に優しい。また、パームレスト部分にはマーブル塗装が採用されており、1つ1つ個性が感じられる。
●AMDのノートPC向け新プラットフォーム「Puma」採用
Studio 1536は、CPUやメモリ容量、HDD容量、GPUなど、カスタマイズの自由度が高いことも特徴だ。CPUは、AMDのTurion X2 Ultra ZM-82(2.2GHz)、Turion X2 Ultra ZM-80(2.1GHz)、Turion X2 RM-70(2GHz)、Athlon X2 QL-60(1.9GHz)から選択できる。全てデュアルコアCPUだが、ZM-82/ZM-80は、L2キャッシュを2MB搭載しているのに対し、RM-70/QL-60は1MBとなる。また、対応メモリはTurionシリーズがDDR2-800なのに対し、Athlon X2 QL-60はDDR2-667に対応するという違いがある。メモリは、2GBまたは4GBから選択可能だ。チップセットとしては、AMDのグラフィックス統合型チップセットAMD M780G(RS780M)を採用。今回の試用機は、CPUがTurion X2 Ultra ZM-82、メモリ2GBという構成であった。 Turion X2 Ultraは、開発コードネーム「Griffin」と呼ばれていたノートPC向けCPUであり、省電力機能が強化されている。Turion X2 Ultraでは、2つのコアとノースブリッジユニットで独立した電力制御が可能なほか、データ転送量に応じてHyperTransportの帯域幅を可変する仕組みを搭載。M780Gは、DirectX 10対応のGPU「ATI Radeon HD 3200」を内蔵しており、統合型チップセットとしては高いパフォーマンスを実現。Turion X2 UltraとM780G、およびATI Mobility Radeon HD 3000シリーズのGPU、IEEE 802.11nドラフト準拠の無線LANを組み合わせたモバイルプラットフォームは、開発コードネーム「Puma」と呼ばれている。 Studio 1536では、チップセット内蔵グラフィックス機能を利用する以外に、GPUとしてATI Mobility Radeon HD 3450を搭載することも可能である(試用機にもMobility Radeon HD 3450が搭載されていた)。なお、Pumaでは、チップセットの内蔵GPUと、外付けGPUを連携させてマルチGPU構成で利用することで、描画性能を向上させる「Hybrid CrossFireX」と呼ばれる機能が用意されているが、Studio 1536では非対応である。 HDD容量は、160GB/250GB/320GBから選択できる。また、光学ドライブはスロットローディングタイプで、DVD±RWドライブとBlu-ray Disc/DVDスーパーマルチコンボドライブ(BDは読み込みのみ対応)から選べる。M780Gには、動画再生支援機能「UVD」が搭載されているため、外付けGPUを使わずとも、BDのハイビジョンコンテンツの再生が可能だ。なお、試用機のHDD容量は、現在は選択できない120GBとなっており、光学ドライブはDVD±RWドライブが搭載されていた。 ●液晶解像度も選択可能
液晶ディスプレイは15.4インチワイドで、解像度は1,280×800ドット(WXGA)または1,440×900ドット(WXGA+)から選択できる。WXGA+液晶は、バックライトに白色LEDを採用しており、高輝度かつ省電力を実現。WXGA液晶とWXGA+液晶の価格差は3,150円しかないので、一度に表示できる情報量が多いWXGA+液晶がお勧めだ。ただし、WXGA+液晶選択時は、200万画素Webカメラの搭載が必須となる。 また、より解像度の高いWUXGA液晶も、後日選択可能になるとのことだ。Studio 1536の液晶はいわゆる光沢液晶で、コントラストが高く、動画の再生に向いている。液晶上部には、200万画素Webカメラの搭載が可能だ。なお、試用機の液晶は、WXGA+液晶であった。 ●タッチセンサー式のマルチメディアボタンを搭載 キーボードは、英語キーボードと日本語キーボードを選択できる。試用機は日本語キーボードが搭載されていた。キーピッチやキーストロークなどは十分で、キータッチも良好だが、Enterキーが右端ではなく、Enterキーの右側にもDeleteキーやHomeキーなどが配置されていることが気になった。Caps LockやNum Lockkなどのロック状態は、キーの隣にあるLEDの点灯/消灯によってわかるようになっている。ポインティングデバイスとしてタッチパッドを採用。 キーボード上部には、タッチセンサー式のマルチメディアボタンが用意されており、音楽CDなどの再生操作や音量調整などが行なえる。マルチメディアボタンの左端のボタンを押すと、デル独自のマルチメディアセンター「Dell MediaDircet」が起動し、音楽や写真、ビデオなどの再生が可能だ。マルチメディアボタンは、LEDが内蔵されており、タッチすると光る。電源投入時には、マルチメディアボタンの光が左右に流れるようになっており、なかなかかっこいい。 また、BTOで指紋センサーを追加することも可能だ。指紋センサーはパームレスト右側に搭載され、パスワードを入力する代わりに、指紋で個人認証が行える。
●eSATAやHDMIに対応するなどインターフェースも充実 インターフェースも充実しており、USB 2.0×4、IEEE 1394、ミニD-Sub15ピン、LAN、マイク、ヘッドホン×2の他に、HDMIやeSATAにも対応していることが特徴だ。eSATAは、USB 2.0ポートの1つと兼用になっているが、eSATAに対応したノートPCはまだ珍しい。 カードスロットとして、ExpressCardスロットと8in1カードスロットを搭載。8in1カードスロットは、メモリースティックやSDメモリーカード、SDHCメモリーカード、xD-ピクチャーカードなどに対応する。 ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g対応無線LANまたはIEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANを選択できるほか、Bluetooth Ver.2.0+EDRもサポートしている。左側面にワイヤレススイッチが用意されており、ワンタッチでワイヤレス機能をオン/オフできるので、使い勝手もよい。また、「Wi-Fiキャッチャー」と呼ばれる機能を備えていることも特徴だ。Wi-Fiキャッチャーは、本体の電源がOFFの状態でも、ボタンを押すことで無線LANの電波状況を確認する機能だ。Wi-Fiキャッチャーのボタンは、左側面の液晶ディスプレイヒンジ部分に用意されており、電波状況はボタンの周囲のLEDによって確認できる。
●ExpressCardスロットに収納できるカード型リモコンが付属 Studio 1536は、マルチメディア機能も重視しており、Windows Media Centerとは別に独自のマルチメディアセンター「Dell MediaDirect」を搭載。赤外線方式のカード型リモコンが付属しており、離れた場所からもマルチメディア機能の操作が可能だ。カード型リモコンは、ExpressCardスロットに収納できるようになっているのもユニークだ。 バッテリは6セルまたは9セルから選択できる。モバイル向きの製品ではないので、通常は6セルで十分であろう。
●一般用途には十分な性能 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したソフトは、Futuremarkの「PCMark05(Build 1.2.0)」と「3DMark06(Build 1.1.0)」、「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマーク」、「モンスターハンターオンラインオフィシャルベンチマーク」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」の5種類だ。また、Windows Vistaのパフォーマンス評価(Windowsエクスペリエンスインデックス)の結果も加えてある。省電力設定は「高パフォーマンス」モードにして行なった。比較対照用に、Core 2 Duo T7300とGeForce 8700M GTを搭載したdynabook Satellite WXWやThinkPad X61 Tablet、Let'snote Y7の結果もあわせて掲載している。 結果は、下表にまとめた通りだ。PCMark05のCPU Scoreは、クロックが高いCore 2 Duo T7300搭載機には及ばないものの、Core 2 Duo L7500搭載機を上回っている。また、インテルの統合型チップセットIntel GM965搭載機に比べると、3D描画性能も格段に高い。ただし、Mobility Radeon HD 3450は、ノートPC向け単体GPUとしてはエントリークラスに属する製品であり、ミドルレンジのGeForce 8700M GTに比べると、3D描画性能は見劣りする。総合的に見て、インテルプラットフォームを採用したノートPCと比べても、遜色のない性能を実現しており、パフォーマンスは満足できる。ゲーマー向き製品ではないが、通常の用途においては、パフォーマンス不足を感じることは少ないだろう。
Studio 1536は、AMDの最新モバイルプラットフォームを採用し、高いパフォーマンスを実現したA4ノートPCであり、デザインや使い勝手も優れている。BTOのカスタマイズメニューも充実しており、最小構成で8万円台前半からという価格も魅力的だ。天板のカラーを8色から選べるので、シルバーやグレーのノートPCはもう飽きたという人にもお勧めの製品だ。
□デルのホームページ (2008年8月19日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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