今回はLEDを点滅させてみましょう。
LEDを点滅させるには、さまざまな方法があります。例えば、各種の発振回路にLEDを接続すれば、一定時間ごとにLEDを明滅させることができます。あるいは、タイマーICを使えば、より簡素な回路でLEDを点滅させることができます。
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LEDを点灯させるには、LED、電源、抵抗器(電流制限抵抗)が必要です。これを点滅させるためには、より多くの電子部品が必要になります |
LEDを点滅させる回路を作るためには、これまで見てきたLEDや抵抗器以外の電子部品が要ります。また、電子回路に関するある程度の知識も必要です。しかし、そこまでの部品や知識を必要とせず、LEDを点滅させることもできます。
最も容易なのは「自己点滅型LED」を使う方法です。このタイプのLEDには専用のICが内蔵されており、ほかに電源と抵抗器があれば点滅します。点滅の時間(点滅周期)は一定ですが、最小限の部品でLEDの点滅回路を構成できる簡便さが魅力です。
まず、「OSYL5X31A-1.5Hz」という自己点滅型LEDを使ってみましょう。この部品は秋月電子通商で購入しました。点滅周波数は1.7Hzとなっており、比較的ゆっくりと点滅します。
自己点滅型LEDは、さまざまな発光色・点滅周波数のものが市販されています。中には7色に点滅する特殊なものもあります。下の動画は「SDL-5N3RGB-IC3」という自己点滅型LEDで、フルカラーのイルミネーションのような光り方をします。なお、この部品は共立電子エレショップで購入しました。
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【動画】「SDL-5N3RGB-IC3」は、7色の色変化が速く起こった後、今度はゆっくりと変化し、また速く……を繰り返す自己点滅型LEDです。動画では光の加減で3色に発光しているように見えますが、肉眼ではより滑らかな色変化を観察できます |
このほか、自己点滅型LEDでない普通のLEDを点滅させる部品もあります。例えば「CDT3460-02」は“LEDキャンドルIC”と呼ばれる3本足(リード)のICチップで、これに電源とLEDを接続すると蝋燭の炎のようにLEDがゆらめいて光ります。
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LEDキャンドルICとして知られている「CDT3460-02」(左下)。この部品にLEDと電源を接続すると、LEDが蝋燭の炎のように光ります |
「CDT3460-02」は3本のリードがあるICです。詳細はメーカーのPDFファイルにありますが、具体的には以下のように使います。
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ICの刻印面(型番等の文字が印刷されている面)を手前に向けると、左からVDD(電源の+側に接続)、LED(LEDの+側(アノード)に接続)、VSS(電源の-側に接続)となります |
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メーカーのPDFファイルから改めて回路図を起こしてみました |
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実際にボーディングすると、このようになります。電源は単三形乾電池×2本で、3Vとしました。メーカーのPDFファイルによると「CDT3460-02」には電流制限抵抗は必要ないようです |
上の写真のように接続し、実際に動かしてみました。しかし、LEDは点灯したり一瞬消灯したり、という点滅がランダムに起こるだけで、蝋燭の炎というよりは切れかかった蛍光灯のような点滅でした。そこで、ICとLEDを2組用意し、上記の回路を2つ並列してつなげてみました。
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上の写真の回路を2つ、電源に並列でつなぎました |
このような回路にしてみると、少しだけ、蝋燭からの光のように見えます。素子のバラツキにより、同じ「CDT3460-02」を2つ使用しても、LEDが光るタイミングがずれるようです。
ただ、LEDの明滅がやや激しく、LEDを直接見ると、蝋燭の炎のイメージにはまだ少し遠いという印象です。そこで、以下のようなディフューザーを作成し、使用してみると、蝋燭を使ったランプシェードからの光に近いイメージになりました。
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作成したディフューザー。トレーシングペーパーとセロハンテープで作りました。これでLEDを覆うことにより、光を和らげて蝋燭の炎のようなイメージに近づけます |
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【動画】電源を接続した直後は、2つのICのLED点滅周期が似通っているため、あまり炎のような感じがしません。しかし、ディフューザーを被せると、光の強さは蝋燭の炎の印象に近づきました |
3つ以上の「CDT3460-02」とLEDを使えば、より蝋燭の炎の印象に近づくかもしれません。また、LEDの鋭い光は、ディフューザーにより柔らかくすることができます。各種LEDにぴったりと合う、専用のディフューザーも市販されています。
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市販のLED用ディフューザー。「LEDキャップ」や「LED光拡散キャップ」という名称で売られています。半透明や白以外にも、青、赤、黄色、緑など各色が存在します |
今回使用したLEDは発熱が非常に少ない製品でしたので、ディフューザーの自作も安全に行なえました。しかし、LEDによっては放熱器が必要なくらい発熱しますし、LED自体は熱に強くない素子でもありますので、あくまでも実験レベルにとどめるのが無難でしょう。ご参考までに、我々が時々楽しんでいるピンポン球ディフューザーをお見せします。
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ピンポン球ディフューザーの例。穴を開けてLEDを差し込むだけです。最初、LEDの直径よりも少し小さめの穴を開け、徐々に調整していくと良いでしょう |
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ピンポン球ディフューザー付きLEDは、そのままブレッドボードに挿せます。このまま点灯させると、淡くかわいらしい照明としても楽しめます |
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緑色のLEDに前述のLED用ディフューザー(市販品)を被せ、さらにピンポン球に差し込んでみました。LEDからの光が偏らず、ピンポン球全体が緑色に光るようになります |
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周囲を暗くするとこんな感じになります |
■■ 注意 ■■
・この記事の回路や部品の使用例は、短時間の実験を目的としたものであり、一般的な利用を想定していません。
・実際に実験を行なう際は、怪我や火災などが起きないよう十分注意してください。
・この記事を読んで行なった行為によって生じた損害はPC Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
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□バックナンバー
(2008年8月7日)
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船田戦闘機、スタパ齋藤、上杉季明によるユニット。電子工作からバンド演奏までさまざまな活動を行なうが、各活動に共通するテーマは“電気が通ること”としている。電子部品・電子回路の玄人ではなく、それらに対して強い興味を抱いている。ブレッドボーダーズは、そんな立ち位置から電子部品・電子回路に触れていくプロジェクトである。 |
PC Watch編集部
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