第419回
iPhoneレビューについての追記



iPhone 3G

 今週掲載のコラムについて、読者からいくつかのメールをいただいた。その中には記事に不備を指摘するものもあったため、今回は記事の修正ではなく番外編の記事として新たに書き足すために、短いながらも別記事として掲載したい。

●Windows版Safariとのブックマーク同期は可能では

 表題のような指摘をいただいた。確かにその通り、Windows版Safariともブックマークの同期が可能になっていた。まずは間違った情報を出したことにお詫びしたい。

 実はWindows版Safariで同期できないという話は、iPhone 3G発売直後の14日にMobile Me担当者他に取材した時に出てきた話だった。まさか自社製ブラウザなのに……と耳を疑ったが、実際に自宅に帰ってMobile Meの同期モジュールをインストールしたテスト用PC環境でブックマークの同期先をリストボックスに表示させたところ、Internet Explorerしか表示されなかったので、そのまま信じてしまっていた。

 Safariが表示されなかった理由は、テスト用PCにSafariをインストールしていなかったためだ。Safariをインストールすると、Mobile Meの設定でも同期先にSafariが選択肢として現れる。

 この件を再度アップルに問い合わせた時、それ以外の確認事項についてもいろいろと話したのだが、Mobile Meに関してはサービス立ち上げ時のWebアプリケーショントラブルがあって日々サーバー内部の設定変更やバージョンアップが相次いでおり、正確な振る舞いについてアップル日本法人でも把握し切れていないのだという。

 現在では状況は少しづつ落ち着いてきているようだが、Windows VistaにATOKがインストールされた環境でiTunes 7.7がうまく動作しないといった報告が出ていることなどもあわせ、一時的に混乱している面もあるように見受けられた。

●iPhoneのメール返信元は変更できるのでは

 次に「Mobile MeをiPhoneに設定する際、返信アドレスを普段から使っているアドレスに変更できないとあるが、Mobile Meの設定の部分から、SMTPの設定を変更することができる」という指摘をいただいた。

 iPhoneのメール設定でMobile Meや米Yahoo! Mailなど、あらかじめ設定テンプレートのあるアカウントを作成した場合、SMTPサーバーは自動的に設定される。しかし、アカウントの詳細を変更することで、使用するSMTPサーバーを変えることが可能だ。

 この設定は送信サーバーを変えるだけなので、送信者アドレスや返信アドレスを変えることはできないのではと判断していたのだが、もしかするとSMTPサーバーと登録しているメールアカウントが紐付けされているのかもと思い、実際に自分のiPhoneで実験してみた。

 結論から言うと、SMTPサーバーを変更しても送信者アドレスや返信アドレスは変わらない。返信を行なう元メッセージを受信したアカウント情報で、返信メールが送られてしまうので、やはりSMTPサーバーを変更しても問題は解決しないとわかった。

 なお、Mobile Meは一般的なIMAP4メールクライアントと互換性があるので、iPhoneのメール設定で「その他」を選んでアカウントを作成。メールを読み書きすることもできる。この場合は送信元アドレスをMobile Meのアドレスとは別のものに設定しておけるが、残念なことにプッシュメールとはならなかった。

●そのiPhoneは壊れているのでは

 「ネットワーク接続が不安定なときには他のアプリも遅くなる傾向がるが、記事にあるような遅さはない。修理に出しては」との進言もあった。しかし、日本語IMEへの切り替えの遅さや、変換辞書アクセスが極端に遅くなる現象、あるいはiPod機能での音飛びなどはアップル側でも確認されており、iPhoneの初期ソフトウェアの問題として認識されている。

 もちろん、この問題はソフトウェアのチューニングが進むことで解決、あるいは緩和されるだろう。iPhone関連のブログを見ていると、ユーザー側も環境設定を変更することで、少しでもIM切り替えのタイムラグを短くしようと工夫している方も多いようだ。

●プッシュメールを使うにはMobile Meしか使えないの

 これは読者からではなく、PC系編集者の知り合いからメールをもらった質問。前回のコラムにも書いたように、米Yahoo! Mailを登録するとプッシュメールとなるので、オンタイムでメールが届く。利用料金は無料だ。

 と返信を出すと、次に「iPhoneのメール保存期間は1カ月で、短すぎないか」と再返信が来た。う~ん(笑)。これも以前に書いた内容とかぶるが、保存期間が1カ月限定なのは、ソフトバンクモバイルがiPhone契約加入者に自動的に与えるi.softbank.jpドメインのメールだけ。このメールアドレスはSMSを通じて着信通知が来るという特徴はあるものの、通常のIMAPメールと同じで、保存期間が過ぎてサーバーから削除されると端末にメールは残らない。

 しかし、要はこのメールアドレスを使わなければいいだけのことで、たとえば前述の米Yahoo! Mailは蓄積容量無制限(送信メール最大10MB)、利用料無料で保存期間も永久(アカウントが存在する限り)だから、これを使えばいい。

 と返信を出すと、さらに「サービスがなくなったらメールが消えるのでは」との返答。う~ん(汗)、まいった。

 大規模なストレージネットワークとバックアップシステムを導入して管理しているYahoo! MailやGmailなどのサービスにメール本体が置かれている方が、より安全だと思うのだが、これは使う側の感覚の問題だろうか? 端末にダウンロードされてサーバーに残らないメールの場合、端末自身を壊したり、中のデータが失われるなどの事故があると復旧できないから、メールが失われる可能性はより高いのではないだろうかと思っている。

●iPod touchで十分では

 この意見はなんと10人ぐらいにいただいた。

 道具というのは、自分自身のために使うものなのだから、どうにも答えようがないのだが、実際の使い勝手はiPod touchとは全く違う。無線LANが使える場所を探す必要なく、携帯電話の電波が届く場所ならば、いつでも情報にアクセスできるというのは、iPod touchにはない魅力だ。

 とはいえ、常に無線LANが使える場所にいるのであれば、iPod touchで十分という人もいることは確かだろう。こればかりは本人次第だが、App Storeにアップロードされているアプリケーションには、インターネットにつながっていることが当たり前のこととして開発されているものも少なくない。

 両者は比べるものじゃない、というのが個人的な意見だ。だからiPod touchを情報端末として使えば、それで十分という人は、それでいいのではなかろうか。

●FON MapのiPhone版は便利だけど

 これは読者からのメールではなく、個人的に思っていること。

 無線LANの相互接続ネットワークサービスのFONが、iPhone向けにFON Map(FONが使える場所を地図で確認できるサービス)サービスを開始したというニュースがあった。FONは個人的に、なかなか出入りする場所の近くにアクセスできるスポットがなく、機器は導入したもののあまり使っていなかったのだが、山手線の内側にあるLivedoorのスポットが利用可能になったことで俄然、利便性が高まった。

 とはいっても、地域的な偏りは大きいし、地方では今ひとつ使いにくいが、東京周辺で活動している人なら、iPhoneとともに利用したいと考える人は多いのではないだろうか。

 ただ、FONだけでなく、公衆無線LANをiPhoneやiPod touchで利用する際に、ログインを行なうのは結構面倒くさい。Jailbreakで非公式アプリケーションをインストールすれば、いずれも簡単ログインツールを利用できる(FONならiFON、それ以外の公衆無線LANサービスもDevicescapeというツール/サービスで解決できることが多い)のだが、現在のところ公式のApp Storeには公開されていない。

 Devicescapeに関しては完成度が高まって正式版になってから、App Storeにも掲載したいとのことなので期待したいが、アップルも無線LAN認証を行なうような何らかのAPIをiPhoneの標準機能として実装してもいいのではないだろうか。

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【7月17日】【本田】不満を抱えながらもiPhoneから離れられない理由
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0717/pda83.htm
【7月16日】【本田】iPhone 3Gを購入して経験した最高と最低の同時体験
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0716/mobile417.htm

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(2008年7月28日)

[Text by 本田雅一]


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