マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏

7月1日 発表

　マイクロソフト株式会社は1日、新年度経営方針に関する記者会見を開催。同社代表執行役社長の樋口泰行氏が2009～2011年の中期経営方針を発表した。

2009～2011年の中期経営方針

　そのテーマは「“地に足のついた”革新による確実な成長軌道の実現」というもので、具体的には、「企業IT市場におけるソリューションビジネスの拡大」、「コンシューマおよびオンライン市場における基盤確立」、「お客様およびパートナー様満足をトコトン追求」、「“日本品質”の追求と提供」、「社員の能力を最大限発揮できる職場環境の提供」、「環境に配慮した企業活動の推進」という6つの柱からなる。

　なかでも、コンシューマおよびオンライン事業については、同日付けでコンシューマ&オンライン事業部を設置するとともに、EMIミュージック・ジャパンの代表取締役社長兼CEOだった堂山昌司氏を担当副社長に迎え入れ、最重要課題の1つとして注力していく。

　ソフトウェア+サービスという新しいソリューションが注目を集める中、コンシューマ分野も、PCと携帯電話や家電などPC以外の製品とを連携した新しいサービスやコンテンツが求められており、それに迅速に対応すべく大がかりな組織改変を行なった形だ。

【お詫びと訂正】初出時に、コンシューマ&オンライン事業部の事業にゲームが含まれるとしておりましたが、含まれません。お詫びして訂正させていただきます。

　また、“日本独自”の品質、サービス、営業も樋口氏が強く訴えている点。日本には高い品質を提供する企業が多いが、同時にそれらの企業からもマイクロソフトに高い品質の製品やサービスが求められる。そういったことに対応できるよう、米国本社とは別に、日本独自のバグリストなどを作成し、本社にフィードバックをかけるとともに、日本法人ならではの製品/サービスを提供していくという。

　前任のダレン・ヒューストン氏など、海外出身の従来の社長は、「Plan-J」という名の経営方針の下に、「米国企業による日本への投資」というメッセージを掲げていたが、今回からはこのネーミングは外された。これは樋口氏が日本人社長として日本市場にコミットしていくのは当然という考えによるものだが、大枠の戦略としてはPlan-Jを今後も踏襲していく。

　新年度の注力分野としては、パートナーとの連携、ソフトウェア+サービス戦略の推進、ゲームを含むコンシューマ統合戦略の推進、営業体制の抜本改革と営業生産性の向上、顧客の不満をバネにした施策、優秀なリーダー人材の育成などを挙げた。

　ここでも樋口氏は、日本品質の確立のためとして、上期だけで1万ページにおよぶ日本独自のドキュメントを用意し、同社自身の品質向上や、パートナーITエンジニアの支援を図っていきたいとの具体的目標を示した。また、国内の良質なゲームを海外市場にも展開できるよう働きかけを行なっていくという。

　同時に、ともすれば努力せずとも売れていた時代を経験してきただけに、“売る力”をつけて競争力を増していく必要があると自戒した。

　最後に樋口氏は、同社の目指すべき企業像として、「お客様に顔が見え、親しまれ、かつ尊敬される企業」、「パートナー様との密な協業を推進できる企業」、「前向きで生き生きとした人材にあふれ、仕事を通じて自己の成長と変化を実現できる企業」、「ビジネス市場、コンシューマ市場の両市場において常に革新的な技術をお届けできる企業」、「日本社会に根ざし、環境問題を含む諸問題において、よき企業市民として、貢献できる企業」という5項目を挙げた。

新年度の注力分野	7月1日以降の新組織体制

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
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(2008年7月1日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]