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【COMPUTEX TAIPEI 2008】

Intel 4シリーズチップセット発表会レポート
~Intel G45がPCによるHD再生環境のブレイクスルーに

3月5日(現地時間)

会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 今回のCOMPUTEX TAIPEIにおいて、PCパーツ関連では重要なトピックに挙げられるのが、Intel 4シリーズの正式発表だ。6月4日には、Intelによる発表会が開催された。その内容を紹介する。

●Intel 3シリーズを上回る順調な立ち上がり

Intel Asia Pacific Vice President & General ManagerのNavin Shenoy氏

 3日に行なわれた基調講演でも触れらたように、今回発表されたIntel 4シリーズチップセットは、Intel P45、G45、P43、G43の4製品だ。

 発表会では、まずIntel Asia Pacific Vice President & General ManagerのNavin Shenoy氏が登壇。ちょうど1年前のCOMPUTEX TAIPEIにおいてIntel 3シリーズを発表したが、発表と同時に多くの台湾パートナーが製品を用意し、Intelのチップセットにおいてもっとも素晴らしい立ち上がりであったと回顧。そして、今回のIntel 4シリーズは、その記録を塗り替える、さらに素晴らしい立ち上がりであるとした。

 具体的には、昨年のIntel 3シリーズチップセット発表時には、70を超えるパートナーから206製品が登場したが、Intel 4シリーズは、それを超えるスピードで製品化が進んでおり、70社以上のパートナーから300を超える製品が登場。昨日の基調講演では340枚という製品数が紹介されたが、その後の集計で490枚という数字が示されている。

●パフォーマンスとHDメディアをアクセラレーション

 その後、チップセットの機能説明では、Intel Vice President, Mobility Group General Manager, Chipset & Graphics DevelopmentのEric Mentzer氏が登壇。まずは、「パフォーマンスをアクセラレーションするもの」として、Intel P45の紹介を行なった。

 Intel P45の紹介にあたっては、先に登場しているIntel X48を引き合いに出し、「Intel X48は新しいレベルのパフォーマンスを提供するものであったが、非常に高価でユーザーが限られる」と前置きしたうえで、Intel P45は上から下まで幅広いユーザーをカバーできる製品とあるとした。いうまでもなく、Intel P45はグラフィックを統合しないディスクリートチップセットのメインストリーム向け製品である。

 Intel P45の機能はIntel X48に近いものが用意されており、オーバークロックメモリである「Intel eXtreme Memory Profile(XMP)」に対応するほか、チューニングアプリケーションの「Intel Extreme Tuning」も利用可能。Intel Extreme Tuningはデモンストレーションも実施され、3GHzのCore 2 Duo E8400を3.6GHzで動作させていた。

 また、Intel P45はTurbo Memoryをサポートしているが、この管理ソフトウェアも従来のノートPCプラットフォームに用意されていたものに比べて新しい機能が追加される。アプリケーションをドラッグ&ドロップで登録可能になっており、ここに登録したアプリケーションを高速に起動できるようになった。このアプリケーションの組み合わせはカスタムプロファイルとして作っておくことも可能だそうだ。

Intel Vice President, Mobility Group General Manager, Chipset & Graphics DevelopmentのEric Mentzer氏 Intel P45の概要。主にパフォーマンスに関する機能がポイントになっている
Intel Extreme Tuningのデモ。333MHz FSBのE8400を、400MHz FSBでオーバークロック。3.6GHzで動作させている。このデモで使用されているマザーボードはASUSTeK製のもの Intel P45でサポートされるTurbo Memoryの新しい管理ソフト。アプリケーションをドラッグ&ドロップで登録しておくことで、そのアプリの起動を高速化できるようになる

 続いて、「高解像度メディアをアクセラレーションするもの」としてIntel G45を紹介。45nmプロセスのCPUとIntel G45……つまり”45+45”の組み合わせでHDコンテンツの作成からプレイバックまでを軽快に行なえるとする。

 チップセットの話題として重要になのは、Intel G45に搭載されるHDコンテンツのデコードアクセラレーションで、H.264/MPEG-4 AVC、MPEG-2、VC-1のハードウェアアクセラレーションが強化されており、ビットストリームや逆コサイン変換もハードウェアで処理できるようになった。ライバルにあたるAMDのAMD 780Gに搭載されたグラフィック機能には、すでにUniversal Video Decoderと呼ばれる同等の機能が搭載されており、この点ではIntelの統合型チップセットもようやく追いついた格好となる。

 デインタレースや画質調整などのポストプロセス処理もハードウェアで行なえるようになっているほか、HDMIに加えてDisplayPortといったHDに適したデジタル出力端子を持つことで、柔軟に出力先を選べる点もアピールしている。

 このIntel G45のグラフィックはIntel GMAとしては第6世代に当たり、Intel G3xから導入された統合型シェーダアーキテクチャとなっている。Direct X10/Shader Model 4.0をサポートしており、3Dグラフィック性能としては、Intel G35の2~3倍のパフォーマンスになるという。

 シェーダユニットは10個で、各々が5スレッド、計50スレッドの並列処理が可能であり、ポストプロセスはシェーダユニット側で行なわれる。HDデコードは独立したパイプラインを持っており、こちらで処理したものをシェーダユニットアレイへ転送し、ポストプロセッシングが行なわれる格好だ。

 このIntel G45のデモでは、MPEG-4 AVCで収録されたBlu-rayを再生。片方はIntel G45、もう片方は外付けビデオカード(NVIDIA製品)を利用した環境で、どちらも再生はスムーズであるが、パワーメーターの値が大きく異なっている点をアピール。

 さらに、デモの当初は同じサイズのPCケースに収められているように見せかけているが、Intel G45のPCケースは単なる張りぼてで、実は4L未満の非常に小さいサイズのPCであることを明かした。

 このPCに利用されているマザーボードは17×17cmのMini-ITXサイズで、消費電力は50W。ビデオカードの基板サイズ、消費電力と比較して、「このように小さくて消費電力が低いマザーボードでHD再生を行なえるのは大きなブレイクスルー」であると強くアピールした。

45nm CPUによるHDコンテンツ作成、Intel G45による再生支援やディスプレイ出力機能の組み合わせが、HDコンテンツをアクセラレートするとアピール Intel G45のデモに使われた機材。左側のPCがIntel G45を使ったシステムで、両者とも同じサイズに見えるが…… 左側のPCケースは実は張りぼて。実際には4Lクラスの非常に小さなPCだった
そのPCで使われたマザーボードはMini-ITXサイズ。ビデオカードと比較し、その小ささを強調した 左側がIntel G45でBlu-rayを再生している際の消費電力。外付けビデオカードを使用しているときに対して40~50Wほど少ない電力で動作している Intel G45内蔵グラフィックのブロック図。統合型シェーダユニットで3Dレンダリングや動画のポストプロセッシングを行なうほか、独立したデコード支援エンジンを有している

 最後に同氏は、今後のチップセットのイノベーションについて語った。これまでのチップセットの歴史において、最初のイノベーションとなったのは'94年ごろに起こったPCI化の流れで、しばらくは、それに続いてIO周りの強化が続けられた。

 次の大きなイノベーションがチップセットへの機能統合化の流れ。ここでは、LAN、オーディオ、RAIDを含むストレージ機能などが次々に統合され、さらにはPCI ExpressやSATAなどのIO周りの強化も続けられていた。

 そして、ムーアの法則に沿ったチップセットの発展を続けるためのものとして、「インテリジェンスなコプロセッシング」というイノベーションを紹介。すでに導入されている、Intel Active Management Technology、Intel Quiet System Technologyなどの機能はその一部を先取りしたものである。これらはソフトウェア側からの管理が可能で、CPUから独立した自律的な機能となっている。

 Intelの次世代製品(つまりNehalem世代)では、CPUとノースブリッジの統合が進められる。サウスブリッジ側はPCHと呼ばれるチップが利用されることになるが、このチップをコプロセッサとして、さらに多くの独立した機能を持たせることになるのではないだろうか。

 その後、発表会ではマザーボードベンダー各社の代表者が登壇し、Intel 4シリーズチップセットに対する期待の声を寄せた。

チップセットはこれから「インテリジェンスなコプロセッシング」というイノベーションを迎え、さらに価値を高めていくとアピール 発表会に出席したパートナー各社の代表

●展示された製品やデモ

 発表会が行なわれたホール後方では、パートナー各社によるショーケースが行なわれた。ここでは、Intel 4シリーズを搭載した製品が数多く展示されている。それらを写真で紹介する。

Intel P45を搭載するASUSTeKの「P5Q Deluxe」 Intel P45を搭載するASUSTeKの「P5Q Pro」 Intel G45を搭載するASUSTeKの「P5Q-EM」
Intel G43を搭載するASUSTeKの「P5QL-EM」 Intel P43を搭載するASUSTeKの「P5QL-E」 Intel P45を搭載するBIOSTARの「TPower I45」
Intel P45を搭載するECSの「P45T-A3」 Intel G43を搭載するECSの「G43T-M2」 Intel P45を搭載するFOXCONNの「F1」
Intel G45を搭載するFOXCONNの「Concert」 Intel P45を搭載するGIGABYTEの「GA-EP45T-EXTREME」 Intel P45を搭載するGIGABYTEの「GA-EP45-DQ6」
Intel P45を搭載するGIGABYTEの「GA-EP45-DS4」 Intel G45を搭載するGIGABYTEの「GA-G45M-DS2H」 Intel P45を搭載するMSIの「P4S8D」
Intel P45を搭載するMSIの「P45 Platinum」 Intel P45を搭載するMSIの「P45-Neo3」 Intel G45を搭載するMSIの「G45 Digital」

●QAセッション

 この発表会終了後、報道関係者向けにQ&Aセッションが開かれた。すでに公開されている情報も含め、発表会では述べられなかった補足情報が語られたので、いくつかの質疑応答をピックアップして紹介しておく。

Q:45nm+G45という話があったが、チップセットのプロセスルールは。

A:Intel 4シリーズは65mプロセスだ。

Q:Intel G45とG43の違いは。

A:Intel G45はネイティブHDデコードを持っている点が違う。両者は非常に似ていて、3D機能およびパフォーマンス、IO関連機能は同じだ。

Q:今回、Intel Q45の話がないが、いつ登場するのか。

A:Q45チップセットはビジネス向けのチップセットで、ICH10DOによるコプロセッシング機能があり、セキュリティマネージビリティを持つ。Intel Q45は今年第3四半期にローンチする予定だ。

Q:Intel G45は複数のデジタルディスプレイを持っている。複数の端子を持つマザーボードでは、HDMI、DisplayPort、DVIなどをどのように利用可能なのか。

A:マザーボードメーカーによって、さまざまなデザインの製品が登場するだろう。いくつかのメーカーはDisplayPortを搭載した製品を出すし、HDMIを搭載するもの、DVIからドングルを使って変換するものなど、柔軟性のあるデザインが可能だ。3種類のデジタル出力をサポートしているが、同時に出力可能なデジタル端子は2ポートまでなので、3画面以上を出す場合はアナログ出力を利用する必要がある。

Q:P35とP45の違いは非常に少ないが、どのようなメッセージを送るのか。

A:Intel P45は、PCI Express Gen2で2基のx8インタフェースを持てる。また、メモリコントローラもIntel X48に近いものになっており、Intel P35ではDDR3-1066までのサポートだったが、Intel P45はDDR3-1333をサポートする。しかも、さらに高いクロックでの動作も簡単にできる。

Q:すでにオーバークロックが可能なマザーボードも多く登場していたが、P45のオーバークロック機能は、Intel自身がサポートするものなのか。

A:これはユーザーにオーバークロックを“許す”ものだ。ユーザーはリスクや消費電力増といったトレードオフを考えなければならない。オーバークロックメモリも同じ。ユーザーが選択できることが重要だと思っている。

Q:P35とP45の消費電力はどのぐらい違うのか。

A:P45は機能は増えているが、どちらも同じIntel Pシリーズの製品だから、消費電力はそれほど変わらない。Intel Pシリーズという製品はビデオカードやオーバークロック、そのほかの要素によっても消費電力は大きく変わってくる。そのため、このセグメントにおいてチップセットのTDPはそれほど重要ではない。ただし、Intel Qシリーズは違うと考えている。Qシリーズは省スペースや省電力、静音性が求められるのでTDPも抑える予定だ。

 このほか、QAセッション内で、Intel G45を搭載した製品の登場時期についても話が及んだ。それによれば、現在ドライバの検証を行なっている段階であり、それが終わるのは今月末の見込みとのこと。COMPUTEX会場内の複数のマザーボードメーカーも、発売はIntel P45から少し遅れて6月末~7月始めになると語っており、おおよそ、このあたりの時期に登場すると見てよさそうである。

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□P45製品情報(英文)
http://www.intel.com/products/chipsets/P45/index.htm
□P43製品情報(英文)
http://www.intel.com/products/chipsets/P43/index.htm
□G45製品情報(英文)
http://www.intel.com/products/chipsets/G45/index.htm
□G43製品情報(英文)
http://www.intel.com/products/chipsets/G43/index.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0603/p45.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0603/msi2.htm

(2008年6月5日)

[Reported by 多和田新也]

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