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【COMPUTEX TAIPEI 2008】Intel基調講演レポート

Intel、Centrino2の発表は7月3週に決定
~Intel 4シリーズチップセットとAtomを正式発表

Intel 主席副社長兼最高セールス&マーケティング責任者 ショーン・マローニ氏

会期:6月3日~7日(現地時間)

会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 Intel 主席副社長兼最高セールス&マーケティング責任者 ショーン・マローニ氏は、COMPUTEX TAIPEIの基調講演に登場し、同社がCOMPUTEX TAIPEIでリリースした多数の製品と2008年後半に同社がリリースを予定している製品をアピールした。

 マローニ氏はIntel 4シリーズ・チップセット、ネットブック/ネットトップ向けAtomプロセッサなどの正式リリースを明らかにし、台湾のOEMベンダなどによる搭載製品を多数壇上に並べて、その成功をアピールしたほか、今年後半にリリースを予定している次世代ノートPCプラットフォームのCentrino2(開発コードネーム:Montevina)や次世代マイクロプロセッサのNehalemのデモを行なった。

●Web 2.0に必要なネットワークとPC技術、そして将来の製品計画を語ったマローニ氏

 冒頭でマローニ氏は、台北市内の交差点からWebカメラの生中継で登場し、「今バイクに乗って会場を目指しているんだけど、どこだかわからないんだよ」と発言。すると、近くの人に道を聞き、するとそれが分かるという人が登場し、その人が道案内をして会場を目指すというちょっとした寸劇が繰り広げられた。

 その人というのは台湾人の俳優で、後ほどマローニ氏と一緒に会場に登場し会場を大いに沸かせた。台湾人俳優は「僕はゲーマーなんだけど、今使っているノートPCは遅くて遅くて満足できないんだ」というと、マローニ氏が「ああ、それなら今年出たばっかりの新しいやつがあるからこれをあげるよ」と、用意しておいたCentrino2を搭載したノートPCを差し出すと俳優は大喜びし、そのノートPCを持って舞台袖に消えていったのだ。

 やや、余談になるが、俳優に手渡されたCentrino2のノートPCは、黒塗りのVAIOで、色と大きさからいってtype Aに見えた。ちなみに、現時点ではCentrino2のtype Aはまだソニーから発表されていないので、少なくともtype AのCentrino2バージョンが存在するらしいということは、このことからわかりそうだ。

マローニ氏はまずはTAIPEIの街頭から、Web中継で登場 道案内として台湾人俳優を乗せて出発! 筆者にはわからなかったが、台湾人はみな反応していたので、おそらくそれなりに有名な人なのだと思われる
マローニ氏はかぶってきたヘルメットを聴衆に見せると、そこには台湾人女性に大人気のキティちゃんの柄が…。しかし、マローニ氏とキティちゃん……これほどミスマッチなのも珍しい、か 台湾人俳優にCentrino2を搭載したノートPCを渡す。写真には写っていないが、ロゴにはVAIOと書いてあったので、VAIO type AのCentrino2版だと思われる

今回の講演のテーマは“Web 2.0を支えるネットワーク”、“Web 2.0を支えるPC技術”、“次世代の製品”の3つだという

 さて、その後マローニ氏は3つのメッセージを今回の基調講演の主題に掲げた。それが

  1. Web 2.0を支えるネットワーク
  2. Web 2.0を支えるPC技術
  3. 次世代の製品

の3つだ。やや流行は去ったように見えるが、Web 2.0という言葉は依然として重要なキーワードの1つのになっている。広義な意味では次世代のWeb技術という意味だが、狭義の使われ方ではAjax系のWebアプリケーションを利用したWebサービスやYouTube、SNSなどがこれに該当する。

 マローニ氏は後者の狭義な使い方で使っており、そうした新しいインターネットの使われ方に対して、Intelがどのようなネットワーク回線の技術を提供し、さらにはそれに適したどのようなPCの半導体を提供しているのか、そして未来のインターネットの使われ方を意識した将来の製品計画をどのように持っているのか、それを語るのがこの基調講演であると冒頭で説明したのだ。

●台湾政府や産業界もモバイルWiMAXを成長のチャンスととらえて投資をしていく

 “Web 2.0を支えるネットワーク”として、マローニ氏が紹介したのが、モバイルWiMAXだ。モバイルWiMAXは次世代の無線インターネット通信技術として注目を集めている技術で、現在の3G携帯などで利用されているHSDPAなどの無線通信技術に比べて圧倒的に高速なデータ通信が可能になる。日本でもIntelはKDDIなどと合弁会社を設立しており、2009年からの商用サービス開始を計画している。

 マローニ氏は「COMPUTEX TAIPEIでは多くの企業がモバイルWiMAXに関連した展示を行なっている。世界中の国で普及が進み、台湾政府も積極的にモバイルWiMAXを推進してくれており、Intelはこれに協力している。グローバルなモバイルWiMAXの普及により、インターネットはより強力なネットワークになるだろう」と述べ、現在のHSDPAなどに比べてさらに高速なモバイルWiMAXが普及することで、インターネットのさらに新しい使い方などが登場してユーザーの生活はより豊かになるだろうと説明した。

 さらに、台湾政府経済部のChii-ming Yinn氏がビデオで登場し「台湾政府としてもモバイルWiMAXに多大な投資を行なっている。モバイルWiMAX関連の製品を製造していくことは、台湾のIT業界にとってさらなる成長のチャンスになるだろう」と話し、モバイルWiMAXを国を挙げて推進していくと説明した。

世界中で普及が始まっているモバイルWiMAXをアピール 台湾でも台湾政府経済部が台湾企業のモバイルWiMAX関連の事業をバックアップするとアピール 世界中で多数の企業がモバイルWiMAXの事業に参入している

●COMPUTEX TAIPEIで発表されたIntel 4シリーズ・チップセットとAtom

 次にマローニ氏は“Web 2.0に支えるPC技術”に関しての説明を行なった。そのWeb 2.0を支えるとして、紹介したのが、COMPUTEX TAIPEIでIntelが発表したIntel 4シリーズ・チップセットとAtomプロセッサだ。

 Intel 4シリーズ・チップセットは、これまで開発コードネームでEaglelake(イーグルレイク)で知られているチップセットで、2007年のCOMPUTEX TAIPEIでリリースされたIntel 3シリーズ・チップセットの後継と位置づけられる製品だ。今回発表されたIntel 4シリーズ・チップセットには以下のようなラインナップが用意されている。

【表】Intel 4シリーズ・チップセット
  P45 P43 G45 G43
FSB バスアーキテクチャ P4バス P4バス P4バス P4バス
1,333MHz
1,066MHz
800MHz
メモリ デバイス DDR2/DDR3 DDR2/DDR3 DDR2/DDR3 DDR2/DDR3
チャネル/チャネルあたりのDIMM数 2/2 2/2 2/2 2/1
最大メモリ 16GB(DDR2)
8GB(DDR3)
8GB(DDR2)
4GB(DDR3)
16GB(DDR2)
8GB(DDR3)
8GB(DDR2)
4GB(DDR3)
1,333/DDR3-1333 - -
1,333/DDR3-1066
1,333/DDR3-800
1,066/DDR3-1066
1,066/DDR3-800
800/DDR3-800
1,333/DDR2-800
1,333/DDR2-667
1,066/DDR2-800
1,066/DDR2-667
800/DDR2-800
800/DDR2-667
GPU ブランド - - Intel GMA X4500HD Intel GMA X4500
Direct3D 10 - -
動画高画質化機能 - -
H.264/MPEG-2/VC-1ハードウェアデコード - - -
ディスプレイ出力 - - 2 2
HDCPキー - -
HDMI - -
DVI - -
DisplayPort - -
sDVO - -
VGA - -
PCI Express x16 1×Gen2 1×Gen2 1×Gen2 1×Gen2
サウスブリッジ ICH10/10R ICH10/10R ICH10/10R ICH10/10R

 以前の記事でも説明したように、OEMメーカー筋の情報によれば、このほかにもP41/G41というローエンド向けや、Q45/Q43という企業向けのラインナップが用意されているのだが、今回のCOMPUTEX TAIPEIではこれらは発表されず、後日別のタイミングで発表されることになりそうだ(ローエンド向けに関しては発表されずにひっそりと追加されることが多いので、おそらくそうなるだろう)。

 マローニ氏は、G45を利用して3Dゲームをプレイするデモを行ない、“重いゲーム”として定評があるCrysisなどを実際に動かせて見せた。さらに、デスクトップPC上でレンダリングした3Dゲーム画面を、無線ネットワークを経由してMIDに表示させるデモも見せ、将来より高速な無線ネットワークが普及した時には、そうしたデスクトップPCのCPUパワーを利用して処理したものをリモートのMIDで表示するなどの使い方ができるようになるとアピールした。

 さらにマローニ氏は「今回COMPUTEX TAIPEIでは340もの、Intel 4シリーズ・チップセットを搭載した製品が展示されている。これは我々の台湾のパートナーがあってこその数字であり、感謝したい」と述べ、実に多数のマザーボードメーカーの名前を一息で紹介し、詰めかけたパートナー企業などの関係者から喝采を浴びていた。

COMPUTEX TAIPEIで発表されたIntel 4シリーズ・チップセット G45の内蔵GPUを利用してCrysisをプレイ デスクトップPCでレンダリングした3D画面をリアルタイムにUMPCに転送して、リモートで3Dゲームをプレイすることも可能になる。モバイルWiMAXが普及すれば、これをインターネット経由でもできるとマローニ氏
G45のハードウェアビデオデコーダ機能を利用してBDを再生するデモ COMPUTEX TAIPEIでは実に340ものIntel 4シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードが展示されているという。コンプリートできる人はいるのだろうか……

 次いで、マローニ氏はIntelが同日発表したネットトップ/ネットブック向けのAtomプロセッサを紹介し、台湾のOEMメーカーなどが製造した多数のネットトップ、ネットブックを公開した。「昨年ここで、私がASUSTeKと紹介したEee PCは大きな成功を収めた。今年はAtomを利用してさらに多くのOEMメーカーからの製品を紹介できることを嬉しく思っている」と語り、MSIのWind bookを手にすると、それらのネットブックを紹介した。

ASUSのEee PC発表から1年が経ち、ネットブックは新たなステージに 実に多数のネットブックが壇上で紹介された。マローニ氏が手に持つのはMSIのWind book
ネットブックだけでなく、ネットトップも多数が登場すると紹介された ASUSTeKのEee Boxを利用したWiiライクなカジュアルゲームのデモ

●将来の製品としてCentrino2を7月3週に発表、2008年後半にはNehalemを

 そして“将来の製品”となるのがCentrino2とNehalemだ。Centrino2は開発コードネームMontevinaで知られてきた次世代のノートPC向けプラットフォームで、45nmプロセスルールで製造されるCore 2 Duo、Intel 4シリーズ・チップセットのモバイル版、WiMAXやWi-Fiの通信モジュールなどから構成されるプラットフォームとなっている。マローニ氏は「Centrino2でCentrinoは第2世代となる。処理能力は大きく向上し、さらにWiMAXのような高速な無線通信と組み合わせることで、ユーザーの使い勝手は改善することになるだろう」と述べ、Centrino2のメリットを聴衆に語りかけた。

 なお、今回のCOMPUTEX TAIPEIではCentrino2は製品発表されず、あくまでマローニ氏は“まもなく発表する”とだけ述べたが、その後Intelより発表されたプレスリリースによれば、IntelはCentrino2を7月14日から始まる週に発表し、8月には搭載した製品が投入される見通しであることが明らかにされた。OEMメーカー筋の情報では、4月の時点では6月の終わりの製品発表が予定されており、実際そのスケジュールで動いていたようなのだが、突然約1カ月程度後ろになることがIntelから通知されたのだという。

 最後にマローニ氏は、Intelが2008年後半にリリースを計画している、新しいマイクロプロセッサとなるNehalemのデモを行なった。マローニ氏がデモしたのは、Nehalemを搭載したPC上で、デジカメで撮影した写真を撮影日や撮影場所とリンクしてグラフィカルに管理するソフトウェアを、タッチパネルを利用して操作するデモで、タッチUIを利用して手軽にグラフィカルなUIを操作できる様子をデモした。

 マローニ氏は「Intelは今後もTick-Tockモデルによる強力な製品開発を続けていく。また、半導体工場や研究開発への投資も引き続き進めていき、今後もよりよい製品をエンドユーザーに提供していきたい」とまとめ、基調講演を終了した。

まもなく投入されるCentrino2、リリースは7月14日の週と決定され、製品の出荷は8月頃になりそうだという Centrino2のメリット、3Dやビデオ再生性能などが向上するという IntelのSATAインターフェイスのSSDも製品が発表された。フォームファクタは1.8インチないしは2.5インチで、容量は32GB~160GBまで用意されている
2008年後半に投入される予定のNehalem 処理が重たいタッチUIでも、Nehalemなら軽々と処理できるとアピール 今後もTick-Tockモデルは継続され、さらに製品開発は続けられるとアピール

□COMPUTEX TAIPEIのホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□関連記事
【3月7日】【笠原】2008年のIntelプラットフォームを支える“4”シリーズチップセット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0307/ubiq211.htm

(2008年6月4日)

[Reported by 笠原一輝]

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