NECエレ、3年振りに営業黒字を達成
5月14日 発表 NECエレクトロニクス株式会社は14日、記者会見を開催し、2007年度(2008年3月期)の業績(連結)と2008年度(2009年3月期)および2009年度(2010年3月期)の事業展開を発表した。同社代表取締役社長の中島俊雄氏が説明にあたった。 2007年度(2008年3月期)の売上高は前年比0.7%減の6,877億円。そのほとんどを占める半導体の売上高は同1.0%減の6,533億円だった。営業損益は51億円の黒字である。前年度の2006年度(2007年3月期)は286億円の赤字、前々年度の2005年度(2006年3月期)は357億円の赤字となっており、3年振りに営業黒字を達成した。2007年度の税引き前損益は33億円の赤字、当期純損益は160億円の赤字だった。 NECエレクトロニクスは2007年度に大幅な経費削減策を実行した。通年では前年度に比べ、337億円の経費を削減。内訳は研究開発費が195億円の減少、販売および一般管理費が23億円の減少、粗利益が119億円の増加である。粗利益の増加には、償却費、生産固定費、人件費などの削減が寄与した。その結果、売上高が前年同期比でほぼ横ばいであるにもかかわらず、2007年度第2四半期および第3四半期の2四半期連続で営業黒字を計上できていた。第4四半期は当初の見込みである営業赤字よりも業績が良好で、2億円の営業利益を出すことができた。 売上高を主要製品別にみると、SoC(system on a chip)製品が前年比3%減の2,513億円、MCU(マイコン)が同7%増の1,801億円、個別半導体製品が同4%減の2,219億円とまだら模様になった。なお、NECエレクトロニクスの製品分類では、SoC製品は150nmプロセスや90nmプロセス、55nmプロセスによる高集積LSI(カスタム品や特定用途向け標準品など)を、個別半導体製品は成熟したプロセスによるIC(ディスプレイドライバICやミクスドシグナルICなど)とディスクリート(パワーMOS FETや化合物半導体デバイスなど)を意味する。 応用分野別の売上高では、民生用電子機器向けが前年比11%増の1,345億円、自動車および産業機器向けが同6.8%増の1,133億円と好調だった。民生用電子機器向けではデジタルカメラ向けが大幅に減少したものの、ゲーム機向けやデジタルTV向けが増加したほか、青色DVD機器向け半導体の出荷が本格化したため、全体では2桁増となった。自動車および産業機器向けでは産業機器向けが減少したが、自動車用マイコンが日本と欧州でシェアを伸ばし、大幅な売り上げ増となったことが全体の増加に寄与した。一方で通信機器向けは前年比29.4%減の704億円と大きく落ち込んだ。携帯電話機用液晶ドライバICと携帯電話機用メモリの需要減と単価下落が響いた。 地域別の売上高は日本が前年比1.9%減の3,702億円、米国が同13.6%減の583億円、欧州が同7.9%増の959億円、アジア(日本を除く)が同3.0%増の1,633億円である。売上高比率は日本が53.8%、米国が8.5%、欧州が14.0%、アジア(日本を除く)が23.7%。営業損益は日本が94億円の赤字、米国が8億円の黒字、欧州が20億円の黒字、アジア(日本を除く)が117億円の黒字となった。
2008年度(2009年3月期)の事業展開では、当期純損益でも黒字を目指すと説明した。売上高は前年に比べてほぼ横ばいの6,850億円、半導体売上高も横ばいで6,500億円の計画である。営業利益は2倍の100億円に増やし、税引き前損益は40億円の黒字に転換する。なお為替交換比率は2007年度が1ドル116円、1ユーロ161円だったのに対し、2008年度計画では1ドル100円、1ユーロ160円とドル安の比率を仮定している。ドル安によって売上高は約300億円減少し、営業利益は約200億円減少すると見込んだ。
さらに、中期計画として2009年度(2010年3月期)に向けた取り組みを示した。2009年度には売り上げの拡大によって利益率を高め、営業利益率で5%の達成を目指す。主要製品であるSoC、MCU、個別半導体のそれぞれで、成長分野を軸に売上高を伸ばしていく。 □NECエレクトロニクスのホームページ (2008年5月15日) [Reported by 福田昭]
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