IDT、DisplayPort準拠レシーバをサンプル出荷
3月27日(日本時間) 開催 米IDTは27日(日本時間)、都内で記者発表会を開催し、同社が25日よりサンプル出荷を開始したフラットパネルディスプレイ(FPD)向けのDisplayPort準拠レシーバ「VPP1600EMG」についての説明会を開催した。 VPP1600EMGは同社初となるDisplayPort準拠レシーバで、レシーバ機能に加えて、直結駆動型ディスプレイに対応するイコライザや拡散スペクトラム・クロック生成器、miniLVDS/RSDSトランスミッタなどを統合。また、ディスプレイのバックライトを調節できるPWM機能や、ガンマ補正、輝度/コントラスト調節機能などを備える。 発表会の冒頭では、同社日本法人 代表取締役社長 尾山佳助氏が挨拶。同氏は、同社のDisplayPortへの取り組みについて、「我々はDisplayPort規格の策定においては主導的な立場にあり、VESA団体でスペックの策定などを行なっている。現在はさまざまな顧客と協業し、互換性の検証テストなどをやっている。今後DisplayPort採用のFPD市場においての主導権を獲得したい」と語った。
新製品の概要については、米国から来日した本社 バイス・プレジデント兼 デジタル・ディスプレイ・オペレーション担当ゼネラル・マネージャのジ・パーク氏が説明。同氏は「4Kの液晶プロジェクタの登場や、高解像度液晶ディスプレイの登場により、デジタルメディアにおいては次期の波が来ている。これらの製品によってコンシューマユーザーはデジタルメディアの体験が向上するが、その製品を支える半導体を創り出すのが我々の使命であると自負している」と語った。 また、現在PCにおけるディスプレイインターフェイスの進化において、「過去にいくつものディスプレイインターフェイス規格が出ていたが、時代が進むにつれそのインターフェイスの壁が見えてきた。Dual LVDS(Dual-DVI)においても同様であるが、DisplayPortではその壁を取り払うことができ、将来にわたって継続できる規格である」と説明した。
その理由は、DisplayPortがパケットベースでデータ転送するためだという。このためオーディオの転送が可能なほか、将来的には機能を拡張できる。また、現時点では10.8Gbpsまでの転送速度をサポートするが、将来的にはプロトコルの改善で21.6Gbps以上に引き上げることも可能だという。 また、DisplayPortの特徴としては、DVIと比較して解像度や色深度を高めつつ、ピン数および結線を40%削減可能。メリットとしてはコネクタサイズを縮小できるほか、低コスト化や省電力化にも貢献する。さらに、直結駆動型ディスプレイと接続可能で、全体の部品点数を減らせる。ロイヤリティの支払い義務もないオープンスタンダードであるため、システム全体のコスト削減に役立つとした。 一方、DisplayPort普及の課題としては、業界全体の後押しが必要なほか、エコシステムの構築、相互接続性の検証、性能とコスト面の利点を示す必要があるとした。 続いて、同社製品VPP1600EMGの特徴について、「我々の製品は独自の設計サービスモデルと製造手法により、ベンダーに要求されたカスタム機能を短期間で搭載できる。また、設計時のテストを我々が行なうことで、互換性について検証することができる。ノートブック向けではオリジナルのカスタマイズを活用することで低消費電力を実現するほか、我々が市場をリードする拡散スペクトラム技術でEMI低減に貢献できる」とアピールした。 加えて、開発ツールや技術サポートをしっかり行なうことで、ディスプレイベンダーが搭載製品を市場投入するまでの時間を短縮できるとした。
将来のビジョンとしては、さまざまなプロトコルの開発行ない、より機能を充実させるほか、次世代の高い転送レートをサポートする製品の開発をしていきたいとした。 質疑応答では、DisplayPort搭載のFPD市場における同社のシェア目標についての質問がなされ、パーク氏は、「2009年の予想だが、4億台のうち3億台に我々の製品を搭載したいと考えている。日本においてはこの20%を狙いたい」とした。また、競合については、「現時点ではSTMicroelectronicsに買収されたGenesis Microchipが我々とほぼ同レベルまできており、他にも2社ほど存在する」とした。 □IDTのホームページ(英文) (2008年3月27日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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