CeBIT 2008現地レポート【アラカルト編】 CeBIT会場で見つけた気になるPC関連製品
会期: 3月4日~9日(現地時間) 会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe) 大型のビジネス向け機器から携帯電話、ポータブルナビまで雑多な製品が展示されるCeBIT会場は、PC関連製品も多種多様。そうした展示品の中から、気になったものをピックアップして紹介したい。 ●オーバークロックメモリはDDR3-2000超が新たなトレンド 先にお伝えした【NVIDIAマザーボード編】で、CorsairがDDR3-2133動作のデモを行なっていたことをお伝えした。DDR3 SDRAMのオーバークロック向け製品は、その数字のインパクトの大きさもあって、DDR3-2000相当を超えることが1つのトレンドになっている。 もっとも高速な製品/動作デモは先のCorsairが行なったDDR3-2133/8-8-8-24というものだが、同一クロックで動作する製品はTeamブースでも展示されていた。ただし、こちらはメモリパラメータが10-10-10-30と若干遅めの設定となっている。 次いで高速なDDR3 SDRAMを展示したのがOCZ Technology。同社の水冷対応メモリ「Flex」の後継となる、「Flex2」ブランドの製品でDDR3-2100/10-10-10の製品。このほか、DDR2-1150/5-5-5のモジュールもラインナップ。発売は2週間後を目指している。 ちなみに、Flex2では水冷のコネクタを4個に増やすことで、メモリチップを両面実装したメモリモジュールにおける冷却性能を向上させている。コネクタは若干小型化されているが、さまざまなパイプ径に対応できるアダプタが付属するという。 PATRIOT MemoryのブースではDDR3-2000/8-8-8-20モジュールの展示を行なっていた。この製品を使用し、FSBを500MHz(2,000MHz相当)に設定。500×6でCore 2 Duo E6850定格の3GHzで動作させるというデモも実施されている。
●GIGABYTEは水冷キット内蔵のメモリクーラーを展示
やはりメモリ関連の話題となるが、GIGABYTEは水冷キットを内蔵したメモリクーラー「Cool Rain」を展示した。先述したOCZ TechnologyのFlex/Flex2シリーズとは異なり、この製品で水冷キットとして完結しているのが特徴で、非常に小型のポンプが使用されていることになる。 ラジエータ部には2個の50mm角ファンを備えるほか、メモリに対して垂直に近い角度へラジエータを持ち上げることも可能。また本製品1台で2枚のメモリモジュールを冷却することができるので、デュアルチャネルメモリインターフェイスの環境にも適応できる。 現時点ではプロトタイプ製品とのことだが、オーバークロック用途には注目できる製品といえるだろう。 ●フィン形状と軸受けの工夫で差別化される冷却ファン 多くのPCにとって、冷却ファンの存在は欠かせない。PCでは、軸と同じ方向に風が流れる軸流ファンが多用されているが、この製品もサイズの制約や特許の壁などを乗り越え、地道な進化が続いている製品ジャンルだ。このCeBITでも、2社からユニークな製品が展示されている。 1つはENERMAXの「TWISTER BEARING Technology」を採用するファン。まず、羽根の形状がユニークであることが分かる。これはコウモリの羽をイメージしたもので、気圧差が大きく発生するポイントを2か所に分けることで、風量を増加させている。また、軸受けにはマグネットを使用。制御可能な電磁コイルによって軸を浮遊させる状態を維持し、摩擦による劣化が発生しないような仕組みになっている。 もう1つはCooler Masterの「Leaf-Spring case fan」。こちらも、羽根の形状からしてユニーク。やはり風量を増すためのアプローチだ。そして、軸受けには金属製スプリングを埋め込み、車のサスペンションのような仕組みで振動を抑制して静音性につなげている。
●ユニークなPCケース3製品 Cooler Masterのブースでは、製品名のないファンレス小型ケースが展示された。Intelが提唱するECX(Embedded Compact eXtended)フォームファクターに準拠する、組み込み用途向けの製品となる。アルミ製で、ケースの両脇にフィンを設け、放熱性を高めている。 展示されたサンプルでは、前面にUSB 2.0×2、サウンド入出力、背面にミニD-Sub15ピン、LAN、PS/2×2、USB 2.0×2、シリアル端子、拡張カード端子を備えており、組み込み用途っぽい雰囲気はあるもののPCとしても実用に耐えそうな作りだ。ケースの単体発売に関しては具体的な予定はないそうだが、Mini-ITXフォームファクターのような小型PCに注目する人が増える昨今、非常に興味深い展示物といえる。
2007年のCeBITで、光学ドライブのトレイが垂直にせり出すPCケース「R-2 TOAST」を展示した韓国GMCのブースでは、その後継モデルとなる「R-4 bulldozer」が披露された。光学ドライブが下向きに設置されるという違いはあるものの、基本的な構造はR-2 TOASTと変わりない。ただし外観が大胆に変更されており、ロボットを意識したデザインとなった。R-2 TOASTは仕組みのインパクトに対して、見た目は普通のケースだったが、本製品は一目で“何か違う”ケースであることを感じさせるデザインといえる。 また搭載可能なファンに変更が加えられた。R-2 TOASTでは前後に80mm角ファンを装着可能な仕様であったが、本製品では前面に92mmファン、背面に120mmファン、下部に80mmファン、側面に80mmファンを搭載可能。それでいて本体サイズはR-2 TOASTと同じであり、奥行きの短さという特徴は維持された。冷却能力の向上という実用面での仕様強化は歓迎できるだろう。時期に関しては明確にされなかったが、日本での発売も検討しているという。
中国Golden Fieldが展示した「6025R」は、左右にイルミネーションバーを配したデザインが印象的なATXケース。本体前面には温度表示やファンコントロールを行なう液晶が内蔵されるなど、見た目にもLan Party向けの製品である。 最大の特徴は本体天板部に備え付けられたハンドルだ。このハンドルは6段階にシフトし、オーディオ出力のボリュームを簡単に切り換えできるもの。このオーディオ出力のボリュームに合わせてイルミネーションの光り方も変化する。また、このハンドルは“持ち運ぶときにも使える”と、ブーススタッフがハンドルを手にケースを持ち上げてくれた。これはかなりバランスが悪い印象を受けたのを否定できないが、一石二鳥の機能を持たせたハンドルとなっている。
●趣向を凝らした台湾ベンダーのマウス
Geniusブランドを展開する台湾KYE Systemsのブースで展示された「Traveler 525 Laser」は、マウスの上部を左右に傾けることで左右ボタンをクリックする仕組みによりデザイン性を高めたマウス。 昨今のマウスでは珍しくホイールを装着しておらず、非常にフラットなデザインが印象的だが、ホイールの代わりに同社が特許を持つという光学式ホイールを採用。一般にホイールが装着される部分の丸いボタン(実はレンズにもなっている)の上を指でなぞることで、内部のセンサーが動きを検知。ホイールと同じ動きをする仕組みになっている。 マウス自体はレーザー方式のマウスとなっており、ボタンはほかに、Windows VistaのFlip 3D用のボタンなども装備されている。 ASUSTeKの「MS-71」は一見するとUSBメモリにも間違えそうなほどの小型マウスだ。光学式の無線マウスで、レシーバ部と一体化して持ち運べるのが特徴。レシーバ部は磁石を用いてマウスと接続することで、マウスに内蔵されたバッテリの充電も行なえる仕組みになっている。
□CeBITのホームページ(英文) (2008年3月7日) [Reported by 多和田新也]
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