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ThinkPad X300発表会レポート
~T61の機能とX61のモバイル性を両立

製品事業部担当 執行役員 落合敏彦氏

2月26日 実施



 レノボ・ジャパン株式会社は26日、薄型軽量モバイルノート「ThinkPad X300」の記者発表会を都内で開催した。

 冒頭では、同社 製品事業部担当 執行役員 落合敏彦氏が挨拶。同氏は、「X300は現時点の最新のテクノロジを、レノボが持つ最高の技術を駆使して詰め込んだ製品である」と表現。これはX61のモビリティにT61の相当の機能を搭載したに等しいとし、X61の上位機種として位置づけるとした。

 X300の主な特徴としては、ポータビリティとスタイリッシュなデザインの追求、オプションバッテリによる長時間駆動、従来のThinkPadから引き継いだセキュリティと堅牢性、およびユーザビリティ、そして環境への配慮の4点を挙げた。

 ポータビリティ面では13.3型ワイド液晶/光学ドライブ搭載機でありながら最薄部18.6mmの薄さと1.43kgの軽量性を追求。デザイン面では、ThinkPadの象徴でもある「黒」をさらに強調し、ヒンジ部やヒートシンクにも黒塗装を施した。また、Lenovoのロゴもエンボス加工で天板に追加した。

 長時間駆動面では、標準バッテリは3セルで3.2時間とやや短いが、オプションで6セルバッテリに変更でき、さらに光学ドライブベイに装着できるバッテリを用意することで、最大8.2時間の駆動時間を確保したという。

 ユーザビリティ面では、キータッチと耐久性を向上させたとともに、プロダクティビティ・センターの改善などを施した。そして環境への配慮としては、米国グリーン調達基準EPEATのGoldランク、およびEnergy Star 4.0を取得しているとした。

X300はThinkPadシリーズの基本性能と機能を妥協することなく詰め込んだ ThinkPad X300がシリーズ内での位置づけ

 このうちプロダクティビティ・センターの新機能について落合氏が詳しく解説。POP3メールソフトがメッセージ・センターと連動し、着信とともにThinkVantageボタンが点滅を繰り返すようになったという。

 また、省電力マネージャーでは、光学ドライブ未使用時に、一定時間で光学ドライブをOFFにする機能を追加し、駆動時間の延長を図ったほか、液晶を閉じたときの動作を遅延させる機能も追加し、短距離移動時に不必要なサスペンド動作などを低減させたとした。

 X300のターゲットとしては、堅牢性とセキュリティ、および最新のテクノロジとデザインを求めるビジネスユーザーに最適としており、落合氏は、「ユーザーのビジネスの成功を支援するのがThinkPadの役目であるが、X300の機能と性能とモビリティによってビジネスを最大限に支援できると自負している」と語った。

メール着信とともにThinkVantageボタンが点滅するようになった 未使用時に一定時間で光学ドライブを電源OFFさせる機能を追加。電源ONはマイコンピュータの光学ドライブアイコンのコンテキストメニューからでも行なえる 液晶を閉じたときにスタンバイに移行する時間を遅らせることができ、不必要なサスペンドを回避できる

●T61の機能とX61のモビリティの両立

 X300のハードウェアについて、同社 大和事業所 研究・開発 チーフエンジニア 福島晃氏が説明した。

大和事業所 研究・開発 チーフエンジニア 福島晃氏

 機能面では、解像度1,440×900ドット(WXGA+)の液晶、光学ドライブやMIMOアンテナ、ウルトラナビの搭載、およびRoll Cageの採用などにより、T61と同等を実現している。また、SSDの採用により高性能と小型化の両立を実現したという。

 一方、薄型/軽量を実現するために、ホワイトLEDバックライト液晶を搭載するとともに、Intelが推奨するSSF(Small Form Factor)パッケージのCPU/チップセットを採用し、実装面積を減らすことに成功した。

 また、従来の基板は裏と表の層のみがビアホールで結線される標準PCBを採用していたが、X300では中間層へもビアホールで結線するHDI(High Density Interconnect)基板を採用し、面積比と重量を減らした。

SFFとHDIの採用により、T61と比較して基板面積を50%、重量を60%減に成功 マザーボードに装着されるSFFパッケージのCPUとチップセット 基板上にはLenovoのロゴが入ったチップも見える

 堅牢性を維持するために、ハイブリッドCFRP(炭素繊維強化プラスチック)のカバーを採用。天板へのボール落下実験においても、T61の「LCD Roll Cage」と比較して高い耐性を示したという。

 一方本体側に搭載されるRoll Cageについては、従来キーボードベゼルと分離されていたものを、一体化させる構造を採用。これにより片手で隅を持ち上げたとしても、重要部品にかかる負荷を15%低減させたという。

ハイブリッドCFRPカバーを採用 無線アンテナはトップ部に6基も装備される。信号を低減させないために、アンテナ部のみ非導電性材料のGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用
ボール落下による耐衝撃実験ではT61のLCD Roll Cage構造を上回る性能を実現 本体のRoll Cage構造も一新し強度がより増した

 キーボードについては、モバイルでの使用に考慮し、キーの押下開始時と完全押下時の指にかかる反発力の差を広め、クリック感を強調した。新たにキートップへのコーティングを施し、耐久性と高級感を両立させたという。

 一方、熱設計においては、CPUのリーク電流は温度上昇とともに上昇する点に注目し、ファンの消費電力を考慮しつつ、積極的にファンで冷やす設計とした。回転スピードも4段階調整となり、ふくろう羽ブレード形状のフィンで静音性にも配慮。さらにエアフローの改善により、キーボード周辺と底面の温度を低減させたという。

キーボードはフルサイズで、クリック感を向上させた キーボードにこぼした水を底面に排出するためのホールの形状も変更され、排出効率が向上 熱設計も見直し、キーボードや底面の温度を低減させた

●デザインにもこだわったプレミアムモバイル

研究・開発 デザイン 部長 高橋知之氏

 X300のデザインの特徴については、同社 研究・開発 デザイン 部長 高橋知之氏が説明。同氏は、「ThinkPadのデザインはLenovo デザイン顧問のRichard Sapper氏とのコラボレーションによって確立したが、彼のデザインは流行とは無縁であり、ThinkPad X300もその流れを受け継いでいる」とした。

 X300のデザインの引き合いとして、10年前('98年)の「ThinkPad 600」を例に紹介したが、「このデザインは現在にも通じるものがあり、X300もそれから目立って変わった点はない。変わったのは薄くなったということぐらいだ」と述べた。

 やや細かい点があるとすれば、パームレストの塗装が天板に近いラバー風塗装に変わったほか、ヒンジ部を黒塗装に変え、高級感を出した。天板のロゴは「ThinkPad」とエンボス加工の「Lenovo」に変更。また、パームレストにはステレオスピーカーが加わった。

 キーボードのデザインとしては、ThinkVantageボタンとCapsLockにLEDを加えたほか、ミュートアイコンも赤LED内蔵となった。一方トラックポイントは左右ボタンに赤線、中ボタンに青破線のデザインを復活。パッドにはスクロールインジケーションを加え、使いやすさを向上させたという。

 同氏は、「これらのデザインの変更は使いやすさだけでなく、製品を所持する喜びを高めるためにデザイナーが考慮した結果である。世界に誇れるデザインエンジニアを我々が保持している象徴である」と語った。

ThinkPadのデザインは流行に左右されない '98年発売ThinkPad 600。一貫したデザインを強調 日本未発売のWireless USBのモジュールも参考展示された

レノボ・ジャパンのホームページ
http://www.lenovo.com/jp/ja/
□ニュースリリース
http://www.lenovo.com/news/jp/ja/2008/02/0226.html
□製品情報
http://www-06.ibm.com/jp/pc/notebooks/thinkpad/x-series/x300_lineup.shtml
□関連記事
【2月26日】レノボ、1.42kgのSSDモバイルノート「ThinkPad X300」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0226/lenovo1.htm

(2008年2月26日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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