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2008 International CESレポート【Intelブース編】

ウィルコムのMenlow搭載プロトタイプが展示される

新しくなったCentrinoのロゴ

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo and Convention Center/The Venetian

会期:1月7日~10日



 半導体メーカーのIntelは、CES初日にポール・オッテリーニ社長兼CEOが基調講演を行ない、家電向けSoCのCanmoreとポータブル機器向けのMenlowプラットフォームをアピールした。CESの展示会場においても大きなブースを設置し、新製品などをアピールしている。

 特にMenlowを搭載した製品はリリースが近いということもあり、多くの製品が展示されたが、その中でも日本のユーザーにとって注目なのは、日本のメーカーやキャリアの製品が含まれていたことだ。東芝に関してはすでに別記事で詳細をお伝えした通りだが、Intelブースには用途や仕様も全く不明なウィルコムの通信機器も展示されていたのだ。

●筆箱型のウィルコムのMenlow搭載機器。CPU、ストレージ、通信モジュールを内蔵

 Intelのブースに展示されたのは、日本のキャリアであるウィルコムのロゴが入ったプロトタイプだ。Intelの関係者によればこの製品は「データデバイス」とのことで、プラットフォームとしてMenlowを搭載し、1GBメモリ、HDDまたはSSDのようなストレージを内蔵し、PHS方式の通信モジュールを内蔵しているという。しかし、わかったことはそれだけで、それ以上のことはIntelの関係者もわからないという。

 実際製品を見てみると、筆箱としか言いようがないデザインで、表面、裏面の両面にウィルコムのロゴが入っていることを除けば、なんだかよくわからないというのが正直なところだ。最初は中央に溝があるのでそれが割れてディスプレイが出てくるのかと思ったのだが、そういうわけでもなく、どうもこのまま利用するようだ。ならば、ディスプレイ出力がついていて、それと接続するのかと思ったのだが、よく見てみると、どこにも接続端子らしきモノがない(そもそも充電用の端子もない)。

 あるのは1つで、スイッチだ。それをオンにしてみたところ、今度は中央あたりでLEDが赤く点滅を始めた。それは断続的に点滅しており、少なくともなんらかのバッテリーが入っていて動作するものであることは確認することができた。

Intelのブースに展示されていたウィルコムのMenlow搭載のプロトタイプ あるのは機械式のスイッチだけ、それをオンにすると赤く光り出したが…
このように中央にあるLEDが赤く点滅するが、今のところそれ以外の動作は特にしなかったようだ

●今のところはプロトタイプ、最終的にはMIDかUMPCのような製品になるか?

 じゃあなんだ? と言われると、結局最後までわからなかった。そこら中のIntelの関係者に聞いてみたのだが、全くわからず、あげくの果てには「これはデザイン用のモックで動かないんだ」と言われる始末……(写真でわかるように実際には何らかの動作をしていた)。そんなわけで、何であるかは“神のみぞ知る”、いや“ウィルコムのみぞ知る”という状態だ。

 しかし、「最終的にはPCになると聞いている」という展示員もいたので、これが最終的な形ではない可能性が高い。ここからは筆者の勝手な予想だが、最終的にはちゃんとディスプレイもついて、W-ZERO3のような形になるのではないだろうか。サイズ的にはW-ZERO3よりはやや大きいものの、それでもPCアーキテクチャであることを考えれば十分あり得る話だ。きっと、今のところはかなり初期のプロトタイプで、これからキーボードやディスプレイなどがついて行って完成型になる、そのあたりではないかと思うのだが、いかがだろうか。

 ただ、1つだけ確実に言えることは、ウィルコムがまだプロトタイプであるにせよ、Menlowベースのデバイスを展示したことは、ウィルコムからMenlowベースのMIDなりUMPCをリリースすることを検討していることは間違いないということだ。そうでなければ、こうした展示を行なうことはあり得ないわけで、今回の展示はそうしたウィルコムの意思表示だと考えればわかりやすいだろう。

 だとすれば、W-ZERO3ユーザーにとっては朗報といえるし、W-ZERO3ユーザーでなくても定額制のデータ通信と組み合わせてMID/UMPCを使いたいと考えるユーザーにとっても朗報と言えるだろう。

【編集部追記】
 この件について、僚誌ケータイWatchがウィルコムに問い合わせたところ、「Menlowを採用した製品で、現在開発していることは事実。しかし、発売時期や価格、メーカーは現段階では明らかにできない。(出展した目的について)海外に向けて誇れるような端末を日本で創る、という意気込みで出展することにした」とのコメントを発表している。

□関連記事
ウィルコム、CES出展の「謎のプロトタイプ」にコメント
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/37918.html

●GIGABYTEやLGなどからMIDが展示される

 このほかにもIntelブースにはMIDやUMPCが展示された。一昨日のニュースでお伝えしたLenovoに加え、GIGABYTEやLGといったメーカーからもUMPC/MIDが展示された。GIGABYTEが展示したのはLinuxベースのMIDで、スライド式のキーボードを備えている。ディスプレイはタッチパネルになっており、指での操作も可能になっている。

 また、同じく現地時間の1月7日に、新しい45nmプロセスルールのノートPC向けCore 2 Duoを発表したことから、それらを搭載した製品も多数が展示されていた

GIGABYTEのLinuxベースのMID。スライド式のキーボードとタッチパネルでのオペレーションが可能 LGのUMPC、Intelブースでは詳細は特に表示されていなかった
IntelのUMPC/MIDブースには多くの来場者が足をとめていた Intelブースに展示されていた多数のノートPC

●先日発表されたIntel製SSDの展示も行なわれる。USB接続ないしはPATA接続

 このほか、Intelブースでは昨年(2007年)の暮れに発表されたIntelとMicronの合弁企業により生産されているフラッシュメモリを利用したSSDの展示も行なわれた。

 展示されたのはUSB経由で利用できるモジュールと、PATAのインターフェイスで基板に直づけできる2つのタイプだ。基板に直づけできるPATAタイプはユニークで、コントローラがメモリと亀の子状態で実装されており、少ないスペースにSSDを実装できるようになっている。UMPCやMIDのようなスペースに制限がある製品に実装することを前提としている。

 現時点では1チップで2GB/4GBが用意されており、コントローラが亀の子で実装されているものに加えてさらに3つのフラッシュメモリを追加することができるようになっており、合計で16GB(4GB×4)構成が可能になるという。

 Intelとしてはメインストレージの容量があまり大きくなくてもよいMIDや100ドルPCのような低価格PCを対象として考えており、今後OEMメーカーなどに積極的に売り込んでいく予定だ。

左が新しいUSB接続のSSD(4GBないしは8GB)。 左はIntel Turbo Memory PATA接続のSSD。左下の1つが、コントローラと亀の子で実装されており、そこに3つのフラッシュメモリを追加することで、最大で16GB構成が可能

□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□関連記事
【1月9日】【CES】Intel基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0109/ces09.htm
【1月8日】【CES】東芝の新型UMPCと、Lenovoの「ideaPad U110」が参考出品
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0108/ces04.htm

(2008年1月9日)

[Reported by 笠原一輝]

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