【IDF Fall 2007ベンチマークセッションレポート】
SkulltrailとモバイルPenrynのベンチマーク結果を公表
会期:9月18日~20日(現地時間) 会場:San Francisco「Moscone Center West」 IDF Fall 2007のおける大きな話題として、デスクトップではSkulltrailの詳細発表、モバイルPCではMontevinaが挙げられる。これらの製品のベンチマーク測定を行なうことができるセッションが報道関係者向けに設けられたので、その結果をお伝えしたい。 なお、一部データはIntelから数字の提供を受けたものであるほか、セッションには他媒体関係者も出席していたため、一部データは他媒体と重複する可能性があることをお断りしておく。 ●デスクトッププラットフォーム:「Skulltrail」vs「Yorkfield+X38」 まずは、Skulltrailのベンチマークから紹介していきたい。テストに用意された環境は表1に示したとおりで、3.4GHzで動作しSLIを構築しているSkulltrailと、Yorkfieldの3.0GHzとIntel X38を組み合わせたシングルビデオカード環境の比較となっている。Yorkfield 3.0GHzについては、要するにCore 2 Extreme QX9650そのものと見ていいが、担当者の言質を得られていないため、ここではYorkfield 3.0GHzという表現を用いている。
【表1】テスト環境
ちなみに、Skulltailのスペックに関して、Xeon DPのStoakrayベースであることから、PCI Express Gen2をサポートしている見られていたが、今回のセッションで通常のPCI Expressを32レーン分備えていることが説明された。 PCI Expressインターフェイスはノースブリッジ側から出ており、NVIDIA製のスイッチチップを2個利用して、1個当たりx8×2スロット、計4スロットのPCI Express x16スロットが提供されることになる。NVIDIA SLIに対応することは既報のとおりだ。 そのベンチマーク結果は表2にまとめている。8コア+3.4GHz+SLIと、4コア+3.0GHz+シングルビデオカードという、あまりにも違いすぎる環境ゆえ、「Skulltrailは速い」以上のことに言及することは難しい。 【表2】ベンチマークスコア
しかし、CPUコアとGPUが倍であるうえ、クロックも上位となるわりには、もっとも差が付いたCineBench R10の結果でも1.83倍程度に留まっており、おおよそ1.3~1.4倍程度の差である結果が多い。Skulltrailのポテンシャルは十分に引き出されていない印象を受けるのも事実である。 とはいえ、比較対象となっているYorkfield 3.0GHz+Intel X38にしても、11月12日にはシングルCPU+シングルGPUで最も高速になるはずの環境である。そのスコアを軽く上回り、かつ性能が限界まで引き出されていないとなると、少々末恐ろしさも感じられよう。こうしたクラスの製品では、少しでも上の性能である、ということが何にも増して重要なわけで、その点ではコンシューマユーザ向けとしては最高性能を期待できる製品であるのは間違いない。 ●モバイルプラットフォーム:「Penryn」vs「Merom」 続いてはモバイル向けの製品のベンチマークだ。環境は表3に示したとおり、Montevinaで採用されるPenrynコアのCPUと、従来のMeromコアのCPUを取り換えた以外の環境は完全に同一になっている。テスト環境のプラットフォームはSanta Rosaである。 【表3】テスト環境
テスト結果は動画エンコードのみとなるが、表4にまとめている。クロック差は200MHz、PenrynとMeromのクロック比率は7%増となるが、TMPGEncで58%の伸び、DivXでは91%の伸びという2倍近い大きな性能向上を、Penrynコアが見せている。 【表4】ベンチマークスコア
ここで少し思い出したいのが、春のIDFで紹介したデスクトップ向けPenrynのベンチマーク結果であるが、このときはクアッドコア製品ではあったものの、クロック差13.5%に対して20~30%程度が平均的な伸び率であった。今回はデュアルコアではあるものの、それに比べて明らかに違い、大きな性能の違いといえる。 その理由がSSE4にあるのは言うまでもないだろう。DivX 6.6.1がSSE4対応なのは間違いないのだが、TMPGEnc 4.0 XPressに関しては結果のデータを得ただけでソフトウェアやテスト条件の詳細は不明である。ただ、先述のデスクトップ版の結果ではSSE4に対応していないMainConcept H.264 Encoderにおいて極端な伸びは示していない。今回のTMPGEncにおける1.5倍以上というスコアの伸びからすると、SSE4対応のβ版なのではないかと想像される。 この結果に関しては、Penrynの強みだけが示された格好になっているため、そのまま受け取り過ぎるのは危険である。だが、パルムッター氏の基調講演でも述べられたとおり、従来ノートPCが苦手とされてきた動画エンコードのようなリッチコンテンツを扱う際のパフォーマンスは、PenrynとソフトウェアのSSE4対応によって、大幅に改善されるということは、この数字からも明確である。 □IDF Fall 2007のホームページ(英文) (2007年9月21日) [Reported by 多和田新也]
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