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エプソン、インクジェット新製品発表会
~「じぶんを、出そう」がキーワード

情報機器事業本部 事業本部長 小口徹氏

9月20日 実施



 セイコーエプソン株式会社は20日、インクジェット複合機/単機能機の新製品を発表。これにあわせて都内で製品発表会を開催した。

 冒頭では、同社 情報機器事業本部 事業本部長 小口徹氏が挨拶。同氏はまず、国内および海外のプリンタ市場規模について紹介し、「プリンタ市場は近い将来、アジアパシフィック市場での伸びが期待されるが、日本市場においてはマイナス成長している。実際に2007年上半期でも前期比約5%減となった。しかし下期はPC市場の回復やデジカメ市場の拡大により、プリンタ市場の回復に期待している」と述べた。

 今後の戦略としては、利益を重視したモデルを採るという。過去はローエンド向けのラインナップを絞っていたため、いったんシェアを落とした時期もあったが、「2007年度は部品の見直しなどによりコストダウンを図り、市場競争力が高い商品をラインナップした。全商品のジャンルで、国内でシェア50%を狙う」と抱負を語った。

国内/国外のプリンタ市場推移(予測) 製品のプロモーション戦略

 製品のプロモーション戦略としては、「コンシューマ向けは当社にとっての主力事業であり、強力な商品ラインナップでさらなる強化を図った。そのため、これまで謳っていた“速い”、“キレイ”、“安心”、“簡単”という4つのコンセプトを、今回の新開発の技術によってさらに強化し、アピールしたい」と説明した。

●速い、キレイ、安心、簡単を実現する技術

 新製品に採用されている技術について、同社 コンシューマ機器事業部 事業部長 遠藤鋼一氏が紹介した。同氏によれば、2007年秋の新製品は5つの戦略に則った新技術を開発したという。

コンシューマ機器事業部 事業部長 遠藤鋼一氏

 1つ目は、同社の自動画像補正技術「オートフォトファイン! EX」、耐久性に優れた染料インク「つよインク」、写真を印刷するための「純正写真用紙」を組み合わせることで、最高の印刷品質を実現する「Epson Color」ブランドの強化。

 2つ目は、店頭プリントや競合プリンタに勝つための「きれいで速い」、「簡単で安心」、「便利で楽しい」の進化。プリンタヘッドのインク吐出速度向上による印刷速度の向上、画像処理エンジン「REALOID」の高速化、左から右へ操作するUIによる容易な操作、「ナチュラルフェイス」による顔補正技術などを挙げた。

 3つ目は単機能機「PX-V780」に搭載されたブラック2インクシステムによる、モノクロ印刷の高速化。ノイズ数を360本としたことで、最大37ppmを実現。また、顔料インクによる防水性で、小売店や飲食店などのスモールオフィスでの需要に応えたとしている。

 4つ目はデジタルホームネットワーク対応の強化。複合機最上位の「PM-T960」では無線LANや有線LANの装備によりTVなどの家電から印刷できる「テレプリパ」に対応しているほか、赤外線ポート搭載機では携帯電話からコンテンツの印刷が可能な「モバプリ」への対応を行なった。

 5つ目は本体のデザイン。フォトプリント用の3機種はいずれもピアノブラックを基調としたデザインとし、リビングでの設置に配慮。一方普通紙向けの2機種はホワイトを基調とし、コンパクト性を追求したという。

「Epson Color」のブランド強化 ヘッド性能の向上と画像処理エンジン「REALOID」による高性能化 UIも使いやすいように強化
「PX-V780」はブラック2インクシステム搭載でモノクロ印刷速度が向上 ネットワーク機能を強化 デザインも一新された

 上記のうち、特に新たに搭載された「ナチュラルフェイス」についてアピールし、遠藤氏は、「これまで、“自分は写真写りが悪いので写さない”というユーザーが多かったが、それは知覚サイズの差が原因だった。今回新たに搭載される“小顔補正”では、印刷結果をより知覚サイズに近づけることで、“自分の顔が好きになる、写真写りの向上”を目指す」と語った。

新たに夜景シーンの検出機能を搭載 明るさ成分と色成分を分離させることにより補正精度が向上
実際に写った写真と立体模型による認知のテスト。被験者の多くは写真を1.5%前後、幅を縮めた方が妥当だと感じている 小顔補正と美白補正をした後のサンプル写真

●“プリンタ”よりも“プリント”をアピール

エプソン販売株式会社 代表取締役 社長 平野清一氏

 年末に向けた販売戦略について、エプソン販売株式会社 代表取締役 社長 平野清一氏は、「デジカメ写真のプリント方法について調査した結果、2006年と比較して2007年は全体的にプリントする傾向が高まった。しかし、家庭でプリントすることに対するネガティブな印象を拭えないユーザーは多く、今回のプロモーションはその印象を払拭するようなものにしたい」と説明。

 新規ターゲット層は、シャッター数が多い20~30代の女性独身層、50~60代の段階世代層、30~40代の主婦層。平野氏は、「これらのユーザーに対しては、いずれも“プリンタ”というハードウェアよりも、“プリント”そのものに関心が高く、プリンタばかり謳っても受け入れにくい。そこで新しいプロモーションは、“プリント”そのものを提案することにより、より多くの層に受け入れられるようにする」とした。

家庭でプリントすることに対してのネガティブなイメージが多い 女性層を中心に新規ユーザー層開拓へ
“プリンタ”ではなく“プリント”を中心としたプロモーション プリントすることによる生活の変化

 その提案として「じぶんを、出そう」という共通のキーワードを提案。「“カラリオ”を使ってプリントすることで、自分磨きや美容、健康、癒し、娯楽、仕事、環境、知育、親子の絆などといった、生活を豊かにするブランドとして認知を広めたい」と説明した。

発表会で展示された「PM-T960」。ネットワーク機能を搭載 T960からネットワークや両面印刷をオプションとした「PM-A940」 「PM-A940」からさらに機能を絞った「PM-A840」
顔料インクで普通紙印刷に特化した複合機「PX-A740」 染料6色インクを採用した単機能機「PM-G860」 顔料インクで普通紙に特化した単機能機「PX-V780」

□セイコーエプソンのホームページ
http://www.epson.jp/
□ニュースリリース
http://www.epson.jp/osirase/2007/070920.htm
http://www.epson.jp/osirase/2007/070920_2.htm
□関連記事
【9月20日】エプソン、小顔/美白補正「ナチュラルフェイス」
搭載のA4複合機
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0920/epson1.htm
【9月20日】エプソン、自動画像補正機能を強化したA4インクジェット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0920/epson2.htm

(2007年9月20日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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