ルネサスの2006年度業績は増収増益
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会長兼CEOの伊藤達氏 |
日本最大の半導体専業メーカーである株式会社ルネサス テクノロジは10日、報道機関およびアナリスト向けの会社説明会を開催し、2006年度(2006年4月~2007年3月)の業績(連結)と2007年度の事業展開を公表した。同社会長兼CEOの伊藤達氏が説明にあたった。
2006年度の売上高は前年比5.1%増の9,526億円、営業利益は同79.4%増の235億円と増収増益だった。売上高営業利益率は2.47%とそれほど高くはない。2005年度の売上高営業利益率1.45%よりは向上したものの、2004年度の同5.09%には及ばない。
主要製品別では、マイコンとSoC(system on a chip)が好調だった。液晶ディスプレイ(LCD)ドライバとRF ICが苦戦したものの、全体では堅い伸びを確保した。地域別の売上高比率は日本が約60%、中国が約10%、日本と中国を除くアジア地域が約15%、欧州が約10%、米州が約5%である。顧客別では日立製作所グループおよび三菱電機グループ向けの売上高が、全体の約15%を占める。
【お詫びと訂正】初出時、キャプション中「フラッシュメモリやSRAMなどのメモリ事業は縮小し」とありましたが、SRAMは新製品開発を続行するとのことです。お詫びして訂正いたします。
ルネサス テクノロジの推定では、DRAMを除く半導体市場の伸びは2005年度に13.8%、2006年度に6.6%だった。2007年度は9.3%の伸びを見込んでいる。
これに対してルネサス テクノロジの2007年度(2007年4月~2008年3月)売上高は前年度とほぼ同じ、9,500億円となる計画である。メモリ事業をさらに縮小していくことによる売り上げ減を、マイコン事業とSoC事業の伸びが補う結果、ほぼ同程度の売り上げになる。マイコンとSoCの売り上げは、合計で約900億円伸ばす予定である。
2007年度の営業利益は前年度とほぼ同じ、230億円となる見込み。これは減価償却の制度変更によって150億円程度の損失が発生するため。マイコンやSoCなどの事業による利益は大きく拡大する。
2007年度(2007年4月~2008年3月)の売上高見込み | 2007年度(2007年4月~2008年3月)の営業利益見込み | ルネサス テクノロジの基本戦略。製品の強化、コストの低減、海外での売り上げ拡大の3点を推し進める |
2007年度の事業展開では、組織を改編したことが大きな変化。2006年度まではシステムソリューション統括本部(SoCと自動車分野など)、汎用製品統括本部(マイコンとアナログ、液晶ドライバなど)、メモリ事業部に分かれていた。これを2007年4月より、システムソリューション統括本部(SoC)、マイコン統括本部(マイコンと自動車分野)、汎用製品統括本部(アナログ、メモリなど)に再編成した。
事業組織再編の概要。マイコン統括本部を新設した。マイコン統括本部とシステムソリューション統括本部がそれぞれ、売上高の35%前後を占めることになる。なおメモリ製品は、汎用製品統括本部が扱う | マイコン統括本部の組織。用途別に5つの事業部を有する。またマイコンのブランドごとにロゴマークを独自にデザインしていたのを、ルネサスブランドで統一した | 汎用製品統括本部の新体制。用途別に事業部を再編した |
また2006年度に苦戦した、RF IC/HPA(ハイパワーアンプ)事業とLCDドライバ事業を立て直す。RF IC/HPAでは生産能力の拡大や設計期間の短縮などにより、大幅な生産増を達成する計画である。LCDドライバ事業では、製品系列の拡充による受注確保、製造納期の短縮といった対策を講じる予定だ。
海外市場では前年度と同様、中国市場への取り組みを引き続き強化する。また海外の設計リソースを拡大し、設計効率を高める。
□ルネサス テクノロジのホームページ
http://japan.renesas.com/homepage.jsp
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【2006年7月6日】ルネサス、マイコン市場で30%のシェアを狙う
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0706/renesas.htm
(2007年5月11日)
[Reported by 福田昭]