●国内で使用可能になったMoGo Mouse BT 2006年の9月、IDFで米国に出かけた際、筆者はNewton Peripheralsの「MoGo Mouse BT」というちょっと変わったマウスを紹介した。PCとBluetoothで接続するマウスはほかにもたくさんあるが、MoGo Mouseがユニークなのは、そのサイズがType2 PCカードとほぼ同じで、ノートPCのスロットにピッタリと収まる点だ。しかも、PCカードスロットから電源の供給を受け、内蔵電池を充電するため、電池を交換したり、別途ACアダプタを持つといったわずらわしさがない。 何ともスマートなアイデアの製品だが、残念ながら致命的な欠点があった。それは日本国内で利用できない、ということだ。Newton Peripheralsは、事実上このMoGo Mouse BTがデビュー作となる、若くてまだ小さな会社。わが国に支社や代理店があるわけでもないから、Mogo Mouse BTをわが国で利用するのに欠かせないな技術基準適合証明(技適)を取得していない。MoGo Mouse BTを国内で利用すると、電波法違反になってしまう。
おもしろい製品なのに惜しいなぁと思っていたら、思いがけない形でMoGo Mouse BTを国内で利用する道が開かれた。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が、MoGo Mouse BTを自社ロゴ製品として、提供することになったのである。自社ロゴ製品というのは、HPの純正オプションとしてワールドワイドで販売される、という意味だ。 MoGo Mouse BTの日本HPでの商品名は、「HP Bluetooth PC Card Mouse」(製品番号RJ316AA)。HP Directplusでの価格は7,140円だが、米国でのHPによる直販価格が59ドル(税別)であることを考えれば、かなり良心的な価格設定ではないかと思う(少なくとも筆者の米国における購入価格はもっと高かった)。 ●HP Directplusで購入可能 国内販売は、2月20日に始まったばかり。とりあえず現時点でHP Directplusから購入できるが、発売後間もないせいか、互換性を持つノートPC(PCカードスロットを持ち、Bluetoothを内蔵した製品)すべての純正オプション欄にリストされるわけではないようだ。それでもオプション一覧表に掲載されているほか、tc4400、nx6310/CT、nx6320/CTなどのオプションとして、購入可能になっている(納品は5営業日)。もちろん、どのノートPCのオプションとして買おうと、マウス自体や価格に違いがあるわけではない。 今回、このHP Bluetooth PC Card Mouseの試作品を試用する機会があった。まだ本番製品ではないため、すべての国の認証番号が入っているわけではないが、すでに米国のFCC IDや、日本の技適ロゴは入っている。もちろん製品では、すべての認証番号が正式なものになっているハズだ。
HP Bluetooth PC Card Mouseは、シンプルな2ボタンマウス。PCカードスロットに収納可能にするため、スクロールホイールなどは用意されていない。ロジクールの「V500」に採用されているタッチ式のスクロールパッドならいけそうな気もするが、何せ容積に余裕がないだけに、難しいかもしれない。何せ、この薄さの中にセンサーやBluetooth無線機に加え、電池まで内蔵しているのである。この内蔵電池による駆動時間だが、HPのWebサイトの情報によると、最大10時間となっている。 ●カード型という付加価値が魅力 シンプルな光学式の2ボタンマウスだから、使い方もシンプル。利用に際して特に専用ドライバなどは必要ないし、付属もしない。BluetoothのHIDプロファイルをサポートした環境であれば、そのまま利用可能だ。マウス底面のスタンドを立て、マウスのステータスライトが青く点滅するまで底面のCONNECTボタンを押し、PC側からペアリングを開始すると、HP Bluetooth PC Card Mouseはすぐに見つかりペアリングは完了する(PINコードはない)。2回目以降は、単にPCカードスロットからマウスを取り出し、底面のスタンドを立ててマウスボタンをクリックすれば、すぐに利用可能になる。 このHP Bluetooth PC Card Mouseは、Bluetoothデバイスであると同時に、PCカードデバイスでもある。が、PCカードデバイスとして何らかの機能を持っているわけではなく、単にスロットから充電用の電力をいただいているだけだから、特にデバイスドライバは必要ない。デバイスとして認識されないと、充電用の電力が供給されないことがあるからだろう。
マウスとしての使い勝手は、極めて普通。ボディが薄いため使いにくいのではないか、と心配する人もいるかもしれないが、意外と気にならないもので、すぐに慣れる。もちろん、マウスボタンの操作性も一般的なマウスと変わりない。マウスとしての使い勝手という点で、付加価値があるとは言えないが、(2ボタンマウスとしては)マイナス要因もない、というところだろうか。 本製品の圧倒的な付加価値は、やはりそのフォームファクタにある。PCカードスロットにおさまり、そこで充電もできるというのは、究極のモビリティだろう。Bluetoothを内蔵し、PCカードスロットを持つモバイルタイプのノートPCユーザーであれば、1枚持っていて損はないだろう。 問題は、わが国で市販されるノートPCにおけるBluetooth搭載率の低さと、徐々にではあるがPCカードスロットに代わりExpressCardスロットが採用され始めていることだ。実は1月のCESで、Newton Peripheralsは、MoGo Mouseの第2弾として、ExpressCard/54スロットに対応した「MoGo Mouse X54」と、豆粒のように小さな(それだけノートPCから出っ張らない)Bluetooth 2.0アダプターの「MoGo Dapter」を発表している(いずれも夏発売予定)。HPには、これらの製品についても、ロゴ製品として販売してもらえることを期待したい。
□Newton Peripheralsのホームページ(英文) (2007年2月22日) [Reported by 元麻布春男]
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