西川和久の不定期コラム

Windows Vista強化月間
その2『パーツの入れ替えとインストール』




vista

 一週目は2002年に組んだマシンを予算5万円内でどうVista化するか? をいろいろ考えた。二週目はその中から決めたプランに従ってパーツを購入、Windows Vistaをインストールしたい。日本広しと言えども、Intel 860のチップセット、Dual Xeon、RIMMのマシンにVistaを入れ、メインPCとして延命させるのはレアケースだろう。

 ただ、チップセットやCPUは違えど、同じ時期にマシンを組み未だにメインPCとして使っている人は多いハズだ。パーツ代3万円強で当時のマシンがどれだけ蘇るか、それはそれで面白いのでは……と思っている。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●秋葉原で買ってきたもの

 先週の最後に書いた7つのプランの内、筆者が選んだのは『4.バランス重視2(メモリ増設)/予算数千円オーバー、NVIDIA GeForce 7300 GT(256MB) or GeForce 7600 GS(256MB) + HDD(Ultra ATA/100) + Gigabit Ethernetカード + RIMM 512MB×2』となった。但し、メモリに関しては「ヤフオクで安いのが出ていれば」という条件付だ。秋葉原へ行く前にAKIBA PC Hotline!のHDD価格情報などを調べ、はじめからUltra ATA/100のドライブ、Seagate ST3320620A (320GB/キャッシュ16MB)を決め打ちし、ビデオカードとネットワークカードに関しては行き当たりばったりと言う作戦だ。

 実際秋葉原へ行ってみると、意外とビデオカードが安い。選ぶのを迷うほど15,000円未満でいろいろなビデオカードが。当初GeForce 7300 GT狙いだったが、GeForce 7600 GSの安いのを探すことにした。小一時間いろいろなショップを回った結果、購入したのは以下の通り。

  1. NVIDIA GeForce 7600 GS(256MB) AGP 4X/8X
  2. Seagate ST3320620A (320GB/16MB)
  3. PLANEX GN-1200TW

 以上で計25,000円だ。この時、一番気になったのは、DP400のAGP Pro(2X/4X)で、今時の4X/8Xが動くか? という事だった。ショップの店員何人かに聞いたところ、「運がよければ」、「保障できない」、「リスクが高い」、「大博打」という話。普通だとAGPは諦めてPCI版を買ってしまいそうな勢いだ。ただ某PC誌の編集長曰く「年代的に大丈夫のハズ」とのアドバイスを受け、4Xを明記したものの中からピックアップした。

NVIDIA GeForce 7600 GS(256MB)
NVIDIA GeForce 7600 GS(256MB)
平行輸入品で比較的安かったので買ってきた。残念ながらファンレス版は見つからず
Barracuda 7200.10 / ST3320620A
Seagate ST3320620A
キャッシュ16MBを搭載したUltra ATA/100ドライブ。奥は試しに使ったST3120023A
PLANEX GN-1200TW
PLANEX GN-1200TW
もともとPLANEXだったので、何となく買ってしまった。Realtek 8169Sを使用している

 事務所に戻り、Windows XPで使っていたドライブを外し、データ移行用にUSB接続のドライブケースへ、ビデオとネットワークカードを入れ替えた。電源ON。これで起動しなけばAGPとの相性でNGとなる。……結果はOK。無事マシンはBootし、Windows VistaのインストーラをDVDドライブからロードし始めた。なお、ご自分で試す場合は、自己責任にておねがいしたい。

●Vistaインストール完了

 既にお試しでWindows Vistaをインストールしていたこともあり、問題無く完了。ビデオドライバもGeForce用が自動的に組み込まれた。もちろんRealtek 8169Sを使ったGigabit EthernetカードもOK。GeForce用のドライバに関しては同社のサイトにVista対応版があったので、それをセットアップし直した。

 最終的なエクスペリエンスインデックスの数値を確認したところ、CPU:4.5、メモリ:4.3、Aero:4.2、Game:4.6、HDD:5.7。CPUやメモリの値が若干アップ、GeForce 7600 GSの効果でグラフィックスは大幅向上、Ultra ATA/100なのであまり期待していなかったHDDに関してはMAXに近い値となった。Hyper-ThreadingをOFFにしたり、AGPのアパチャーサイズを変更してエクスペリエンスインデックスのスコアが変化するのか試したところ全く変わらず同じ値だ。世代的にPentium 4 3GHzクラスのマシンへ今時のビデオカードとUltra ATA/100ドライブを付けたのと同程度のようだ。最新鋭のPCとまではいかないものの、これなら十分Windows Vistaは使えるだろう。実際触った感じも悪くない。

エクスペリエンスインデックス
エクスペリエンスインデックス
AGP 4X接続なので、8Xと比較して若干遅いようだ。同じGeForce 7600 GS AGPを持つ友人のデータだと4.6/4.7になっている
Windows VistaのDesktop
Windows VistaのDesktop
無事、Windows Aeroで起動した。1,600×1,200ドット(UXGA)で使っているが、特に遅いと言った感じは無い
Flip 3D
Flip 3D
サイドバーを左に置くと、Flip 3Dのセンターがずれているのがわかる。左側に置くことを考慮していないのだろう

 インストール直後のこの段階で気になる点としては、Vistaでワーニングを表示するダイアログボックスが出るとき、必ず画面全体が半透明になる。この半透明の状態になる直前に一瞬ブラックアウトするのだ。ドライバの問題なのか、マシンとの相性なのか解らないが、システムの状態を変更する時など頻繁にこのワーニングが出るので何とかならないものかと思っている。

 メモリ容量に関しては、もともと1GB搭載していたので、とりあえず使う程度であればネックになるわけでは無さそうだ。とは言え少しでも増やした方が何かと有利なため、安価なPC800(RIMM) 512MB×2が出ていないか、ヤフオクWatchingをはじめる事にする。

●OSの標準設定から変更した部分

 一通り動き出したのでデータのコピーや環境設定をはじめた。標準ではMy Documentsに相当するフォルダが、C:\ユーザー\[ユーザー名]に各データを保存するようになっている。1ドライブなら問題無いものの、今回OS及びアプリケーションとデータのドライブを分けたので、D:ドライブへアサインし直した。方法はWindows XP同様、各フォルダの[プロパティ]で[場所の設定]を行えば良い。ただこの時、筆者の特殊事情で工夫したのは、[ピクチャ]の設定だ。はじめは仕事で撮った写真のフォルダをこの下に置いたのだが、WMP11やWindowsフォトギャラリーなど、何をするにもここを見に行くらしく、10万枚近い写真へアクセスし出すのでシステムが重たくなってしまう。結局ピクチャはプライベートで撮った写真のみとし、仕事で撮った写真はD:\の別のフォルダとして管理しインデックスも外した。

 次は視覚効果の変更。Vistaを触りだしてすぐは何かと面白いので気にならないが、本気で使い出すと結構邪魔な効果が一杯ある。中でもヒントとウィンドウオープン/クローズのアニメーションがあげられるだろう。ヒントはどこにマウスを置いてもそれに関するヒントが表示される。初心者には必要だが、Windows歴の長いユーザーは不要。ウィンドウオープン/クローズのアニメーションはダイアログボックス1つ表示するにもモタモタして切れが無い。従ってOFFにした方が気持ちいい。

データ用のフォルダをD:ドライブへ
データ用のフォルダをD:ドライブへ
筆者はWindows 3.xの時代から、OS及びアプリケーションとデータのドライブを分けるようにしている。多くのデータを持ちそうなフォルダだけD:ドライブへ振り直した
視覚効果の変更
視覚効果の変更
標準設定は、エクスペリエンスインデックスである程度のスコアが出ると全てがONになる。ここで見えている以外もOFFにしているが、この2つが一番効果的だろう
IEのフォントをメイリオへ
IEのフォントをメイリオへ
ご覧のように、メイリオフォントにすると妙に行間が空くのがわかる。結果、ブログタイトルの下にある概要が画像をはみ出して下に薄く表示される

 最後はIEの標準フォントをメイリオへ。システムの多くがこのフォントを使っているのに何故か標準設定はMS ゴシックになっている。多分理由は行間が広くなり、Microsoftも含め多くのサイトで文字が切れたり、見えなくなったりするのが原因だと思われる。このフォントの非統一性はシステム全体でも見られ、場所によってはメイリオだったり(画面キャプチャ左)、MS UIゴシックだったり(画面キャプチャ中央)。デザインの変更である程度どちらかに合わせられるものの、決め打ちしているところも多くあり完全にはできない。非常に違和感を覚えるので是非ともSP1(まで)には直して欲しい部分だ。


●二週目のまとめ

 5年前のマシンでもポイントさえ押さえてパーツをグレードアップすれば、比較的安い予算でVista Readyとなることが解った。約25,000円でこれだけVistaが動けば逆に得した気分となる。三週目となる来週は、これまでWindows XPで使ってきたアプリケーションがどれだけ動くかなどを検証したい。

□関連記事
【2月6日】【西川】Windows Vista強化月間その1『メインマシンのVista化プラン』
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0206/nishikawa.htm
【1月24日】【西川】「Windows Vistaを好きになれない理由」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0105/nishikawa.htm

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(2007年2月13日)

[Text by 西川和久]


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