アイ・オー・データ機器は、ファブレスメーカーである。
自社工場を待たずに、国内外の協力工場で生産を行なうことで、経営の柔軟性と、生産におけるコストダウンを実現している。もちろん、生産工程における品質管理については、アイ・オーの品質基準を満たすことを前提に取り組んでいる。 このほどアイ・オーの協力工場を見学する機会を得た。アイ・オーの本社と同じ石川県内に拠点を置く同協力工場では、組立のみならず、回路基板の生産を行なうなど、国内生産ならではの品質を実現している。 同工場の様子をレポートしよう。 ●多品種対応のためのファブレス化 アイ・オーの取り扱っている製品の幅はあまりも広い。 そして、変化の激しいIT業界を象徴するように、迅速性、柔軟性、そして、奇抜なアイデアが求められる製品ばかりだともいえる。 こうした多品種の製品群を投入するには、自社工場施設を持つよりも、協力工場との連携によって、身軽な体質にして置くことが得策だと考えられる。 アイ・オーでは、国内外の複数の協力工場との提携によって、こうした柔軟な体制を構築している。 ●品質にこだわる協力工場 今回、訪問することができた協力工場は、アイ・オーのストレージ、マルチメディア、メモリーといった主要製品群の生産を行なっている拠点で、'95年から「I・O DATA」ブランドの周辺機器の生産を行なってきた。 同工場では、設立以来、AV機器の生産を行なっており、自社で回路基板の生産まで行なえるのが特徴だ。 従業員数は、現在120人。ISO9001およびISO14001を取得するとともに、一般的にQC(クオリティコントロール)活動と呼ばれる取り組みについても、QF(クオリティ・ファースト)活動と呼びかえ、品質最優先の意識を徹底させている。 QF活動については、9サークルが、それぞれ年2回の発表会を行ない、ここで、普段の改善提案の成果を発表することになっている。 「回路基板の品質レベルは、不良品の発生実績が35ppm(100万分の35)以下。完成品出荷では、不良を1カ月に7件程度に抑えている」(同協力工場)という。 また、多品種少量生産、短納期に応えられるように、セル生産方式の導入とともに、部品調達、回路基板の生産から組立まで一貫生産できる体制を整えているのも特徴だ。 組立に必要な治具(じぐ)や、各種の検査機器も、社内に設置した製造技術グループが自ら生産するといった柔軟性を持っている。これも、多品種製品に適した体制だといえよう。 工場内では、製品の特性にあわせて、セルとラインを選択しており、柔軟に体制を変えられるようにしている。また、検査工程は、インライン化を図ることで、出荷までの迅速な生産、検査を実現している。 では、写真で生産工程を追ってみよう。 ●HDDの組立工程
●回路基板の生産工程
●LANDISKシリーズの組立工程
●Rec-POTの組立工程
●miniSDの梱包工程
□アイ・オー・データ機器のホームページ (2006年12月25日) [Text by 大河原克行]
【PC Watchホームページ】
|