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FPD International 2006レポート

ワイド化と大型化が同時進行する
PC用液晶パネル

会期:10月18~20日

会場:パシフィコ横浜 展示ホール



 液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)は、液晶TVやプラズマTV、デスクトップPCディスプレイ、ノートPC、携帯電話機、デジタルカメラなどの中核部品である。このFPDを構成する技術と製品、部品、材料に関する総合展示会「FPD International 2006」が、パシフィコ横浜で始まった。会期は10月18日~20日。

 デスクトップPCディスプレイ用、ノートPCディスプレイ用、テレビ用、モバイルディスプレイ用、車載ディスプレイ用などのありとあらゆるフラットパネルがFPD Internationalには展示される。

 本レポートではまず、デスクトップPCディスプレイ用液晶パネルとノートPC用液晶パネルに絞って概要をお届けする。

●デスクトップPC用液晶パネル:22型以上はすべてワイド品に

 PC用液晶パネル全体に言えることは、ワイドフォーマット化と大型化が同時進行していることだ。画面寸法比率が4:3の標準フォーマットから16:10へのワイドフォーマット化は、ノートPCディスプレイから始まり、最近ではデスクトップPCディスプレイにも波及してきた。22型以上のデスクトップPC用液晶パネルはすべて、ワイドフォーマット品になりつつある。

 デスクトップPCディスプレイの市場で液晶ディスプレイは、CRTディスプレイを置き換える形で急激に成長してきた。しかし最近では置き換えが一巡し、市場の成長率が鈍化しつつある。そこで液晶パネルベンダーが期待する次の需要が、PCディスプレイ用液晶パネルの買い替えである。かつての主力商品である14型~17型液晶パネルのユーザーに、買い替えを促す。最も期待がかかるのは、20型~22型のワイドフォーマット品である。A4判縦相当の画像を2枚、左右に並べてフル表示できるからだ。PCユーザーにとって、デスクトップの作業効率が大きく高まる。

 なおデスクトップPCディスプレイ用液晶パネルの大手ベンダーは、韓国と台湾の企業で占められている。韓国Samsung Electronics、韓国LG.Philips LCD、台湾AU Optronics、台湾Chi Mei Optoelectronicsなどだ。FPD International 2006にはこれらの企業がこぞって出展している。ここからは、各企業が出展した主な液晶パネルを紹介しよう。

 韓国Samsung Electronicsは、30型のWQXGA(2,560×1,600ドット)パネルや27型のWUXGA(1,920×1,200ドット)パネル、24型のWUXGAパネルなどを展示した。いずれもデスクトップPCディスプレイ用としては非常に大きなパネルである。

 注目すべきは27型のWUXGAパネルで、色再現範囲をNTSCの92%に広げている。バックライトにHigh Color Gamut CCFL(cold cathode fluoresecent lump)と呼ばれる色再現範囲の広い冷陰極管(CCFL)を使用した。通常はこのタイプの冷陰極管を使うと輝度が低下するのだが、この27型WUXGAパネルの輝度は500cd/平方mとほかのパネルと遜色ないレベルに達している。またこのパネルはコントラスト比が3,000:1と非常に高い。画像の内容に応じてバックライトを制御することでコントラストを高める、ダイナミックコントラスト技術を組み込んでいる。

Samsung Electronicsの30型WQXGA TFT液晶パネル。輝度は400cd/平方m。コントラスト比は900:1。色再現範囲はNTSCの72%。表示色数は1,670万色。応答時間は6ms(中間色)。視野角は上下/左右とも180度 Samsung Electronicsの27型WUXGA TFT液晶パネル。輝度は500cd/平方m。コントラスト比は3,000:1と高く、色再現範囲はNTSCの92%と広い。表示色数は1,670万色。応答時間は6ms(中間色)。視野角は上下/左右とも180度

 韓国LG.Philips LCDは、色再現範囲がNTSCの92%と広い30型WQXGA TFT液晶パネルと26型WUXGA TFT液晶パネルを出展した。また24型のWUXGA TFT液晶パネルも出品している。

LG.Philips LCDの30型WQXGA TFT液晶パネル。輝度は300cd/平方m。コントラスト比は1,000:1。色再現範囲はNTSCの92%と広い。表示色数は1,670万色。応答時間は8ms(中間色)。視野角は上下/左右とも178度 LG.Philips LCDの24型WUXGA TFT液晶パネル。輝度は400cd/平方m。コントラスト比は800:1。色再現範囲はNTSCの72%。表示色数は1,670万色。応答時間は12ms(中間色)。視野角は上下/左右とも178度

 台湾のAU Optronicsは、異なる要素技術による4枚の22型WSXGA+(1,680×1,050ドット)TFT液晶パネルを並べて展示し、色再現範囲や画質などの違いを示した。1枚はバックライトにHigh Color Gamut CCFLを使った色再現範囲がNTSCの92%と広いパネルである。もう1枚は、バックライトに発光ダイオード(LED:light emitting diode)を使った色再現範囲がNTSCの105%とさらに広いパネル。後の2枚は比較参照用で、従来のCCFLを使った色再現範囲がNTSCの72%のパネルである。

 また標準フォーマット品だが、LEDをバックライトに使った20.1型UXGA(1,600×1,200ドット) TFT液晶パネルを出展した。色再現範囲がNTSCの105%と広い。

AU Optronicsの22型WSXGA+ TFT液晶パネル。同じ解像度で要素技術の異なる4種類のパネルを展示した。左上は、バックライトにHigh Color Gamut CCFLを使った色再現範囲がNTSCの92%と広いパネル。輝度は250cd/平方mと少し低めで、実際の画質もやや暗めとの印象を受けた。コントラスト比は1,000:1。表示色数は1,670万色。液晶の応答時間は5ms。視野角は左右170度、上下160度。消費電力は標準28.5W。型名「M220EW01 V1」として2006年第4四半期に量産を開始する予定。右上は、バックライトにLEDを使った色再現範囲がNTSCの105%と広いパネル。輝度は300cd/平方m。消費電力は標準31W。下の2枚は比較参照用。従来のCCFLを使った色再現範囲がNTSCの72%のパネル。型名は表示していないが、「M220EW01 V0」と思われる AU Optronicsの20.1型UXGA TFT液晶パネル。LEDをバックライトに使用したので、色再現範囲がNTSCの105%と広い。輝度は250cd/平方mと少し低め。コントラスト比は1,000:1。表示色数は1,670万色。応答時間は8ms(中間色)。視野角は上下/左右とも178度。消費電力は標準55W。型名「M201UN03 V0」として2006年第4四半期に量産を開始する予定

 台湾のChi Mei Optoelectronicsは、30型のWQXGA TFT液晶パネルと26型のWUXGA TFT液晶パネル、22型のWSXGA+ TFT液晶パネル、19型のWXGA+ TFT液晶パネルを出品した。

Chi Mei Optoelectronicsの30型WQXGA TFT液晶パネル。色再現範囲が90%以上と広い。輝度は300cd/平方m。表示色数は1,670万色。コントラスト比は1,000:1。ダイナミックコントラスト技術を使用したときのコントラスト比は4,000:1。応答時間は8ms(中間色)。視野角は上下/左右とも176度。重量は5.1kg。2006年第4四半期に量産を始める予定 Chi Mei Optoelectronicsの22型のWSXGA+ TFT液晶パネル。A4判縦相当の画像を左右に並べて表示したところ。表示面積は473.76×296.1mm(幅×高さ)。輝度は300cd/平方m。表示色数は1,670万色。コントラスト比は1,000:1。応答時間は5ms。視野角は左右170度、上下160度。2006年第4四半期に量産を始める予定

●ノートPC用液晶パネル:各部の改良が進む

 ノートPC用液晶パネルでは、すでにワイドフォーマット品が主流になっている。色再現範囲を広げたパネル、外形寸法を薄くしたパネル、画面寸法を大型化したパネルといった展示が目立っていた。

 台湾AU Optronicsは、色再現範囲をNTSCの92%と広げた17型TFTワイド液晶パネルと15.4型TFTワイド液晶パネルを出展した。17型TFT液晶パネルの解像度はWXGA+、15.4型TFT液晶パネルの解像度はWXGAである。また、厚みが2.9mmと薄く、重量が200gと軽い12.1型TFTワイド液晶パネルを出品していた。

 韓国LG.Philips LCDは、20.1型と大きなWSXGA+ TFT液晶パネルを出展していた。外形寸法は435.5×294.5×11.5mm(幅×奥行き×高さ)で、17.1型TFT液晶のワイドパネルに比べるとやや太めである。

AU Optronicsの17型WXGA+ TFT液晶パネル。広再現範囲がNTSCの92%と広い。輝度は350cd/平方m。表示色数は262,000色とやや少なめ。コントラスト比は700:1。応答時間は8ms。視野角は左右140度、上下120度。外形寸法は382.2×246.8×10.3mm。消費電力は標準12.5W。重量は960g AU Optronicsの15.4型WXGA TFT液晶パネル。広再現範囲がNTSCの92%と広い。輝度は350cd/平方m。表示色数は262,000色とやや少なめ。コントラスト比は600:1。応答時間は16ms。視野角は左右140度、上下120度。外形寸法は344×222×6.5mm(幅×奥行き×高さ)。消費電力は標準10W。重量は585g
AU Optronicsの12.1型WXGA TFT液晶パネル。厚さ0.3mmのマザーガラスを基板にしたので、パネルの厚みが2.9mmと薄い。またガラスが薄いため、パネルの重量が200gと軽くなっている。パネルの輝度は220cd/平方m。色再現範囲はNTSCの45%。表示色数は262,000色。コントラスト比は700:1。応答時間は16ms。視野角は左右160度、上下120度。消費電力は標準3.5W。2007年第1四半期に量産を開始する予定 LG.Philips LCDの20.1型WSXGA+ TFT液晶パネル。輝度は300cd/平方m。色再現範囲はNTSCの45%。表示色数は1,670万色。コントラスト比は700:1。応答時間は16ms(中間色)。視野角は上下/左右とも176度

 台湾の大手液晶パネルベンダーであるChunghwa Picture Tubesは、外光の明るさに応じてバックライトの明るさを変えるノートPC用液晶パネルを出品した。15.4型のWXGA TFT液晶パネルである。来場者が外光のボリュームを動かすと、少し遅れてバックライトの明るさが変化していた。

 また東芝松下ディスプレイテクノロジーは屋外での視認性を高めたノートPC用液晶パネルを出展した。半透過型のTFT液晶パネルである。大きさは8.9型(対角23cm)。展示ブースでは、来場者がスイッチを押すと日光を模擬したライトが液晶パネルに照射されて、視認性の変化を確かめられるようになっていた。ライトが照射された状態だと、画面を読めないことはないものの、現状では視認性はかなり低下していた。晴れた日に公園のベンチで作業ができるかというと、まだ疑問符が付く。

外光の明るさに応じてバックライトの明るさを調整する展示。液晶パネルの下にあるボリュームを動かすと外光センサーの入力が変化し、バックライトの明るさが変化する。液晶パネルは15.4型のWXGA TFT液晶パネル。バックライトにはLEDを66個使用した。Chunghwa Picture Tubesの展示 東芝松下ディスプレイテクノロジーが開発した、屋外での視認性を高めたTFT液晶パネル。半透過型である。大きさは8.9型(対角23cm)。解像度はWXGA。バックライトはLED。輝度は200cd/平方m(透過モード)。反射率は7%。TFTは低温ポリシリコン技術で製造した

□FPD International 2006のホームページ
http://expo.nikkeibp.co.jp/fpd/japanese/
□Samsung Electronicsのホームページ(英文)
http://www.samsung.com/
□LG.Philips LCDのホームページ(英文)
http://www.lgphilips-lcd.com/
□AU Optronics(AUO)のホームページ(英文)
http://www.auo.com/
□Chi Mei Optoelectronics(CMO)のホームページ(英文)
http://www.cmo.com.tw/cmo/english/index.jsp
□Chunghwa Picture Tubes(CPT)のホームページ(英文)
http://www.cptt.com.tw/
□東芝松下ディスプレイテクノロジーのホームページ
http://www.tmdisplay.com/tm_dsp/jp/
□関連記事
【10月18日】【FPD】台湾FPD産業は垂直統合を強化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1018/fpdf.htm
【2005年11月2日】【FPD】高付加価値液晶パネルへの転換を図る台湾勢
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1102/fpd03.htm
【2005年10月25日】【FPD】巨大パネルで最先端技術を誇示する韓国勢
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1025/fpd02.htm

(2006年10月19日)

[Reported by 福田昭]

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