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NTTドコモ、つくばエクスプレスの無線LANサービスを商用化
8月24日 開始 利用料:500円~ 株式会社NTTドコモは、つくばエクスプレス列車内における無線LANの商用サービスを8月24日より開始する。 同サービスは、NTTブロードバンドプラットフォーム株式会社(以下NTTBP)が2005年8月24日より接続試験を行なっていたもの。開始当初は一部の駅か列車でのみ利用できたが、商用化にともない全区間をカバーし、対応列車を増やした。 商用化にともない、FOMAのオプションサービスである「mopera U」の「U『公衆無線LAN』コース」と、無線LAN単独サービスの「Mzone」の2形態で提供される。利用料は、前者がUスタンダードプランの月額525円とU公衆無線LANコースの月額525円を合計した1,050円、後者が日額プランでは525円、月額プランでは1,575円となっている。 サービスの提供区間はつくばエクスプレス全区間で、提供車両は直交両用の2000系統車両(全編成30台中の16台)。対応方式はIEEE 802.11b/g。平均スループット(WEBページを連続読み込みして測定)は1,359kbps。FOMAの243kbpsに対して大幅に速度が向上している。 また、東日本電信電話株式会社も「フレッツ・スポット」によるサービスを提供予定。サービス開始は年度内をめどとしている。
●時速130kmの高速車両で無線LANを実現
通信のおおまかな流れは、ユーザーの端末→車両内のアクセスポイント→列車の前後に設置されたアンテナ→線路上/駅端に設置された中継局→駅→中継網→データセンター→インターネットとなっている。 車両内アクセスポイント~線路上/駅端に設置された中継局の間は無線で、中継局同士は25GHz帯のWIPASで接続。そして、駅~中継網の間は光ファイバーで接続されている。 同サービスの技術的なポイントは以下の4つだという。1つ目はモバイルIPによる高速ハンドオーバー(基地局切替)、2つ目は列車内のオールワイヤレス接続、3つ目はL2トンネルによるアクセスポイント共用技術、4つ目は駅と列車での再認証を必要としないシームレスなハンドオーバー。 線路は、駅端に設置されたアンテナで平均800mをカバーするとともに、中継局27局が平均500mをカバーする。つくばエクスプレスは最高130kmに達っし、各ゾーンを15~20秒程度で通過するため、モバイルIPを利用した高速なハンドオーバーと、高速で移動中のセッション維持技術の実現が必要だったという。 列車内のオールワイヤレス接続は、ケーブル敷設などが不要でコスト削減が目的。列車~データセンター間にはL2トンネルが作成され、マルチESSID技術と組み合わせることで、複数事業者がサービスを提供できる。 駅もしくは列車で一度認証を行なえば、シームレスにハンドオーバーが行なわれ、再認証を必要とせずにサービスを利用できる。
●つくばエクスプレスはITエクスプレス
25日には、首都圏新都市鉄道株式会社、インテル株式会社、株式会社NTTドコモ、東日本電信電話株式会社、NTTBPの5社が共同で、つくばエクスプレス列車内無線LAN接続環境の整備完了と商用化について記者会見を開催した。 出席者は以下の通り。首都圏新都市鉄道より代表取締役社長 高橋伸和氏。インテルより代表取締役共同社長 吉田和正氏。株式会社NTTドコモより執行役員 ユビキタスサービス部長 徳広清志氏。東日本電信電話よりコンシューマ事業推進本部 ブロードバンドサービス部長 井上福造氏。NTTBPより代表取締役社長 小林忠男氏。 インテル 吉田和正氏が、「2005年8月24日に開業したつくばエクスプレスですが、すぐその後7月から首都圏新都市鉄道、NTTBP、Intelの3社共同で無線LANサービスの実験運用をするということを発表し、早いもので1年が経った」と挨拶。 「これまで約4,500人を超えるユーザーがトライアルに参加し、いろいろなデータを提供していただいた。そして、NTTドコモが8月24日より国内初の列車内での公衆無線LANの商用サービスを開始する。これはエンドゴールではなく、周辺の商業施設や公共の場においても無線LANやITの技術を使ったトライアルをやっていきたい。ITの技術を地域の活性化にあたりどうやって使っていくかということを、つくばエクスプレスの沿線を通して、これから5社を中心として進めて行きたい」と展望を語った。 首都圏新都市鉄道 高橋伸和氏は、「つくばエクスプレスの最大の特徴は、ITエクスプレスであるというところにある。自動列車運転装置のATO、ATC、といったハイテクを駆使した最新の安全運転システムを採用するとともに、秋葉原にいたる路線がまさにITエクスプレスである。今後はさらに、安全運行に全力をそそぐことはもちろん、無線LANを有効に活用し、列車内だけではなく沿線のみなさまの利便増進を図り、鉄道と地域が一体となった街づくりにも力を注ぎたい」と語った。
●無線LANで動画も視聴可能 発表会に続いて行なわれたつくばエクスプレスでのデモでは、ノートPCや「FOMA M1000」、先日発表されたスマートフォン「hTc Z」での接続デモが行なわれた。 デモでは、つくばエクスプレスのポータル「Bro M」での運行状況確認や、ライブカメラのほか、Gyaoの動画なども視聴可能であることが紹介された。
□首都圏都市鉄道のホームページ (2006年7月25日) [Reported by matuyama@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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