山田祥平のRe:config.sys

使いやすい大容量メディアが欲しい




 デジタルデータはコピーが簡単だ。だから、重要なデータは二重三重にバックアップをとって冗長性を持たせておく。けれども、そのバックアップ先のメディアとして、光ディスクはあまりにも中途半端だ。だからこそ、HDDに期待が高まる。

●裸のままでディスクを使う

 日常、デジカメ写真を保存している300GBのHDDが満杯になってずいぶん時間がたってしまった。新しい写真は、別のストレージにコピーしつつ、HDDの価格変動を観察していたが、いつまでもこんなことはやっていられない。仕方がないので意を決して500GBのHDDを買ってきた。

 本当は750GBのものが欲しいのだが、いくらなんでもbyte単価が高すぎる。今回購入したHDDは26,040円だったので、1GBあたりの単価は50円程度だ。それを2個買った。かなりの出費だ。単価のことだけを考えれば、今は300GB程度のものを購入した方がいい。そうすれば、コストは一気に下がり30円/GB程度となる。でも、1カ所に集まっていることが重要だ。×年以前の写真はAのディスク、×年以降はBのディスクというのでは使いづらい。きっと、今回購入した500GBのものが満杯になるころには、きっと、750GBのものが安くなっているだろうなど、いろいろ理由をこじつけて500GBのものを選んだ。

 今回は、パソコンのケースの中には内蔵せず、ベアドライブを保護のために流行の「裸族の服」でくるみ、USBで接続することにした。1,000円以内で買えるのでサイフにも優しい。1万円のHDDに1,000円の服を着せるのはもったいないような気もするが、今回は約25,000円だから、まあ、よしとしよう。

 同じHDDを2個買うのは、バックアップのためだ。今後は、新しく写真をコピーするときには、メモリカードから2つのディスクにコピーすることになる。常に電源オンにしておくわけではないので、多少は耐久性を期待できるという気持ちもあるが、バックグラウンドでのインデクシングが行なわれないため検索で不便を感じるかもしれない。しばらくこれで運用し、どうしても不便に感じるようになったところで、他の手段を考えることにするつもりだ。でも、これ以上、熱源、騒音源を増やしたくないという気持ちも強い。RAIDやNASに踏み切れないのはそのへんに理由がある。

●容量とコストを考える

 ぼくの手持ちのデータは、ダントツでデジカメ写真の容量が多いが、それに続いて録画済みのTV番組や音楽などがある。メールや過去に書いた原稿などは、容量という点ではたいしたものではない。両方で10GBもあれば十分だ。

 TV番組のデータは、おそらく見ることはないだろうなと思いつつも、オンエア時おもしろいと思ったものは、連続ドラマ全話を残したりもしている。ただし、二重化するほどの熱意はない。今回、500GBのディスクを奮発したことで、以前の300GB2台が余ってくるので、それを使えば、当分の間は安心していられそうだ。

 これらのデータは、DVD-Rに保存しようと考えたこともある。ドラマ1本は、約1.5GBなので、うまくすれば1枚に3話分を収録できる。初回と最終回が延長されたとしても、4枚あれば1クール全話もなんとかなるだろう。300GB分の写真もDVD-Rが60枚あればいい。2層DVD-Rを使えば、コピーはさらにラクだ。でも、やっぱり単価がグンと高くなり、HDDよりも割高だ。そのくらいなら、数百GBを一気に扱えるHDDの方がラクができそうだというのが、ぼくがHDDを選ぶ理由だ。それに、経年によるコピーのやり直しも、HDDの方が圧倒的に簡単だし、次にHDDを購入するときには、確実に安くなっているだろうし、今よりも、一回り大きなサイズのものを選べる。

●HDDに追いつけない光メディア

 最初に使った大容量リムーバブルメディアはMOだった。さらに、CD-Rが一般的なものになった。640MBもの容量のストレージであるCD-Rをぼくが使うようになったのは'96年頃だったと思うが、当時のHDDの主流は2GB程度で、HDDを丸ごとバックアップするには数枚に分割しなければならなかった。

 DVD-Rを使い始めたのは2000年頃だっただろうか。当時のHDDはハイエンドで60GB程度。これまた丸ごとバックアップには十数枚が必要だった。

 そして今、300GBのベアドライブが1万円を切る価格で購入できる時代が到来し、コストさえ気にしなければ750GBのディスクも簡単に入手できる。その一方で、書き込みができる次世代光ディスクとしては、Blu-rayとHD DVDがあり、現時点での容量は30~50GB程度なので、大容量HDDを丸ごとバックアップするには、やはり、十数枚が必要になる。それに、コストも驚くほど高い。

 この経緯を見てもわかるように、HDDの容量に、光ディスクの容量は決して追いついてこなかったし、現状を見ても、あまり将来には期待できそうにない。それに、近い将来、パッケージメディアはネットワーク配信にとってかわられるだろう。中途半端な容量で読み書きも遅い光ディスクが、今後、重宝されるとは思えない。

 HDDの大容量化は、ここ2年ほど沈静化しているが、新たな時代のHDDの付加価値としては、さらなる大容量化と同時に、こわれにくいこと、熱を持ちにくいことを求めたい。ユーザーの扱うデータの量は巨大になる一方なので、今のHDDがもっと扱いやすくなり、作動中に受けるショックなどにも強くなれれば、光ディスクの需要を追い抜くことだって考えられる。そういう意味では広帯域でSerial ATA HDDをリムーバブルメディアとして使えるeSATAには期待が高まる。電源と信号をいっしょに供給し、ケーブル一本で接続できる現在のUSBポータブルHDDのように、気軽に入れ替えて、必要なデータを読み書きできるタンスのような大容量リムーバブルディスクはできないものだろうか。ベアドライブにeSATA端子と抜き差しの耐久性を高めた電源端子がついているだけでも、ずいぶん使い勝手はよくなりそうなものなのだが。

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(2006年7月21日)

[Reported by 山田祥平]


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