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COMPUTEX会場レポート 【ビデオカード編】
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EPoXのサイトで展示された、GeForce 7950 GX2によるQuad SLIのデモ |
会期:6月6日~6月10日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
●各社からGeForce 7950 GX2が出揃う
COMPUTEX TAIPEI開催に合わせ、5月6日に発表されたNVIDIAのマルチGPUビデオカード「GeForce 7950 GX2」。各社から搭載カードが展示され、お披露目の場となっている。
もっとも、展示されているのはNVIDIAのリファレンスボードそのままの製品が多く、他社との差別化にクーラー表面のパネルを変更しているメーカーが散見される程度。当然ながら、コアクロック、メモリクロックといった基本スペックも定格どおりだ。
とはいっても、時間が経過すればユニークな製品も期待できそうだ。ボードを2枚積み重ねる難しさもあってかクーラーの変更については積極的な話を聞けなかったが、オーバークロックエディションは検討しているメーカーもある。
また、現時点ではQuad SLI対応ドライバの具体的なリリース時期は確認できていないが、複数のメーカーの話を総合すると2006年の夏には登場しそうである。こちらも期待したい。
POINT OF VIEWの同GPU搭載カード | SPARKLEの「SP-PX79GX2」 |
●独自設計で実現したデュアルGPUカード
GeForce 7950 GX2が登場する以前にも、独自に基板を設計し、GeForce 6/7シリーズのGPUをボード上に2つ搭載することでマルチGPU化を行なうメーカーが存在した。“謹製デュアルGPUカード”の登場で下火になっていくかとも思われたが、こうした製品もまだまだ残されている。
2006年のInternational CESでMSIが展示した、MXMモジュール2枚をボード上に装着できるデュアルGPUボード「Geminium Go」も、このジャンルに含まれるだろう。CES時にはボード片面に2枚を搭載していたが、今回はボードの両面に各1枚ずつを搭載する形状に変更された。これにより、厚みは増したが、一般的なサイズに収まっているのが特徴。GeForce 7シリーズへの対応とファンレス動作といった点もアピールしており、着実に進化を続けている。
また、こうしたデュアルGPUカードのなかで、ちょっとユニークなのがASUSTeKが展示した「EAX1600XT Dual」で、GPUを2つ搭載していることを活かして、1枚のボードでDVI×2、D-Sub15ピン×2の4ディスプレイ出力を実現できるのだ。ワークステーション向けビデオカードでは珍しくない4系統出力だが、コンシューマー分野に出てくる製品としては非常に珍しい存在といえる。
GeForce 7900 GTを2基搭載するGALAXY Technologyの「Galaxy 7900 GT」 | GeForce 7600 GTを2基搭載するGALAXY Technologyの「Galaxy 7600 GT」。日本でも7月に発売される予定とのこと | GeForce 6600 GTを2基搭載するCHAINTECHの「GSE66GDA2」 |
MSIのMXMカード×2搭載カード「Geminium Go」は、両面にMXMカードを搭載する方法に変更され、ファンレスとなった。早い時期に発売したいとはしているが、具体的な時期は未定 | ASUSTeKが展示した「EAX1600XT Dual」。2つのGPUを利用して4ディスプレイ出力を実現できる製品。こちらも発売時期は未定 |
●その他の特徴的なビデオカード関連製品
MSIが展示を行なった、ペルチェ素子を利用したクーラーを採用するビデオカード。GPUはRADEON X1600 XTを搭載 |
最近ではファンレスビデオカードも珍しくなくなったが、MSIがペルチェ素子をクーラーに埋め込んだ珍しい製品を展示した。RADEON X1600 XTを搭載した製品で、クーラーから電源端子が伸びているのが印象的。ペルチェの熱は銅製のヒートシンク&ヒートパイプのみで冷却している。
このほか、ビデオカードではないが、ディスプレイ出力周りの機器でユニークな製品を2つ紹介しておきたい。1つはGIGABYTEが展示した「Wireless VGA」。ビデオカードとディスプレイの間を、MIMO技術を併用したIEEE 802.11g/bを利用して無線で送信するというもの。ここでは、アナログディスプレイ信号のほかに、オーディオ信号もやりとりできる。
対応解像度は1,024×768ドットまたは720p。最大転送距離は100mとされている。なおビデオカード側に取り付けるトランスミッタと、ディスプレイ側に取り付けるレシーバは同じ外観をしているが、中身は別のユニットになっているそう。ただし、今回展示されたのは動作はするもののプロトタイプ品。今後デザインや仕様変更なども検討して、商品化の可能性を探っていくという。
GIGABYTEが展示を行なった、IEEE 802.11g/b MIMOを利用してアナログディスプレイとオーディオ信号を無線化するキット「Wireles VGA」 | 電源のほか、D-Sub15ピンとオーディオ用ミニジャックを備える |
GREEN-BOX Technologyが展示を行なった「DVS-102C/104C/108C」も、ネットワーク技術を利用したディスプレイ出力関連製品といえる。見た目はネットワークハブのようだが、DVI端子の信号をLANで利用されるRJ-45、モノラルオーディオを電話で利用されるRJ-11へ変換するコネクタを併用して、複数のディスプレイへ出力するという機器。
LANケーブルを利用したディスプレイ出力機器としては、ディスプレイ信号の到達距離を伸ばす目的で利用されるエクステンダーが複数のベンダーから発売されており、GREEN-BOX Technologyも展示を行なっている。しかし、本製品はエクステンダーではなく、単にコネクタを変更して送信するだけとのこと。
そのため、到達距離はCAT5e使用時、10mで1,280×1,024ドット、15mで1,024×768ドット、20mで800×600ドット。製品についているDVI出力端子を利用した場合は10mで1,920×1,200ドットが可能としているので、CAT5eケーブルを使ったほうが到達距離は短くなるほど。ただし、配線のしやすさは上回っており、LANケーブルを利用したディスプレイ出力の安価なソリューションとしてアピールしていた。
なお、製品型番からも分かるとおり、DVS-102C/104C/108Cの各製品はそれぞれ2ポート、4ポート、8ポートのRJ-45とRJ-11を持っており、DVS-104C/108Cはラックマウントへの収納が可能になっている。
GREEN-BOX TechnologyのDVS-104C(背面)とDVS-108C(前面)。DVIとモノラルオーディオをRJ-45とRJ-11を利用して分配する機器。上に載っているのは、オーディオ信号をRJ11に変換するコネクタ | こちらはDVIをRJ-45に変換するコネクタ。送信側(黒)と受信側(青)で別の形状をしている。なお、対応するのはDVI-Dのみとなっている |
□COMPUTEX TAIPEI 2006のホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
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【6月6日】NVIDIA、2基のGPUを1枚のカードに搭載した「GeForce 7950 GX2」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0606/nvidia.htm
【5月2日】【多和田】4個のGPUを使う新SLIシステム「Quad SLI」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0502/tawada74.htm
【2005年6月1日】【COMPUTEX】XGIがVolari 8000シリーズを正式に公表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0601/comp04.htm
□COMPUTEX TAIPEI 2006レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/link/computex.htm
(2006年6月9日)
[Reported by 多和田新也]