[an error occurred while processing the directive]

TSMC、65nmプロセスの量産を開始
~国内ファブ市場は3割縮小

TSMC ジャパン株式会社 代表取締役社長 小野寺誠氏

5月26日 発表



 TSMC ジャパン株式会社は26日、記者懇談会を開催し、65nmプロセスの量産対応とエコシステムについて説明した。発表内容は、米カリフォルニアで開催された「2006年 テクノロジー・シンポジウム」でのものとほぼ同内容で、日本国内であらためて発表したかたち。

●65nmプロセスの量産への移行とデザインエコシステム

65nmのPoly Gate

 65nmプロセスの量産対応と、65nmのデザインをサポートするエコシステムについて、同社 代表取締役社長 小野寺誠氏が説明した。

 量産体制へ移行した「Nexsys 65nm」テクノロジーは、銅配線とLow-k(層間配線絶縁膜)を同時に用いた半導体プロセス。9層メタルまで積載可能で、コア電圧が1.0/1.2Vで、I/O電圧が1.8/2.5/3.3Vに対応する。

 90nmと比較すると、待機時の消費電力はそのままで、トランジスタ性能が50%以上向上。集積度はについては、ゲート密度が約2倍になったほか、90nmの約半分となる6TSRAMセルサイズになった。また、プロセス変更と材料変更を最小限にすることで、プロセスの移行スピードの低下を最小限にしたとしている。

 同氏は、「同65nmプロセスの特徴は、動作時消費電力の低減や総合的な消費電力の削減による電力管理技術の改善と、チップ取れ数の増大や、より高いレベルのシステム統合による高いコスト競争力。あらゆる市場からの要求に対応した、高い集積度と省電力デバイスを実現した」と説明。

 また、65nmプロセスチップの開発を容易にするために、デザインエコシステムを提供する。TSMCがDFM統一データフォーマットのデータキットを提供し、そのデータをEDAツールを通じてワークステーション上で開発できるようにするもの。

 さらに、デザインセンターアライアンスプログラムでTSMCの65nmプロセスを利用する顧客をサポートするDCAメンバーを認定し、パートナーと連携して強固なインフラを提供していくという。

 同氏は、「デザインエコシステムを通じて顧客とデザインパートナーが協業し、そこにTSMCの競争力の高いプロセス技術とデザインサポートエコシステムを提供していく。65nm技術を利用する顧客はDFM デスクトップ機能などのサービスを用いて、ローリスクで高付加価値な製品を実現できる」と語った。

Nexsys 65nmの特徴 DFMデータをワークステーションのデスクトップで利用可能に

●TSMCの現状と戦略

 TSMCは半導体業界の平均成長率を上回る勢いで成長。ファウンダリセグメントの全世界でのマーケットシェアは50.4%に上る。一方、日本市場では、2004年第4四半期より売り上げが減少するとともに、市場規模が3割縮小した。

 同氏は、「国内ファウンダリ市場規模は小さいが、成長余力は高い。長期的な戦略的アウトソーシングの流れは継続、もしくは加速される」と現状を分析し、「2006年はパートナーとのコラボレーションを強化し、アプリケーション特化のニーズに対応した差別化技術の提供や、製品ロードマップのシェアリングと設計環境の共同構築を行なっていくことで要求に応えていきたい。また、差別化技術の提供で顧客プロダクトのポートフォリオ拡大や、自動車市場向け高品質プロセスやサービスを提供していき、アプリケーションの拡大を図る」と語った。

 また、引き続き国内ファブレス成功モデルの構築や、ベンチャー企業のスタートアップ、キャンパスベンチャーの育成支援を行ない、ファブレス市場の育成を図っていくとした。

世界での売り上げ推移。2006第1四半期も好調 日本での売り上げ推移。 国内専業ファウンダリの市場規模とTSMCのシェア

□TSMCのホームページ(英語)
http://www.tsmc.com/
□ニュースリリース(英語)
http://www.tsmc.com/tsmcdotcom/PRListingNewsAction.do?action=detail&&newsid=1806&&newsdate=2006/05/17&&language=E
http://www.tsmc.com/tsmcdotcom/PRListingNewsAction.do?action=detail&&newsid=1802&&newsdate=2006/05/15&&language=E
□関連記事
【2005年12月21日】TSMC、ムーアの法則は9nm世代まで有効
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1221/tsmc.htm
【2005年9月14日】TSMC、テクノロジー・シンポジウム 2005を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0914/tsmc.htm

(2006年5月26日)

[Reported by matuyama@impress.co.jp]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.