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AMD、Socket AM2対応プロセッサ国内発表会
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AMD首脳陣 |
5月24日 開催
日本AMD株式会社は24日、Socket AM2に対応した「Athlon 64 FX-62」など一連の新製品の国内発表会を開催した。
発表会に登場したのは、米国本社社長兼最高執行責任者のダーク・マイヤー氏、最高技術責任者のフィル・へスター氏、コマーシャル事業部担当上席副社長のマーティ・セイヤー氏という顔ぶれで、同社の新製品にかける意気込みが表われていた。
ただし、ダーク・マイヤー氏は、体調不良から、急遽マーティ・セイヤー氏が代わって同社の戦略について語った。
●サーバー20%、クライアント15%のシェアを目標
マーティ・セイヤー氏 |
現在、同社がもっとも重要視している市場は、法人、デジタル家電、新興市場の3つ。中でも、セイヤー氏が強調したのは法人市場への進出だ。Opteronに始まるAMD64プロセッサは、当初HPC(High Performance Computing)で多く採用され、Athlon 64シリーズはハイエンド層を中心にコンシューマ市場で一定の支持を得るに至った。
また、データセンター市場においても、低消費電力を武器に、実績を伸ばしている。同社は、「全世界のサーバーを非AMDからAMDプロセッサへ切り替えることで、約10億ドルの電力費を節約できる」と謳ったキャンペーンを展開しているが、コスト削減や地球環境への意識の高まりも同社への追い風となっているようだ。
こういった成功を元に、今後はサーバーおよび、法人クライアントビジネスへの本格展開を図る構えで、セイヤー氏は「2006年は、サーバーで20%、法人クライアントで15%のシェアを取る」との目標を掲げた。
同社は、すでに2006年第1四半期において、サーバー分野で20%、4Wayサーバーでは実に40%超のシェア達成を成し遂げているといい、数値目標の実現に一定の自信を見せている。
コンシューマ市場については、同社の打ち出すホームエンターテイメントPCブランド「AMD LIVE!」対応機が今月末から欧米で出荷開始の運びとなることが明らかにされた。ホームエンターテイメントPCは、やもすれば家電との競合が問題視されるが、セイヤー氏は「家電ベンダーと競争/競合するのではなく、うまく取り込んで、PCと家電/サービスを円滑に統合させたい」と述べた。
世界中のサーバーでAMD CPUを使うことで10億ドルの削減効果 | 2006年はサーバーで20%、クライアントで15%シェアを目標 | AMD LIVE!対応PCが月末にも出荷開始 |
●FB-DIMMを痛烈に批判
フィル・ヘスター氏 |
新製品については、フィル・ヘスター氏が解説した。米国時間23日付けで発表された、Athlon 64 FX-62や、Athlon 64 X2 5000+など、Socket AM2対応の新製品はいずれもDDR2メモリに対応。
Intelより約2年遅れての対応となるが、ヘスター氏は、今がDDR2にとっての最適なタイミングであることを強調。また、Intelがサーバー/ワークステーション向けプラットフォームで採用したFB-DIMMについて「メモリシステムが不十分で、メモリコントローラを統合していないことから出してきただけのもの」と一蹴。加えて、「消費電力、価格ともDDR2より高く、市場でのテストも満足に行なわれてないものをユーザーに押しつけようとしている」と批判した。
なお、セイヤー氏によれば、第3四半期に登場予定の次期OpteronもDDR2を採用するという。
また、これまでSocket 939、Socket 754(コンシューマデスクトップ向けのみ)と2種類あったCPUソケットがSocket AM2へ一本化されたことで、OEMメーカーなども、開発工程の簡略化、在庫種類の削減といったメリットを受けられるとした。
デモンストレーションでは、Pentium Extreme Edition 965(3.73GHz)と、Athlon 64 FX-62を搭載した2台のマシンを用意し、性能を比較。ベンチマークソフトは使わず、敢えて「iTunes」と「Illustrator」という一般アプリケーションを用いた。
Illustratorは、マルチコアに対応しないが、iTunesによる、CDからMP3へのインポートと、Illustratorによる3Dイラストの作成、いずれにおいてもAMDのシステムが性能で上回り、マルチコア/スレッド対応アプリケーションはもとより、基本性能の高さにより、シングルスレッドアプリケーションでも高速であることを示した。
また、デモ中は消費電力もリアルタイムで表示されており、高負荷時は10W前後、アイドル時は35W前後、AMDシステムの方が低い電力で動作していた。
Pentium Extreme Edition 965(左)とAthlon 64 FX-62(右)搭載機のアイドル時の消費電力 | iTunesによるMP3エンコード。AMDマシンは3曲目に入っているが、Intelマシンは2曲目の処理中 | Illustratorのデモ。こちらもAMDマシンが先に処理を完了した |
●Coreマイクロアーキテクチャに革新性はない
ダーク・マイヤー氏 |
質疑応答では、IntelのCoreマイクロアーキテクチャなどについて質問が及んだ。これに対してヘスター氏は「Coreマイクロアーキテクチャは、我々が2年前に発表したものに対する彼らの対応でしかない。しかも、発熱など長年の問題が解決されただけで、革新と呼べるものはない」と、あしらった。
同社がIntelに対して起こしている一連の訴訟については、マイヤー氏が返答。「訴訟によるビジネスの影響は現われていないが、Intelは現在も独占的立場の濫用を継続しており、我々も訴訟を継続するしかない」とした。
なお、同社は米国で6月1日にアナリスト向けのカンファレンスを行なう予定で、この場で最新のロードマップも公開される予定で、日本でも6月8日にアナウンスを行なう。
このほか、会場には、Socket AM2対応マザーボード、および搭載PCがそれぞれ10機種以上展示された。ここでは、写真にて紹介する。
□日本AMDのホームページ
http://www.amd.co.jp/
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(2006年5月24日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]