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SPF2006前日レポート Spring Processor Forum 2006、15日開幕
会期:5月15日~17日(現地時間) 会場:米カリフォルニア州サンノゼ Spring Processor Forum(SPF) 2006がサンノゼのDoubleTree Hotelで開催される。本レポートではハイライトをご紹介しておきたい。 今回のSPFもやはり5セッション構成で、 ・Advances in DSP Engines となっている。省電力の話が2セッションもあるあたり、Cool Chipsを連想しそうだが、もう少し面白い話になりそうだ。 まず初日の基調講演はAMDのSenior FellowであるChuck Moore氏の“Redefining Performance Through System Balance”である。単に「ワット性能」の話で終わるのか、一歩踏み込むのかは不明だが、テーマの中に“on-chip system architecture, chip multiprocessing”という話も入っており、今後のK8の方向性が多少なりとも示される可能性もある。 DSPセッションでは、FreescaleがStarCoreの後継となる新アーキテクチャを発表するほか、TIがCortex-A8を搭載した新プロセッサを発表するものと思われる。単にOMAPの延長になるのか、新しい話が入るのかは不明である。ちなみにFreescaleは、ここで2つのプレゼンテーションが用意されており、両者の違いは現時点では不明である。このあたりはまとめてレポートしたい。 Licensable Processors & IPのセッションでは、ARMがCortexの新製品を発表するほか、Handshake Solutionsの“ARM996HS: The First Licensable, Clockless 32-Bit Processor Core”がかなり目を引くところだ。またLSI LogicがZEVIO Architectureなる新しいアーキテクチャを発表するほか、MIPS32 34Kの発表も予定されている。 2つに分かれたPower-Efficient Processingのセッションでは、Tensilica、NS、Freescale、ARM、Silicon Hiveといった常連が並ぶが、これに加えてまたもやTransmetaの Dave Ditzel氏が“Power Reduction using LongRun2 in Efficeon Processors”というタイトルのプレゼンテーションを予定している。もうLongRun2に関しては語るべき事が終わった感がしていただけにちょっと意外だが、ここは素直にどんな発表が行なわれるかを期待していたい。 2日目の基調講演では、P.A. SemiのDan Dobberpuhl氏による“From StrongArm to PWRficient:The Ongoing Battle to Reduce Power in Microprocessors”が予定されている。P.A. Semiは、PowerPCベースの省電力/高性能プロセッサを提供するファブレスメーカーである。Dobberpuhl氏はStrongARMやSiByte SB1250などを手がけてきたエンジニアであり、彼の個人的な仕事の変遷で終わるのか、そこから踏み込んだ話になるのか、興味深いところだ。ちなみにNSの発表は“Optimizing the power for multiple voltage domains”となっており、プロセッサではなくそれを支える電源部の方の話である。NSは以前もAVSの発表などを行なっており、今回もこれに類した話ではないかと予想される。 今回、一番楽しそうな発表は(これまた伝統に回帰して)2日目後半の“Inovative Video Processors”に集約されていそうだ。タイトルだけ並べてみても “The CA1024: A Massively Parallel Processor for Cost-Effective HDTV” といった具合に、とんでもないものが出てきそうな予感がたっぷりである。おまけに見たことがあるメーカーは、“Multicore Content Processors for Efficient HD-Video Encoding”を発表するTarariだけ。そのTarariにしても、前回発表された内容はXMLのContent Processorなる、聞いたことも無い代物。今回もContent Processorの文字が躍っているところを見ると、あるいは以前のTarari T9000の延長にあるのかもしれないが、しかしHD-VideoのEncode用のContent Processorとはどんなものなのか、まったく想像できない。このあたりが楽しみである。 今回はサーバー向けのプロセッサなどは皆無でちょっとさびしい感じではある。またIBMやFreescaleによるPowerPCのアーキテクチャも(前回で一段落したのか)今回発表なしとなっている。もっともARMは相変わらずのプログラム数だし、楽しそうなプログラムも多いので、それなりに期待ができそうだ。 むしろ不安なのは、Processor Forumそのものである。遂に今回会期は3日(初日:Seminar、2、3日:Conference)に短縮されてしまっており、かつては4日で足りなかった(Seminar2日・Conference2日ながら、Conferenceが2日で終わらず翌日にはみ出した)事すらあった事を考えるとさびしい限りである。バリエーションであるMicro Processor Forum Japanは2005年秋は好評だったそうで、2006年も6月8日と9日にSpring Micro Processor Forum Japan 2006として開催が決まっているが、本家のProcessor Forumがコケたら終わりである。その意味では、ぜひSPF2006には盛り上がって欲しいものである。
□Spring Processor Forum2006のホームページ(英文) (2006年5月17日) [Reported by 大原雄介]
【PC Watchホームページ】
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