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「日本企業は世界に影響を与えてきた」
~米Microsoft ビル・ゲイツ会長が来日

ビル・ゲイツ氏

4月21日 開催



 米Microsoftのビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウェアアーキテクトが来日し、21日、都内のホテルで記者会見を行なった。

 今回は、Microsoftの日本法人が設立20周年を迎えたことを記念するとともに、日本におけるWindows Vistaの公開にあわせて来日したもの。前夜到着したものの、今回の滞在期間はきわめて短いという。

日本法人20年の歩みと、若き日のゲイツ氏

 午前9時から行なわれた会見でゲイツ会長は、「かつてNECから“PC-8000シリーズ”という革新的な製品が登場するなど、日本の会社は、常に世界中に影響を与えてきた。ポータブルコンピュータやカラーディスプレイという革新的な技術も日本の会社がやってきたものだ。先進的な日本の企業とパートナーシップを組んだことはMicrosoftにとって、大きな成果であった」と、20年間に渡る日本における取り組みについて振り返った。

 また、「Microsoftは、パートナーシップの重要性をますます強く認識している。また、そこに対して積極的な投資をしている。日本における3カ年計画“PLAN-J”においても、パートナーシップに対する重点課題として投資を進めていく考えであり、日本の会社とのパートナーシップは今後も重要なものだと考えている」と語った。

 米Microsoftは、すでに30周年を迎えたが、ゲイツ会長は、「この30年間は短い期間だったともいえる」として、「Microsoftが幸運だったのは、ソフトに特化した企業であったことだ。ソフトにフォーカスし、プラットフォームを構築し、ソフト産業を作り、パートナーと協力し、強力なツールを提供することができた。これはPCという限られた世界だけでなく、あらゆる仕事にに対するインパクトや、家庭におけるインパクトを与えることができた。TVがインターネットの世界に入り、インタラクティブな世界が展開されるようになってきた。また、携帯電話も世界のインターネットによって大きく変化している。こうした世界においても、ソフトウェアが重要な役割を果たすことになる。ユーザーを中心に考え続けてきたのがMicrosoftであった」と、自らについても振り返った。

 さらに、ゲイツ会長は、Microsoftの研究開発投資についても触れ、「テクノロジーの進化、デジタルライフスタイルやデジタルワークスタイルの進化は、加速化しているにも関わらず、これが過小評価されている節がある。コミュニケーションの仕方、仕事の仕方、遊び方が変化している。Microsoftは研究開発に年間60億ドル以上の投資を進めている。そのうち、3分の1がセキュリティに対する投資であり、そのゴールは、ユーザーが利用する際に、セキュリティを意識しなくていいことである。研究開発投資が新たなプロダクトを生みだし、パートナーとともに前進することができる」とした。

 研究開発投資において、ゲイツ会長が何度か言及していたのが、キーボードに変わる入力ツールという点。「キーボードを置き換えるものではないが」としながらも、Tablet PCで実現するペン入力のほかに、音声入力といったことにも積極的な投資を行なっていく姿勢を明らかにした。

 Windows Vistaに関しては、「さまざまなものを接続して利用できる世界がやってくる。また、アプリケーションの世界においても、どこにどんなコンテンツやフォルダがあるのかといったことも、簡単に検索できるようになる。さらに、Media Centerにおいては、TVや写真をあらゆる場面で簡単に利用できるようになる。Windows Vistaによって、ハードウェア、ソフトウェア、グラフィックス、コミュニケーションについても、かなりの技術的な革新が起こると考えている」と語った。

 注目されているLiveプラットフォームについても言及した。

 「Liveプラットフォームの実現には、インターネットが大変重要である。その上で、Windowsという標準であり、ハイボリュームのものを載せることができ、制限がなく利用できるものだ。また、このプラットフォームには、Microsoft以外のデバイスも含め、さまざまなデバイスを接続することができる。さらに、広告の世界も大きく変化し、多くのテクノロジーパートナーがアプリケーションを開発することができる。例えば、Office Liveでは、シェアポイントを通じて情報共有を行なったり、社内だけでなく社外とのコミュニケーションも可能になるなど、さまざまな能力を提供できる」とした。

 一方、質疑応答では、Web2.0に関して、「今はあまり使われていない」としながらも、「Webサービスをはじめ、複雑なサービスを実現するにはソフトが鍵になる。ソフトウェアのイノベーションが大切である」などとした。さらに、「Googleなどは、標準技術を利用してWeb2.0に取り組んでいることは評価したい」とも語った。

 HD DVDに関しては、「ハイディフィニション(HD)の世界が間違いなくやってきている。Xbox 360についても、ハイディフィニションに対する期待が高まっている。HD DVDで録画したものは、Windows PCにもトランスファーして利用できるし、その際のプロテクションスタンダードも採用している。また、ネットに接続した利用も可能になる」などとしたものの、具体的な採用プランなどについては明らかにしなかった。

 さらに、通信と放送の融合に関しては、「融合のためには、1つの領域に、より特化することが重要になる。Microsoftは、IBMのようにハードも、ソフトも、ソリューションもやってきたのとは異なり、ソフトに特化し、パートナーを通じてこれを広げてきた。パートナーが行なっているビジネス規模は、Microsoftの10倍以上の規模がある。通信と放送の融合では、音声や動画、セキュリティなどにそれぞれに得意な企業があり、これらの企業が得意とすることを持ち寄って融合することが大切だ」とした。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□関連記事
【1月6日】【CES】ビル・ゲイツ氏基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0106/ces03.htm

(2006年4月21日)

[Reported by 大河原克行]

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