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CeBIT 2006レポート【デジタルホーム編】

多数のViiv対応PCやEntertainment PC用ケースなど

会期:3月9日~15日(現地時間)

会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)



 Intelが1月のInternational CESにおいてViiv Technology(日本での発音はヴィーブ、日本以外はヴァイブ)を発表してから、日本でもいくつかのViiv対応製品が登場したが、今のところは数製品にとどまっており、Centrino Mobile Technology(CMT)の時のようにいきなり対応製品が多数登場するという状況にはなっていない。

 だが、CeBITの展示会場では、マザーボードを含めると、実に多数のViiv対応製品が展示されたほか、ベアボーンのような形としても多数の製品が展示されていた。また、Entertainment PCと呼ばれる横型のデスクトップPC向けケースも多数展示されており、そうしたデジタルホーム向けの展示も多数見られていた。

●Viivに対応したベアボーンPCなどが展示される

 1月に発表されたIntelのViiv Technologyは、日本でもNEC、富士通、日立、デルなどから対応製品が発売されており、すでに入手できる環境が整っているが、いずれもハイエンドの一部製品にとどまるなど、Centrino Mobile Technologyのように急速にガンガンと製品がでてくるというような環境にないのは事実だ。

 だが、今後はそうした状況も大きく改善される可能性がある。というのも、CeBITに出展していた多くの台湾系のベンダがViivに対応したベアボーンなどを展示していたからだ。AOpen、BIOSTAR、FIC、GIGABYTE、Shuttleという日本でもおなじみの台湾のOEMベンダが、こうした製品を展示していた。

 台湾のベンダがこうしたViiv対応製品に取り組むことについて、ある台湾ベンダの関係者は「もちろんViivが今後普及するだろうという見通しはあるが、取り組んでいるベンダの多くは、Intelからの援助を狙っているところも少なくない」と指摘する。

マザーボードベンダのブースなどに貼られていた巨大なViivポスター

 例えば、FICは、International CESでGE2というYonahベースの省スペースデスクトップを展示したが、これは、「Golden Gate」のコードネームでIntelと共同開発したもので、少なからずIntelからの援助があったと考えるのは想像に難しいことではない。

 実際、マザーボードベンダのブースには、実に多数の“Viiv”の巨大ポスターが貼り付けてあった。これらのポップはIntelから支給されたものだそうで、あるベンダの関係者によればIntelから目立つところに貼れと指令があったとか、なかったとか……。

 確かに、このViivの巨大ポスター、実際マザーボードベンダのロゴなどより目立っていて、なかなか目を引くものだったのだ。IntelはViivにお金を使ってるな、というのが正直な感想だ。


GIGABYTEの「H971」。Pentium Dを利用可能なViiv対応ベアボーンPC。日本では某PCベンダにOEM採用されたため一般発売されなかったHAシリーズの後継となる製品。マザーボードはnanoBTX。PCI Express x16、PCI Express x1とPCIがそれぞれ1つずつ用意されている。カタログによれば、チップセットはマジックで黒く塗りつぶされていて未公表ということだったが、透かしてみるとIntel G965+ICH8DH採用と書かれていた GIGABYTEの「A963」は、Core Duo/Soloを利用可能なブック型PC。チップセットにはIntel 945GT+ICH7M-DHを採用している。光学ドライブは2.5インチのものを利用しており、GPUは内蔵を利用。90WのACアダプタで動作する
FICのEntertainment PC、「SPECTRA」の最新版。SP-945EFは、Pentium Dに対応し、チップセットはIntel 945G+ICH7DHで、Viiv対応。ロープロファイルのPCI Express x16カードが利用可能。他にロープロファイルのPCI Express x1/PCIが1つずつ、PCI×2という構成は従来のSPECTRAと同じ FICの円柱型PC「PISTON」もViivに対応したバージョンがリリースされる。Pentium Dに対応し、チップセットはIntel 945G+ICH7DHを搭載 MSIの「Living Room PC」はAMDのSocket 939プラットフォームに対応。チップセットはNVIDIA GeForce 6150+nForce 430。PCI×1が利用できる
BIOSTARの「iDEQ Blade」はPentium Dをサポートしたベアボーンキット。チップセットはIntel 945G+ICH7でViivには未対応 AOpenの「MP-945VX」はCore Duoに対応したベアボーンキット。以前のMac miniにインスパイアされたモデルからデザインが大きく変更されている AOpenの「ePC945GT-m8」はIntel 945GT+ICH7M-DHを採用したCore Duo/Solo対応ePCベアボーン。騒音のレベルがわずか29dBであるという。Viiv対応
Shuttleの「X100」はCore Duo/Soloに対応した小型PC。チップセットはIntel 945PM+ICH7M-DHを搭載し、Viiv対応。GPUにはATIのMobility Radeon X1400が採用されている。210×298.6×53.5mm(幅×奥行き×高さ)と非常にコンパクトな設計になっている。説明員によれば、ベアボーンとしてでなく完成PCとして提供される予定であるという Shuttleの「M2000」は、従来の「M1000」をCore Duoに対応させたモデル。Intel 945GT+ICH7M-DHを搭載しており、GPUはNVIDIA GeForce 6600 LE。Viivに対応 FOXCONNのEPC。G965+ICH8DHを搭載しており、Viivに対応

●選択肢が増えつつあるEntertainment PC用ケース

 デジタルホーム関連のもう1つの話題としては、Entertainment PC(以下ePC)と呼ばれる、横置きでDVDレコーダのような形のPC用のケースが多数展示されていたことだ。

 ePCの構想そのものは、2004年の1月にラスベガスで開催されたInternational CESにおいて、Intelのポール・オッテリーニ社長兼COO(当時、現CEO)が発表したもので、ビデオデッキのような横置きのケースを採用することで、リビングにおいても違和感のないものを目指すというものだ。

 これまでもいくつかのベンダがePC向けの横置きデスクトップケースを展示していたが、数が少なくあまり選択肢がなかったのだが、ほとんどのケースベンダのブースでは、こうしたePCが展示されており、力を入れていきたいとするベンダが多かった。

独KONTAKTは、木製の外部フレームを利用したePCを展示。液晶ディスプレイをラインナップしたモデルも展示されていた。アジア系ベンダの画一的なデザインとは異なり、木製で暖かい印象を与えるデザインは好感が持てた。microATXとATXの両方が利用できるという
独mCubed Informationの「HFX mini」はATXないしはmicroATXを採用したePC。内蔵の3.5インチベイが4つもあるのが特徴的。電源は外部に搭載されており、ファンレスであるという。光学ドライブは2.5インチのものを採用している
Thermaltakeの「Mozart SX」はスリム型ePC。オプションでiMONのOEM品となるリモコンが利用できる ThermalTakeの「Mozart」と「Bach」は170×430×450mm(同)のATXケース。フロントアクセス可能な5インチベイが3つ、3.5インチベイは5つも入る。やはりオプションでiMONのリモコンを利用することが可能
3R Systemの「M-STATION HT-1000」 SUPER FLOWERの「SF-211」。ATXが利用可能で5インチベイ×2、3.5インチベイ×4(内蔵2、フロント2)を備えている ZALMANのHD160は、ATXケース。内蔵3.5インチベイ×4、3.5インチフロントアクセスベイ×1、5インチベイ×1を備えている。VFDも用意されている

●Skype対応ワイヤレス電話が多数展示されたものの……

 筆者がこのCeBITでぜひ見つけたいと思っていたのが、Skypeに対応した電話機だ(いわゆるSkypeフォン)。すでに市場にはUSB接続のSkypeフォンが登場しているが、意外とないのがワイヤレスで利用できるSkypeフォン。個人的な希望としては、Bluetoothあたりで接続してくれて、しかも電話機のディスプレイにSkypeのリストが表示されて電話はそこから選んでかけられるとベストなんだけどなぁ、と思って、CeBIT会場の通信機器のブースにいって探してみた。

 すると、実にわんさかとSkypeフォンが展示されており、筆者のニーズを満たすようなものが台湾や中国などのベンダのブースに存在していた(写真撮影を拒否されたりするところも多く、今回写真を載せているのはほんの一部だ)。だが、ほとんどの製品はモックアップでちょっとがっかり。

 話を聞いてみると、みな強気で「4月には出荷できる」とか、「もうすぐ出荷できる」とか言ってところがほとんどで、ますます“怪しい”感爆発なのだが、実際にそういう方向性を考えている人は多いことはわかった。

 ぜひとも、COMPUTEX TAIPEIぐらいには実際に動いているものを見せてもらいたいものだ。

PCHomeのSkypeフォン。電波方式は不明だが、リスト表示は可能であるという NETVOXのSKYPEフォン。無線は2.4GHzを利用している
EntecのSkypeフォン。無線にはBluetoothを利用している GaborVisionのSkypeフォン「SP-BT20A」。USBのドングルと電話の間はBluetoothで接続される こちらはCESですでに発表済みのNETGEARのWi-Fi対応Skypeフォン

□CeBIT 2006のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
□関連記事
【1月30日】【笠原】Viiv PCを自作する
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0130/ubiq146.htm
【1月11日】オンキヨー、Viiv対応PCを今春発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0111/onkyo.htm
【1月7日】【CES】Intel ポール・オッテリーニCEO基調講演レポート
~Centrino DuoとViivを正式発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0107/ces07.htm
【2005年7月15日】【笠原】FICのePCベアボーン“SPECTRA”を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0715/ubiq118.htm

(2006年3月13日)

[Reported by 笠原一輝]

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