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CeBIT 2006レポート
VIA、TDP3.5Wの超低電圧版C7-Mを発表
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超低電圧版C7-Mのスペックを説明するスライド | 超低電圧版C7-Mと超低電圧版Pentium Mとの比較 |
モデルナンバー | 最高 クロック | 最低 クロック | FSB | 最大 クロック (TDP/電圧) | 最低 クロック (TDP/電圧) | C4モード時 |
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775 | 1.5GHz | 400MHz | 400MHz | 7.5W/0.956V | 0.75W/0.796V | 0.35W以下/ 0.748V |
772 | 1.2GHz | 400MHz | 400MHz | 5W/0.908V | 0.75W/0.796V | 0.35W以下/ 0.748V |
771 | 1.2GHz | 400MHz | 400MHz | 7W/0.86V | 0.75W/0.796V | 0.35W以下/ 0.748V |
770 | 1GHz | 400MHz | 400MHz | 5W/0.908V | 0.75W/0.796V | 0.35W以下/ 0.748V |
779 | 1GHz | 400MHz | 400MHz | 3.5W/0.796V | 0.75W/0.796V | 0.25W以下/ 0.748V |
●2006年の半ばにはさらに実装面積を35%削減する1チップ構成のチップセットを投入
もう1つの大きな特徴として、バッテリ駆動時に省電力機能を効かせた状態での消費電力が低いことだ。超低電圧版C7ではバッテリ駆動時に省電力機能を有効にすると、数段階を経て400MHzにまで下げることができる。この400MHzでの駆動時には、消費電力はわずか0.75Wであるという。ちなみに、Intelの超低電圧版Pentium M 753(1.2GHz、Dothanコア)がSpeedStepを有効にして600MHzで動作時させたときの電圧が0.812VでTDPが3Wであることを考えると、超低電圧版C7-Mの低消費電力は際だっている。
なお、このほかの仕様は、従来のC7と同じになっている。システムバスは400MHzでP4バス互換のV4バスを採用しており、それぞれ128KBのL1キャッシュとL2キャッシュを備えている。拡張命令セットにはSSE2、SSE3に対応しており、NXビット対応やSHA-1/AESの暗号化エンジンを内蔵している他、C4から通常モードへ復活する際の復帰速度を速める2つのPLLを利用するなどの特徴を備えている。
Computex TaipeiではVX700というノース/サウスブリッジを1チップに統合したチップセットが追加され、実装面積が35%も減少する。さらに2007年にはメディア再生機能を強化したチップセットが計画されている |
パッケージにはNanoBGA2と呼ばれる21×21mm(幅×奥行き)という小型パッケージが利用されている。こうした小型パッケージは、CPUをマシンに実装する際に実装面積を小さくすることができるので、モバイルPCには最適となっている。
VIA Technologiesのイーバン・ウー氏(CPUプロダクトマーケティングディレクター)は「Computex Taipeiの時には、サウスブリッジとノースブリッジを1チップにしたVX700というチップセットを導入する。これにより、35%の実装面積の実現が可能になり、さらに小型の基板を、というニーズに応えることができるようになる」と述べ、将来に向けてさらなる小型化が実現できるようなソリューションを提供していくつもりであると説明した。
●超低電圧版C7-MがPBJのUMPCである“SmartCaddie”に搭載され、日本に登場
すでにVIA TechnologiesのC7-Mは、TwinHeadなど台湾のOEM/ODMベンダのノートPCに採用されており、主に中国や中東といった成長市場向けに投入されているが、これまで日本市場向けの製品に採用された例は無かった。
しかし、今回のCeBITの会場において、PBJのSmartCaddieと呼ばれるUMPCに搭載され、第2四半期に日本市場向けに投入されることが明らかにされた。CPUには超低電圧版C7-M 1GHzが搭載されており、外見から判断するとファンレス設計になっているものと見られる。
OSはWindows XP Tablet PC Edition 2005で、Touch Pack for Windows XPがプレインストールされており、Microsoftが提唱するUMPCの仕様を満たしている。操作はタッチパネルか、液晶の右側に用意されているスティック型のポインティングデバイス、液晶の左側にある十字カーソルなどを利用して行なわれる。本体の左右にはUSBポートを1つずつ、本体の右側面には電源ボタンとボリュームボタンを備え、ヘッドフォン端子も用意されている。なお、バッテリは10.8Vの2,400mAhの3セルで、容量は25.92Whとなる。
なお、VIAによれば価格などは未定であり、どのくらいになるかは今のところわからないとのことだった。
PBJのSmartCaddieは、Microsoftの“Origami”規格に沿ったUMPC | 本体の右側面、電源ボタン、USBポート、ボリュームボタン、ヘッドフォンジャックがある | 本体の左側面、ACジャックやUSBポートなどがある |
CPUは超低電圧版C7 1GHzで、GPUはチップセット内蔵のUniChrome Proを利用する | バッテリは10.8Vの2400mAhの3セルで、容量は25.92Wh | 付属のACアダプタは割とコンパクトにまとまっている |
●C7を搭載したEPIA ENのMini ITXマザーボードも今月中に出荷開始
このほか、モバイルPC向け以外にもVIAの各種戦略が発表された。VIAは低価格向けの製品が多く、中国や中東、東南アジアなどこれからの成長市場を重視した戦略をとっているが、今後はアフリカなどのこれからPCが普及していくような市場を重視するとあらためて表明した。VIAが“pc-1イニチアシブ”と呼ぶこの取り組みでは、PCやインターネットを利用できる人口を増やしていくということを目標にしているという。
VIAのコーポレートマーケティング担当副社長のリチャード・ブラウン氏は「現在全世界でPCやインターネットを使えるのは人口の20%程度である10億人にすぎない。これをもう10億人増やすべく、活動していきたい」と述べ、今後まだPCが普及していない国々に対する製品として、同社の低消費電力CPUやチップセットを利用したpc-1プラットフォームと呼ばれる低価格なPCやアプライアンスを提供していきたいと説明した。
また、VIAでは「EPIA」と呼ばれる超小型フォームファクタを採用したマザーボードを提供しているが、CeBITにおいて「EPIA EN」と呼ばれるC7ベースのCPUを搭載したMini ITXマザーボードを投入したことを明らかにした。すでにエンジニアリングサンプルの提供は始まっており、3月中には大量出荷を開始したいとのことだった。
EPIA ENはC7ベースのCPUを搭載したMini ITXマザーボード | 発表されたEPIA ENマザーボード |
□CeBIT 2006のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
□関連記事
【3月10日】【CeBIT】スケールメリットによる低価格でUMPCの弱点を克服する
Microsoftの“Origami”
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0310/cebit03.htm
【3月9日】Microsoft、超小型PC“Origami”プロジェクト公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0309/ms.htm
【2005年12月9日】VIA、C7をサポートしたチップセット「CN700」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1209/via.htm
(2006年3月11日)
[Reported by 笠原一輝]