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シーゲイト、垂直磁気記録の2.5インチ160GB HDDを出荷
1月25日 発表 日本シーゲイト株式会社は25日、垂直磁気記録方式を採用した2.5インチHDD「Momentus 5400.3」を流通チャネル向けへ出荷したと発表した。 Momentus 5400.3は業界初となる垂直磁気記録方式を採用した2.5インチHDD。同方式の採用により記録密度は132Gbit/平方インチに達し、従来の水平記録製品「Momentus 5400.2」の92Gbit/平方インチから約45%向上した。 回転速度は5400rpm、キャッシュ容量は8MB。容量は40/60/80/100/120/160GBの6種類が用意される。シークタイムは12.5msで、実効転送速度は44MB/sec。耐衝撃性は非動作時900G、動作時350G。騒音レベルはアイドル時23dB、パフォーマンスシーク時29dB。 PCとの接続インターフェイスはUltra ATA/100とシリアルATAが用意されるが、シリアルATAモデルは2006年後半より出荷開始される。 同社は、都内で製品説明会を開催。説明会には同社 代表取締役社長 小林剛氏が出席し、製品投入の市場背景や展望について語った。 小林社長は18日に発表された決算について触れ、「当社の2006年第2四半期(10月~12月)の売り上げは、前年同期比25%増の23億ドル、純利益は同約2倍の2億8,700万ドルに達し好調だった」とアピール。「しかし、3.5インチ製品では高いシェアを得ているものの、2.5インチ製品では12%ほどのシェアしか獲得していない。IDCによれば2006年度の2.5インチHDD市場は約8,700万台に上る見込みで、新製品の投入によりこの市場におけるシェアを獲得していきたい」とし、新製品に対する抱負を語った。 また、「2.5インチHDDは、2001年では10~20GB製品がメインだったが、2005年では40~80GB製品がメインとなり約4倍となった。2007年には80~160GB製品がメインになると見込んでおり、今回他社に先立って投入する新製品はその時期までカバーできる」と話した。
なお、シリアルATAモデル投入時期のずれについて同氏は、「チップセットなどの問題からシリアルATAが本格的に普及するのは2006年後半だと予測しているため、対応製品も遅らせ市場の時期に合わせた」と説明した。
説明会には、日本シーゲイト株式会社 フィールド・アプリケーション・エンジニア部 シニア・マネジャー 佐藤之彦氏も参加し、Momentus 5400.3で採用されている垂直磁気記録技術について説明した。 同氏はまず従来の水平磁気記録方式に存在する弱点を指摘し、「高密度化に伴い、水平磁気記録方式では水平方向に磁気を配置させるためお互いが反発し合うため、熱揺らぎ問題により熱や衝撃を加えると磁極が反転してしまう恐れがある。しかし垂直記録方式では逆に磁気がお互いに引き合うため、高密度になるにつれて逆に有利になる。このため垂直磁気記録方式は、今後の大容量化の実現には不可欠な技術である」と説明した。 また、垂直磁気記録で使われるヘッドについても紹介。従来のヘッドはコイルで形成された水平方向の漏れ磁場によって記録していたが、垂直磁気記録ではメディアの深層にSUL(Soft Under Layer:弱磁体層)を埋め込み、ヘッドとその鏡像を形成することで、メディアに対して垂直方向に磁場をかけて記録する。 ただしこの方式をそのまま適用すると、ヘッドの2極化により正方向と逆方向の磁場を生成してしまうため、記録したデータを打ち消してしまう。そこで、ヘッドに断面積の異なる2極を備えることでこの問題を解決する。同氏は、「レンズで太陽の焦点を集めるとき、焦点があったところだけ高温になるのと同じ仕組みで、断面積の小さい方(Main Pole)は面積あたりの磁力が大きいため記録でき、断面積の大きい方(Return Pole)は面積あたりの磁力が小さいため記録できないようになっている」と説明した。
また、部分的に連続して同じ極が続くとその部分の磁場が強化され、周囲が不安定になってしまう問題について同氏は、「これは同極同士が連続して書き込まれないよう、ファームウェアなどで書き込みパターンを最適化することで解決できる」と話した。 質疑応答では、垂直記録技術採用の3.5インチHDDの投入時期について質問がなされ、小林氏は、「コンシューマ向けでは、2007年度中に垂直記録採用製品を投入することを決定しているが、サーバーなどのエンタープライズ向けではまだ不透明」と答えた。 □日本シーゲイトのホームページ (2006年1月25日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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