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Intel ポール・オッテリーニCEO基調講演レポート
~Centrino DuoとViivを正式発表

Intelの基調講演は「Intel Core Duo」、「Intel Viiv Technology」という2つのテクノロジの発表の場となった

1月5日(現地時間) 開催



 米ラスベガスで5日に開幕したInternational CESにおいて、Intel CEOのポール・オッテリーニ氏が基調講演を行なった。そのなかで、次世代CentrinoやViivの正式発表に加え、Viivで視聴可能なコンテンツプロバイダの紹介などが行なわれ、今年のIntelは「New Normal」(新しい当たり前)を作り出していく年になるとアピールしている。

●Core DuoプロセッサとCentrino Duoプラットフォームを正式に発表

Intel Core Duoを手にする、Intel CEOのポール・オッテリーニ氏

 今回のオッテリーニ氏の講演における主題は「New Normal」への招待だ。学校や美容院などにおける日常のさまざまな“Normal”を紹介し、これまでの当たり前が、今年は新しい当たり前へ変化していく。そのためのテクノロジを紹介する講演となった。

 まず、過去に変化を遂げてきたたアイテムの典型であり、最新のテクノロジが搭載されるアイテムとして、PCを例に挙げた。

 モノクロのディスプレイがカラーになり、CD-ROMやDVD-ROMの搭載、ダイヤルアップや続くブロードバンドによるネットワーク接続性の実現、バッテリ駆動の実現、DVDへの書き込み、サラウンドサウンドが実現。さらに現在ではHD DVDを搭載するPCも登場。'80年代には28ポンド(12.7kg)もあった重量は大幅に軽量化されている。

 また、Intelが3年前に登場させたCentrinoはPCの小型化やポータビリティの向上に役割を果たしたほか、ワイヤレスコンピューティングを普及させている。

 このワイヤレスコンピューティングの普及は、Centrinoによって生み出されたNew Normalであり、次は画像ビューワ、ブラウザ、メール、iTunes、メッセンジャー、などを快適に同時処理する、デジタルメディアのマルチタスキングをNew Normalとして実現していくと述べている。

 これに対しては、当然ながら高い処理性能と省電力性が要求されるし、これからの時代ではさらなる携帯性の向上も求められる。そこで発表されたのが、新しいモバイル向けCPUの「Intel Core Duo」と、そのCPUを採用した「Centrino Duo」プラットフォームである。

 壇上には同社主席副社長兼モビリティ事業本部長のショーン・マローニ氏が登場し、Centrino Duoのデモを実施。ビデオ表示/iTunesによるCDの取り込み/デジカメからの画像転送の同時実行や「Quake 4」のプレイ、HD映像の再生デモに加え、LenovoやSamsungのCentrino Duo採用製品を紹介。ここでは、Centrinoの発表時に比べて2倍以上の製品が計画されていると述べている。

Centrino Duoロゴが貼り付けられたケープを纏って登場したIntel主席副社長兼モビリティ事業本部長のショーン・マローニ氏 このケープと、持ち歩いて利用したいもの(テレビやHD DVDプレイヤー)をシルクハットに投入して呪文を唱えると、Centrino DuoプラットフォームのノートPCが現れるというマジック(?)を披露。手に持っているのは富士通のCentrino Duo準拠PC
ビデオ表示、iTunesによるCDの取り込み、デジカメからの画像取得の同時実行デモでは、旧Centrino製品ではフリーズしたように動作が重くなり、デジカメからの画像転送の実行待ちが発生している間に、Centrino Duoではすべての処理が完了 ASUSTeKのランボルギーニPCのほか、LenovoのThinkpad X60/T60、SamsungのP50といったCentrino Duo準拠のPCを紹介

 また、Dell会長のマイケル・デル氏も壇上に登場し、すでに出荷を開始しているCentrino Duo採用ノート「Inspiron E1705」や、折りたたみ可能な20型液晶を持つコンセプトPC「XPS Mobile Concept」を紹介した。

 オッテリーニ氏は、Intel Core DuoはノートPCだけでなくデスクトップPCやハンドヘルドデバイス、家電製品などにも利用可能で、今後3週間で100万個以上を出荷するとしている。さらにCentrino Duoプラットフォームについては、デジタルエンターテイメントを快適に行なえる次世代コンピューティングの幕を開ける画期的製品、と述べている。

Dell会長のマイケル・デル氏。向かって左側にあるのが「XPS Mobile Concept」と呼ばれるコンセプトPCで、20型液晶、130万画素のWebカメラ、7.1chサラウンドスピーカーを内蔵し、しかも折りたたんで持ち運びもできるというPC。ちなみにデル氏が壇上を降りる際、本製品に強い興味を示すオッテリーニ氏に製品を持って帰られないように、自身で製品を持って退場した '93年に登場したPentium以来、初めてのプレミアムブランドとなるIntel Core Duo。そのダイサイズは3分の1で、10セント硬貨程度の大きさとなっている Centrino Duoは、従来製品に対して68%のパフォーマンス向上、12%の省電力化、IEEE 802.11a/b/g無線LAN機能の強化が実現されている

●コンテンツを重要視するViivも正式発表

 さて、Centrino Duoプラットフォームはエンターテイメントを移動しながら楽しめるという状態を作り出すことができる製品だが、これはあくまでユーザー体験の1つである。続いては家庭内におけるデジタルエンターテイメントの楽しみ方についての話題だ。

 2004年にIntelは「Entertaiment PC」と呼ばれる、家電ライクなPCのコンセプトモデルを発表した。当時のIntelはconvergenceという言葉を多用し、すべての電気機器が1つに融合されると述べていたが、現在、実際に家電とPCの融合は進み、その境界線はあいまいになってきている。

 こうした状況では、PCの処理性能の底上げやネットワーク配信における相互接続性、オンラインコンテンツの保護などが重要であるとし、これらを業界が協力してオープンスタンダードを確立していく必要を訴えている。

 それが1つの形として現れるのがIntel Viiv Technology(Viiv)である。高いレベルで必要とされる処理能力はIntel Core Duoで、また、Viivロゴが付いた機器同士の相互接続性やコンテンツ保護を実現している。

 壇上には同社デジタルホーム事業本部副社長兼本部長のドン・マクドナルド氏が登場。同氏は「ホームエンターテイメントをシンプルに実現した」ことをアピールするためのデモを実施。ESPNが配信するスポーツ番組の視聴、GAME TAPが配信するゲーム、家庭内のコンテンツ配信といったViiv PCのデモが行なわれ、リモコンやゲームパッドのみで利用できる統一感がある10フィートUIの操作性が紹介されている。

 マクドナルド氏はViiv PCについて、スリムで静かでデュアルコアCPUを搭載して900ドル以下の価格で提供するとしており、2~3週間程度でロゴマークが貼り付けられたViiv準拠製品が購入できるとしている。また、PC、DMAなど選択肢も豊富に用意されるViiv準拠製品を購入してもらえれば、さらに投資をして便利な機能を提供していけると呼びかけた。

Viiv準拠製品をバックに説明を行なう、Intelデジタルホーム事業本部副社長兼本部長のドン・マクドナルド氏 マクドナルド氏によるViivの操作デモ。電源ON/OFFを高速に行なうQuick Resume Technologyや、コンテンツへのアクセスを実際に行なった。利用しているのはShuttleのViiv PC

 一方のオッテリーニ氏も、Viivは家電のようなシンプルな操作、Intel Core Duoによる静かで省電力で高い性能、充実したプレミアムコンテンツを提供できるとし、さらにViivはデバイス自体で他社と競合していくわけではなく、むしろ業界が協力しながら新しい仕組みを作っていくものと呼びかけた。

 このオッテリーニ氏の発言はViivのハードウェアのみでなく、付随する規格やサービスの普及について重要性の高さを訴えたもので、なかでもIntelが特に重視しているのがコンテンツだ。マクドナルド氏もデモ中に「コンテンツがすべて」とも述べており、現時点で60社程度のコンテンツプロバイダとの提携を紹介している。

スポーツチャネルであるESPNの配信メニューは、ユーザーごとに見たい番組をカスタマイズして表示。右上にViivロゴが見えるが、Viiv用コンテンツは統一感のあるユーザーインタフェースによってアクセスできることもアピールされており、このロゴがユーザーに対する安心感を生むとのこと こちらはゲーム配信を行なうGAMETAPのデモ。ギャラガを選択したあと、ゲームの操作方法などのインフォーメーションを見ることもできる Viiv用コンテンツを配信する協業企業の数々。現在、その数は60社程度になっているという

 そして、ここからの講演は、そのコンテンツプロバイダのプレジデントによるサービスの紹介が次々と行なわれる格好で進んでいく。

 最初に登壇したのはDIRECTVで、テレビコンテンツを配信する代表プロバイダとして登場。Viiv PCで利用できる衛星放送チューナや、セットトップボックスの開発を表明した。

 続くAOL Onlineはコンテンツのポータルサイトとして、ミュージックビデオや映画、テレビ番組などさまざまなコンテンツの配信を紹介。現状ではDVDクオリティだが、今後はViiv PCで再生可能なハイクオリティ映像も用意しているとしている。

 また、2月に開幕するトリノ五輪の配信については、米NBCと提携。こちらもハイクオリティな映像でライブ中継が楽しめるとしている。

DIRECTV社長兼CEOのチェイス・キャリー氏。衛星放送チューナの開発などを表明した AOL会長兼CEOのジョナサン・ミラー氏。同社のコンテンツの紹介や、実際の配信デモなどを実施 トリノ五輪においてはNBCと提携して、ライブ中継が行なわれる

 最後に、2年前のCESでもIntelの基調講演に登場し「映画館での上映とインターネット配信を同時に行なう」としていた、モーガン・フリーマン氏が登場。同氏が設立したClick Starが初めて製作した「10 Items Or Less」を、映画館の上演後、2週間後にインターネット配信を行なうことを表明した。

 この映画はヒューマン・コメディ映画であり、家庭で楽しむインターネット配信に向いていると同氏は感じているようだ。また、壇上にはトム・ハンクス氏らハリウッドで活躍する著名人も登場。Click Starは映画製作に携わる人間の創造性や、映画コンテンツの大衆化を実現できる場として期待の言葉を寄せている。

初の製作映画を上映後、短期間でブロードバンド配信をも実施するClick Starの設立者であるモーガン・フリーマン氏(右)と、会長を勤めるロリ・マックレアリー氏(左) 映画俳優のトム・ハンクス氏
映画俳優のダニー・デビート氏 映画監督のトム・シャドヤック氏 映画監督/脚本家のブラッド・シルバーリング氏

□2006 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□ニュースリリース(英文)
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20060105corp.htm
□International CES 基調講演一覧(英文)
http://www.cesweb.org/attendees/conferences/keynotes.asp
□関連記事
【1月4日】Intel、コーポレートロゴを一新
~“Core Duo”などの新ブランドも公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0104/intel.htm
【2005年1月7日】【CES】Intel CEO クレイグ・バレット氏基調講演
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0107/ces04.htm
【2004年1月9日】【CES】Intel ポール・オッテリーニ講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0109/ces07.htm

(2006年1月7日)

[Reported by 多和田新也]

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