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“Z”に投入されたThinkPadの新技術
10月下旬 出荷開始
レノボ・ジャパン株式会社が5日に発表した、「ThinkPad Z」シリーズは、ThinkPadとして初めてワイド液晶を搭載し、最上位モデルで銀色の天板を採用するなどデザイン面での変更が目を引く。しかし、外からは見えない部分にも、堅牢性/信頼性/使いやすさを向上させるための改良が数多く加えられている。 まず、天板についてだが、Z60m、Z60tのそれぞれの最上位モデルは、チタン加工を施した銀色のものを採用した。チタンは、ダイヤモンドに次いで、ルビー、サファイヤと同じ硬度9を誇る。ただし、チタンのみで作ってしまうと、重くなりすぎるため、CFRP(炭素繊維)素材の上に、アルミ圧延シートを貼り、その上にチタンをスパッタリングで吹き付けている。 こうすることで、適度な重量で高い硬度を実現。実際、10円玉でチタン天板を引っ掻いてみても、銅の方が柔らかいため、天板に傷は残らず、10円玉の天板に触れた部分がきれいに磨かれてしまうほどだという。加えて、耐指紋コーティングを施すことで、指紋をつきにくくした。
Z60tではブラックモデルの天板も改良が加えられている。従来機は一般的なCFRPを使用しているが、炭素繊維がクロスするように2層にし、その間に比重の軽い発泡剤の層を入れるハイブリッドCFRPを使用した。これにより、チタンほどではないが十分な強度を持ちつつ、モバイル機としての軽量化を実現した。 チタン、およびハイブリッドCFRPをPCに使うのは、ThinkPad Zが初という。
色以外のデザインについても、いくつかの工夫がある。ThinkPad Zは、横から見ると平行四辺形の形状になっている。こうすることで、本体を真上から見ると、ワイド液晶と相まって、より横長のように見え、俯瞰したときは、より薄く見えるのだという。
キーの刻印のフォントは、使用頻度の多いアルファベットを若干大きくするとともに、スタイリッシュなものに変更した。また、これは他のメーカーの製品ではホットキーなどの形ですでに取り入れられているが、ThinkPad Zではカーソルキーにメディアプレーヤーの再生/停止などの機能を持たせた。ほか、Windowsキーも初採用されている。 なお、キーを支える「パンタグラフ」と呼ばれる部分は強化され、堅牢性を向上させているが、キー自体のストロークやタッチは特に変更されていないという。
内部の大きな特徴としては、同社が「Roll Cage」と呼ぶ、マグネシウム合金製の“骨格”機構を持たせた。マザーボードやHDDなどの内部パーツ類は、このRoll Cageにはめ込まれた上で、筐体内に収められる。 ノートPCは、雑に扱ったり、満員電車のように強い圧力がかけられる環境にさらされると、外的な故障/破壊だけでなく、マザーボードが反ってしまい、ボード上のコンポーネントが外れたりという、内部的な故障にもつながる。 Roll Cageは、このひずみによるマザーボードへの負荷を約3割軽減。また、筐体の剛性も2~4割向上させたという。
HDDは、従来の落下などを検知してヘッドを待避させる「Active Protection System」に加え、HDDの両側面をゴム製のパッドで覆い、コネクタ部は従来の上下方向のみから左右方向にもショックを吸収できるように改良。Roll Cageの効果も含め、HDDの片持ち落下試験での衝撃はほぼ半減された。
使い勝手の面では、これまで目測で合わせる必要があったドッキングステーションが、角の部分にノートPCをあてて合わせられるようになり、装着が簡単になった。ドッキングステーションは、Z60mとZ60tで共通化されている。両機種は本体サイズが異なるため、角からドッキングコネクタまでの距離を共通化するのは、設計上いくつかの制約を生んだが、ユーザーの利便性を優先させたという。なお、ACコネクタは従来機から変更されており、ACアダプタは専用のものが必要となる。
独自のソフトウェア「ThinkVantage」もインターフェイスやアイコンなどを変更し、わかりやすさを向上させた。また、バックグラウンド・プログラム・マネージャーと呼ばれる機能が追加され、定時ウイルススキャン時にキー入力などがあると、ウイルススキャンプログラムのCPU優先順位を下げ、ほかの作業に対するストレスを軽減させた。 これらの機能や設計などは、今後の機種や、他の機種にも順次発展させていく予定という。
□レノボ・ジャパンのホームページ (2005年10月6日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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