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レノボ、新シリーズ「Z」発表会で、こだわりを強調
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ThinkPad Z60t |
10月5日 実施
レノボ・ジャパン株式会社は、ThinkPadの新製品「ThinkPad Z60t」、「同Z60m」を発表。10月下旬から出荷を開始する。
ThinkPad Zシリーズは、現行のX、T、R、Gに続く新しいラインナップ。
「Zというと、IBMのサーバー製品の最上位機“zシリーズ”を思い浮かべる人も多いだろう。今回の製品は、zシリーズとは全く関連性はないものの、1台でなんでもできる、マルチユースという点では共通点がある。マルチユース・オフィス・モバイルというコンセプトをもち、1台で色々なことをしたいというニーズに応えたシリーズ。値段に関してもお手頃価格のモデルを用意している」(レノボ・ジャパン マーケティング担当 石田聡子氏)
ThinkPad Z60tは、オフィス内で快適に利用できる機能に加え、社外に持ち出すことができることをコンセプトとしている。横幅334mm、14.0型ワイドの液晶を搭載。全モデルに指紋センサー、セキュリティチップ、Gigabit Ethernet、無線LANのON/OFFスイッチを搭載している。企業内で利用することに加えて、会議などの場合社内での移動、社外への持ち出しに対応できるよう、ウエイトセーバーベゼル搭載時には1.89kgの重量となる。価格は119,700円から。
レノボ・ジャパン マーケティング担当 石田聡子氏 | ThinkPad Z60m |
ThinkPad Z60mは、活用性の広いモデルがコンセプト。15.4インチのワイド液晶を搭載し、幅広いニーズに応えることができるように、3種類の液晶、3種類のビデオチップの中から最適なものを選択できる。全モデル指紋センサー、セキュリティチップ、Gigabit Ethernet、無線LANのON/OFFスイッチを搭載している。価格は119,700円から。
●ThinkPadの伝統、「堅牢性」をさらに追求
レノボ・ジャパン 執行役副社長 研究・開発担当 内藤在正氏 |
今回発売したZシリーズの技術的な背景について、レノボ・ジャパンの取締役副社長で研究・開発担当の内藤在正氏は、次のように説明する
まず、ThinkPadシリーズとしては初めて、黒筐体ではなく、チタニウムカラーのカバーを採用したモデルを用意した点については、レノボになる以前、IBM時代から予定していたことだったという。
「IBMからレノボになったことで、黒以外の色が出てきたと思われている方もいるようだが、実はそうではない。一部のお客様から黒以外の色が欲しいとのリクエストがあり、IBM時代から黒以外にThinkPadらしい色は何か研究を進めてきた。その結果、やはり金属の色がふさわしいという結論となった」
「よくあるのは、アルミのカバートップだが、アルミは柔らかすぎるため、傷がつきやすい。ThinkPadとしては、あまり傷が付きやすいのは好ましくない。チタンは頑丈で傷がつきにくいものの、トップカバーの素材としては重すぎるという欠点がある。そこで、CFRP、アルミ圧縮シート、チタン・スパッタリングの三層構造とした。だが、チタン・スパッタリングは手で持つと指紋がベタベタつくという欠点がある。指紋がたくさんつくのは好ましくないと考えたので、チタン層の上に耐指紋コーティングを施した。実際に触ってもらえば、傷が付きにくく、指紋も残らないことが実感してもらえるだろう」
伝統の黒の筐体についても、Z60tではさらなる軽量化、堅牢性を実現するために新資材ハイブリットCFRPを採用した。
「熱硬化性CFRPは、強度があり、軽いもののコーナー処理ができないという弱点があり、これまではPCの材料にはなりにくかった。そこで、今回は熱硬化性CFRPのマルチレイヤーの中に低比重の発泡剤の層を入れ込み、軽量化をはかった。この素材は水に入れてもらえば水に浮くくらい軽い。ハイブリットとなったことで、軽さと堅牢性の両方を実現することができた」(内藤副社長)
チタニウムカバーを持ってアピールする内藤副社長 | 新素材を使った黒のカバーについて説明する内藤副社長 |
堅牢性を実現するために、内部には、マグネシウム合金製の内部補強シャーシ「ThinkPad Roll Cage」を搭載。外部からの圧迫による負荷から、内部の主要部品を守ることができるよう工夫されている。
「堅牢性を高めるために、世界で最もPCの使い方が荒い米国の大学生の使い方を研究した。彼らの使い方はPCを壊すように使うお手本となるもので、その使い方を見て技術屋がマグネシウム構造の骨格を提案した。その結果、外部圧迫によるひずみの強度を大幅に向上した。HDDについても、耐久性を保つためにラバー製のショックアブソールを追加。大きさの問題でなかなかノートPCには搭載しにくいものだが、省スペースと耐久性をなんとか両立することができた」(内藤副社長)
マグネシウム骨格のフレームをアピールする内藤副社長 | ラバー製のショックアブソールバーを追加したHDDを説明する内藤副社長 |
キーボードについても、過酷な使用に対応するようにキーを支えるパンタグラフと呼ばれる部位をさらに強化した。
「米大学生の利用状況を見ると、PCでゲームをするため、キーの消耗が激しい。そこで当社で、パンタグラフと呼んでいるキーボードを支える部分をさらに強化した。また、これは望ましくない使い方だが、パームレスト部分が広くなったことで、ここにコーヒーを置いてこぼしてしまうという場合も増えている。そこで、液体排出能力を改善した。自分で試してみるといったことはやめて頂きたいが、従来に比べて水やコーヒーであれば75%、コーラでは114%液体排出能力が向上している」(内藤副社長)
使いやすさの改善として、ドッキングステーションを新しくした。
「従来のドッキングステーションは、汎用的であるがゆえに、位置がわかりにくく、うまくドッキングできないという声があがっていた。今回、簡単に装着できるように位置決め方式を採用。角の部分を合わせることで、位置確認が簡単になった。外部キーボードを使用する場合に、画面の高さを調整が可能なThinkPadブック・スタンドも用意した」
安全という面では、新しいThinkVantegeテクノロジによるソフトウェア群を搭載。CPUへの負荷が高いウイルススキャン、HDDへのバックアップについては、ユーザーのCPU使用状況に応じて、バックグラウンドで使用するCPU使用率をコントロールできる。
内藤副社長は、「IBMでは、セキュリティという観点から週に一回はPCのウイルススキャンをかけるプログラムを実施している。こうした定期メンテナンスは必要なことではあるが、そのためにユーザーの業務効率が落ちてしまっては意味がない。定期メンテナンスとユーザーの業務効率を実現するために、ユーザーの使用状況に応じて、CPUの優先順位を動的にコントロールすることを可能とした。これでユーザーにとっては、ストレスなくメンテナンスが実行できる」と話した。
□レノボ・ジャパンのホームページ
http://www.lenovo.com/jp/
□製品情報
http://www-6.ibm.com/jp/pc/thinkpad/tpz60t/tpz60ta.shtml
http://www-6.ibm.com/jp/pc/thinkpad/tpz60m/tpz60ma.shtml
□関連記事
【10月5日】レノボ、ワイド液晶を搭載した「ThinkPad Zシリーズ」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1005/lenovo.htm
(2005年10月5日)
[Reported by 三浦優子]