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CEATEC JAPAN 2005

米Intel、ドン・マクドナルド副社長 講演レポート
~コンテンツのデジタル化はIntelも変える

米Intel
ドン・マクドナルド副社長

10月4日 講演



オンキョーのAV PCを紹介するマクドナルド副社長

 10月4日、わが国最大の電子・情報分野の総合展示会であるCEATEC JAPAN 2005がスタートした。その初日、米Intelのドン・マクドナルド副社長が特別講演を行なった。マクドナルド副社長は、同社のデジタルホーム事業本部の事業部長を務めている。ここでは、講演の概要を紹介する。

 マクドナルド氏は、現在メディアの王座の地位にあるテレビが最初のデモンストレーションを行なってから、75年が経過した。その歴史の中で大きな変化といえばカラー化だが、今メディアにはTVのカラー化など比べものにならないほど大きな変革の波が押し寄せようとしている、と切り出した。

 それは、すべてのコンテンツのデジタル化である。カラー化によってもTVは、その配信方法が変わったわけでもなければ、新しいコンテンツを生み出したわけでもない。が、メディアのデジタル化は、さまざまなコンテンツの垣根を取り払うと同時に、電波、ケーブル、パッケージといった配信方法の違いも無意味なものにする。

 さらにこれまでのメディアでは実現できなかった双方向性やパーソナル化によって、全く新しいコンテンツさえ生み出そうとしている。携帯電話の着メロも、そうした新しいコンテンツの一例だが、すでに全世界で40億ドルもの市場規模に達した。TVも、Gyaoがインターネットベースの動画配信を行ない大きな成功を収めていほか、日本テレビが動画のオンデマンド配信サービスを行なうことを表明している。

 こうした変化の時代においては、製品も変わらなければならないし、企業のビジネスモデルも変わらなければならない。これはチャレンジであると同時に、大きなチャンスでもある。デジタル対応の薄型TVは、コモディティ化が進み下がる一方だったTVの平均販売価格を押し上げた。

コンテンツのデジタル化が意味するもの 技術革新がコモディティ化、製品ジャンルの成熟化を変えた例 オンキョーのAV PCを紹介するマクドナルド副社長

 変化の際に重要なのは、使いやすさ、パフォーマンス、接続性の3点である。特に接続性は新しいデジタル家電製品に固有の機能であり、簡単にデジタルネットワークに接続できるということがすべての基盤となる。ネットワーク接続されたデジタル家電も、現在のスタンドアローンの家電製品と同じように、スイッチを押すだけで利用できなければならない。デジタル家電間の相互接続性を確保するためには、技術の標準化が非常に重要になる。標準の上で、イノベーションが行われる必要がある。


 Intelは、標準に基づいたビルディングブロックを提供する会社だ。富士通のノートPCに使われているIntelのデュアルコアプロセッサと、マルチスレッド対応のAdobeのソフトウェアを組み合わせることで、HD映像の編集も可能になる。また、AV機器メーカーとして知られるオンキョーが、Intelプラットフォームを採用したAVパソコンを計画するなど、デジタル化は企業も変えようとしている。

 こうした例はほかにも数多くあるが、われわれIntel自身も変わろうとしている。Intelはコンシューマー向けPCのブランドとして、「Viiv」を立ち上げたが、Viivに準拠したPCを利用すると、デジタルビデオカメラからの映像を、接続されたTVのフォーマットに合わせて、リアルタイムにトランスコードして出力する、といったことが可能になる。もちろんユーザーは、CODECやトランスコードを意識する必要はない。

 新しいIntelは、これまでのようにただひたすら性能を追求するのではなく、消費電力と性能のバランスをとることを重視している。手のひらサイズのウルトラモバイルPC、デュアルコアプロセッサとTVチューナーを内蔵しながら手のひらに乗るサイズのデスクトップPCなどは、新しいIntelを象徴するコンセプトPCだ。

今回「ウルトラポータブル」として紹介されたモックアップは、IDFでオッテリーニ社長がHandTopとして紹介したもの Golden Gateとのコード名で呼ばれる省スペースデスクトップPC。TVチューナーを内蔵したせいか、若干奥行きが延びている CPU、ビデオプロセッサ、ネットワーク、CODEC等を1チップ化したセットトップボックス/デジタルTV向けSOCの300mmウェファ。CPUコアはXScaleベースだが、「ウルトラポータブル」向けの低消費電力CPUの完成時にはx86ベースへの切り替えが予定されている。x86化によりPC用ソフトウェアCODECがそのまま利用可能になる

 また、Intelは家電機器向けの半導体にも力を入れ始めている。先日買収したOplusはビデオプロセッサのベンダで、ヤマハの採用が決まった。IT業界では一般的なムーアの法則を家電の世界に持ち込むことで、魅力的な製品を提供できるとも考えており、1チップにCPU、ビデオプロセッサ、CODEC、ネットワーク等の機能を集積したセットトップボックスおよびデジタルTV向けのチップも開発している。

 もちろんデジタルホームを成功させるには、こうしたハードウェア製品、プラットフォームだけでは足りない。接続性の重要性はすでに述べた通りだが、これを確保するためにDLNAで標準化に取り組んでおり、ロゴプログラムがスタートしたところだ。IntelはDTCPの普及にも取り組んでいるが、日本において電波産業界(ARIB)がDTCP/IPによるデジタル放送のネットワーク配信を認めたというのは非常に大きなニュースであり、これでデジタルTVチューナーの映像をPCで見ることが可能になる。

 コンテンツの整備という点ではほかにも、映画俳優のMorgan Freeman、プロデューサーのLori McCrearyが設立したClickStarにIntelは出資している。ClickStarは、DVD化される前の映画をブロードバンド配信しようという会社だ。パッケージメディアとしては、つい先日HD DVDの支持を表明したばかりだが、これはHD DVDが現時点で最も消費者の要求にこたえることができるフォーマットだと確信するからである。

 デジタル技術は、さまざまな垣根を取り払い、これまでできなかったことを可能にする。ホームPCはデジタルエンターテインメントを実現するだけでなく、家庭の管理、高齢者介護や家庭医療など、様々な可能性を秘めている。われわれ業界は、何を作るかではなく、何を消費者に提供するか、ということを考えて行動しなければならない、と述べて講演をしめくくった。

□CEATECのホームページ
http://www.ceatec.com/
□関連記事
【8月26日】【IDF】デジタルホーム向けの新ブランド「Viiv」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0826/idf05.htm

(2005年10月5日)

[Reported by 元麻布春男]

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