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マイクロソフト日本法人社長交代
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握手する新旧両社長 |
4月20日 発表
マイクロソフト株式会社は、同社の新年度が始まる7月1日付けで、ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏を新社長とする人事を正式発表した。
マイケル・ローディング現社長は、米国本社に戻り、コーポレイトバイスプレジデントMSNグローバルセールス&マーケティング担当に就任する。
ローディング氏に続く、2人目の外国人社長の就任は、日本法人の社長人事が、日本独自の立場で決定されるものではなく、世界戦略の上で決定されるものであることを示したものだともいえる。
新社長に就任するヒューストン氏は、ハーバード大学でMBAを取得後、マッキンゼーに入社。その後、スターバックスを経て、2003年にMicrosoft入社。カナダ出身の39歳。現在は、北米地区のスモールアンドミッドマーケットソリューションズ&パートナーグループ担当のコーポレイトバイスプレジデントとして、中小企業市場の開拓に取り組んでいる。
7月に就任するダレン・ヒューストン新社長 |
ヒューストン氏は、「今朝、日本のリーダーシップチームと話す機会をもった。私はそこで、日本におけるビジネスチャンスが大きいこと、日本における技術革新の可能性があることを示し、それに向かって前向きに取り組んでいく姿勢を明言した。その点では、チームと共有化ができた」と話し、「日本の市場は、Microsoftにとって、世界第2の市場であるばかりでなく、独自に研究も行ない、その技術を新たな製品に反映させていくという独特の性格を持った市場である。今回の社長交代は、基本姿勢を変えるものではなく、日本のリーダーシップチームが築いてきた成功の基盤の上で、さらに成長を遂げていくためのものだ」と語った。
ローディング氏も、今回の社長交代については、「米国本社のエグゼクティブの判断によって、私が、MSNのグローバルビジネスを担当することになったが、後任社長の人事については、ワールドワイドセールスのグループバイスプレジデントであるケビン・ジョンソンと協議を重ね、さらに、CEOのスティーブ・バルマーのサポートを受けて決定した。ヒューストン氏は、過去の経験やグローバルビジネスリーダーとして相応しい人物であり、日本市場での成功をさらに加速できるスキル、能力がある」と語った。
現在、日本法人では、7月以降のビジネスプランを立案中だが、ローディング氏は、6月まで日本に残り、この戦略立案をサポートしていくことになる。
また、今回の新社長の決定プロセスにおける日本人社長の可能性についても言及。「今回の人事は、日本を次のレベルに持っていくためにどうするかという観点で決定した、グローバルカンパニーとしての全体戦略での社長交代である。日本のグローバルカンパニーが、米国を重要だと判断した時に日本人が米国法人の社長に就任することがあるように、今回は、Microsoftが日本を重要な市場だと判断し、そこに適切な人物は誰か、という判断で決定したもの。もちろん、将来的には日本法人社長に日本人が再び就く可能性もある。しかし、それは必ずしも決定したものではない。状況を見て判断していくことになる」と語った。
また、日本市場において、中小企業への開拓が急務となっていることに対して、北米でその分野での経験を持つヒューストン氏が社長に就任することとの関連性については、「それが大きな理由ではない」としながらも、「中小企業向けビジネスにおいては、日本のチームが高い実績を持っており、これには継続的に取り組む。パートナーと連携し、顧客の成功体験を増やし、中小企業におけるたくさんの可能性を引き出したい」とした。
さらに、政府機関へのLinuxの浸透が進むなか、Microsoftとして講じるべき対抗策については、「日本は知的財産を重視する国であると認識しているし、Microsoftが提供できる価値を、もっと訴えていく必要があると考えている。オープンソースソフトは初期費用は安いが、長期的に見た場合には商用ソフトの方が安くなるという調査結果もある。こうしたメッセージを的確に伝えていくことが必要だろう」(ヒューストン氏)とした。
マイケル・ローディング社長 |
一方、ローディング氏は、'98年5月に中国地域のリージョナルディレクターとしてアジアを担当して以来、7年間に渡るアジアでの経験、また、2003年2月からの日本地域担当、2003年7月からのMicrosoft日本法人社長としての経験を振り返り、次のように語った。
「日本に住んで4年になるが、その間、最も重要なテーマはセキュリティの問題だった。Blasterが蔓延した時に、迅速な対応をしなくてはならないこと、政府機関ともどう連携するか、パートナーとの連携によって、いかに効率的に対処するのかといったことを学んだ。また、日本のチームと協力して、中小企業に対して技術的理解度を高める努力をしてきた。この分野ではますます競争力を高めることが大切である。さらに、Microsoftが持つテクノロジーをミッションクリティカルに対応できる体制を整えたのも成果のひとつだ。加えて、企業市民としての役割にも取り組み、障害者がITを使ってさまざまなものにアクセスするためのお手伝いや、ITやインターネットがもたらす社会的問題にも取り組んだ。日本の経済発展に寄与できたと考えている。この数年間に渡って、日本で大きな成功を収め、強力なチームとともに一丸となって取り組んでこれたことを、私は大変誇りに思うし、光栄だと思っている」と語った。
今後の新たな仕事については、「今後は、Microsoftにとっても重要なビジネスであるMSNになるが、グローバル戦略の一環として、日本もサポートすることになる」とし、日本との関係が今後も続くことを示唆した。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2266
□ダレン・ヒューストン氏略歴(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/exec/dhuston/default.asp
□関連記事
【2003年8月6日】マイクロソフト新社長マイケル・ローディング氏が就任会見
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0806/ms2.htm
(2005年4月20日)
[Reported by 大河原克行]