[an error occurred while processing the directive]

富士通、夏モデル発表会を開催
~デジタル放送のHD録画を国内で初めて実現

4月19日開催



 富士通株式会社は、本日発表した同社夏モデルPCの発表会を開催した。同社がPC製品発表会を行なうのは数年ぶり。

 会場では、PC単体でHD画質のデジタル放送録画を実現した32型液晶一体型PC「TX90L/D」などが発表、実機が展示された。

 地上/BS/110度CSなどのデジタル放送については、これまでNECなどがPCを使ったデジタル放送の録画機能を提供していたが、再生時に480pへダウンコンバートされるなど、HD画質での録画には対応していなかった。

 今回発表された製品では、富士通が独自に開発した「セキュアLSI」を利用することで、ARIB(電波産業界)の規格に準拠したコンテンツ保護を実現。PC単体でフルHD(1080i)画質を維持したままの録画に国内で初めて対応した。

 セキュアLSIは、HDDへの録画時、ディスプレイの表示時の暗号/複合化だけでなく、メモリも常時監視することで、コンテンツの不正利用を回避できるという。今後は同社PCへの採用だけでなく、外販も含めて広く展開していく考えという。

 また、新たに同社のデスクトップPCおよびノートPCのTVチューナ搭載モデルには、ハイブリッド高画質化テクノロジー「Dixel(ディクセル)」が採用された。Dixelは、映像の入力から出力まで、各回路ごとに最適な高画質化技術を投入したものの総称で、「Digital Image + Accelerator」からの造語。特定のチップを示す名称ではない。

 映像入力ソースをフルデジタルで処理することが特徴で、デジタル映像ソースでは、セキュリティLSIによる高度暗号化処理、色再現最適化/コントラストなどのハードウェア処理や、高画質ハイビジョンデコーダによるソフトウェア処理で高画質化。

 アナログ映像ソースは、信号の入力直後に10bitデジタル変換が実行され、低ノイズ設計MPEGエンコーダ、3次元デジタルノイズリダクション、3次元Y/C分離などによる高画質化、「Dixelフィルター」による輪郭強調やノイズ成分の除去(ソフトウェア処理)、色再現最適化/コントラストなどのハードウェア処理が行なわれ、液晶ディスプレイに表示される。アナログ信号も入力からディスプレイ表示まで一貫したデジタル処理を施すことで、高画質を実現しているという。

DESKPOWER TX90L/D 本体左側面 本体右側面
本体背面。背面カバーは取り外し可能 背面カバーを外したところ。デジタル放送用端子やEthernetなどを装備 本体右側面にはSビデオ/D4端子などを装備
会場に展示されたDixel採用のTVチューナボード。セキュアLSIや低ノイズ設計MPEGエンコーダなどを搭載する
付属のリモコン。ボタン配置などが改良された リビングでの設置イメージ

●新しい価値を提案する製品、家電メーカーへの挑戦ではない

 冒頭で挨拶した経営執行役 パーソナルビジネス本部長 伊藤公久氏は、「PCビジネスへの取り組み」と題してプレゼンテーションを行なった。そのなかでまず、同社の歩みとして、'81年発売の「FM-8」、'85年の「FM-77AV」、'89年の「FM-TOWNS」、2000年の「LOOX」などを紹介。「当社のPCの歴史はAVとモバイルへの挑戦の歴史」と語り、今回の製品群は新しい価値を提案する製品として位置づけた。

経営執行役 パーソナルビジネス本部長 伊藤公久氏 富士通の歴代PC

 その新しい価値のキーワードとして、「見る・録る・残す」を挙げ、同社が導入するハイブリッド高画質化テクノロジー「Dixel(ディクセル)」や、同社開発のセキュリティLSIによる、フルHDによるデジタル放送の録画など、映像入力から出力までのトータルな美しさを実現したという。

 32型液晶を搭載し、地上デジタル放送を録画可能なハイエンドモデル「TX90L/D」は、店頭予想価格40万円前後と、PC製品としては高価だが、「大容量HDD/DVDレコーダや32型液晶テレビを単体で購入しても40万円を超える。これに、PCがついており、圧倒的なプライスパフォーマンスになる」とその優位性を強調した。なお、液晶パネルはシャープの亀山工場製。

 「PC事業で損をしないためには、モノを作りすぎないことが重要」とも述べ、徹底したムダ取りや間締めによる製造プロセスの改善、部品調達/物流改善、市場変動に柔軟な生産体制の整備などの重要性を強調。また、製品開発スピードを上げることで、市場ニーズにあったタイムリー製品を市場に投入できるようになったという。

生産革新による改善状況

 特に、製造リードタイムでは、2001年下期を100%とすると、2004年下半期にはデスクトップPCで37%、ノートPCで26%まで短縮。1台あたりの加工費でも同期比較で、デスクトップPCは69%、ノートPCでは67%にまで改善された。

 PCの国内生産に対するこだわりについても語られ、「国内PCメーカーは海外生産へシフトしているが、必ずしもうまく行っているとは思っていない。我々も中国工場との比較は常に行なっているが、何が最適なものかは時期ごとに見極めている。それでも現状では国内生産が一番いいと考えているし、Made in JAPANにこだわりたい」と、あくまで国内生産に活路を見出す姿勢を示した。

 今後については、「デジタルデータを扱うノウハウを持つ当社らしい製品を提供し、新しい価値を生み出していきたい。これからはホームネットワークにおけるDLNA対応も進めていく方針であり、セキュリティの重要性もさらに増していく。技術、知識、経験という当社の強みを、これからも発揮していきたい」などと述べられた。

 質疑応答では、主にTXシリーズへの質問がされた。「TVの一般的な寿命は8年といわれるが、PCは2~3年程度。一体型PCを製品化する際に、そのサイクルの違いをどう捉えているか?」という質問に対しては、「PCにTVチューナを搭載したころから言われて来たことだが、単にTVとして使われるケースも多いし、(PCが陳腐化しても)TVとしては問題なく映るので長く使ってもらえると思う」と回答。

 液晶ディスプレイの大画面化については、「昨年、23型ワイド液晶一体型PCを発表した際、45%のユーザーからさらに大画面のモデルが欲しいという要望があった。要求があれば、32型よりも大型のものも作れる」などと説明した。

 「PCが付いているメリットをどう訴求するか」という質問には「TVと直接競争はさせたくない。PCには、録画した番組を編集したり、インターネットを利用したりというメリットもある」、「PCを買い直す時、「地上デジタル放送を見てみよう」などと考えたユーザーに買ってもらいたい。家電メーカーに挑戦したいわけではなく、新しい市場を作っていきたい」と、あくまでPC製品であることの強みを強調した。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/04/19-1.html(DESKPOWER)
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/04/19-2.html(BIBLO)
□関連記事
【4月19】富士通、32型液晶搭載一体型PCなど夏モデル発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0419/fujitsu1.htm
【4月19】富士通、Sonoma搭載機などノートPC夏モデルを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0419/fujitsu2.htm

(2005年4月19日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company.All rights reserved.