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ツインリンクもてぎの映像配信サービスがさらに進化
~4月28日開催のインディ・ジャパン300マイルで実施



 栃木県にあるサーキット場「ツインリンクもてぎ」では、昨年以来、主要なレースにおいて、「Pit Live TV Powered by Intel」と呼ばれる、無線LANを利用したストリーミング配信の取り組みを行っている。この仕組みが今年4月から強化され、4月28日から開催される「インディ・ジャパン300マイル」で新システムを利用できる。このPit Live TVの現状について、ツインリンクもてぎ営業部の本間公康氏にお話を伺った。

●配信するチャネルを増強

【画面1】Pit Live TVをPCで利用する場合、Windows Media Player、OKI Playerの2つを同時に利用できる。画面に示したようにレースの映像をWindows Media Playerで、順位表をOKI Playerでそれぞれ視聴できる

 Pit Live TVとは、ツインリンクもてぎ内において開催中のレース映像や順位表などの情報をIEEE 802.11g/bの無線LANで配信し、手持ちのPCやPDAを使って視聴できるシステムだ。サーキット場ではグランドスタンド前に大型モニタが設置されているものの、画面が随時切り替わるため、リアルタイムに変化するすべての状況を把握するのは困難だが、Pit Live TVは、この問題を解消できる。また、コーナーなどモニタから見えない位置で観戦する人にモニタ映像を提供できるメリットもある。

 Pit Live TVはPCと、Pocket PC 2003搭載のPDAで視聴できる。受信側のソフトウェアはWindows Media Playerのほか、PCのみとはなるが沖電気が開発したストリーミング動画再生ソフトの「OKI Player」が利用できる。Windows Media Playerは1枚の画面しか開けないが、PCであればOKI Playerを併用することで、レース映像と順位表の同時表示が可能になる(画面1)。

 Pit Live TVを簡単に紹介すると以上のようになるが、このサービスは開始以後、利用者から募ったアンケートやアクセスログを参考に、徐々に強化が図られている。今回のもっとも大きな変更点はコンテンツの拡充、具体的にいえば配信するチャンネルを増やしていることだ。

 先に示した画面1のメニュー(一番背後のウィンドウ)はサービス開始直後のもので、PCにはWindows Media PlayerとOKI Playerの双方で、レース映像と順位表をそれぞれ配信。PDAはPocket PC 2003のほか、Zaurusへも対応しており、このときはZaurusのレンタルサービスも実施されていた(表1、画面2)。

【画面2】サービス開始当初のトップ画面。Zaurus向けサービスが存在したほか、PC向けにはWindows Media PlayerとOKI Playerの両方で同じメニューがそれぞれ用意されていた
【表1】サービス開始直後のチャンネル
プラットフォーム クライアントソフト 配信内容
PDA(Pocket PC 2003) Windows Media Player レース映像
順位表
PDA(Zaurus) Zaurus専用ソフト レース映像
PC Windows Media Player レース映像(400kbps)
順位表
OKI Player レース映像
順位表


 次いで昨年9月より画面3、表2の構成に変更された。大きな変更点は、クライアント側ソフトウェア普及の問題により、Zaurus向けの配信が取りやめられた点。観客が持参したPCの性能にあわせて視聴してもらえるようレース映像を2種類のビットレートで配信するようにした点。また、まったく同一の内容を2つの方式で配信することを止め、レース映像配信がWindows Media Player向けに限定された点の3つだ。

 ちなみに昨年4月のサービス開始当初、Windows Mediaによる配信は遅延が大きいという問題点があったのだが、これは徐々に解消されているという。

【画面3】昨年9月に変更されたトップ画面。OKI Playerは順位表のみになり、レース映像は2種類のビットレートが用意された
【表2】昨年9月の変更後のチャンネル
プラットフォーム クライアントソフト 配信内容
PDA(Pocket PC 2003) Windows Media Player レース映像
順位表
PC Windows Media Player レース映像(高画質/400~500kbps)
レース映像(低画質/250~300kbps)
順位表
OKI Player 順位表


 そして、今年4月からは画面4、表3のとおり変更された。PDAについては従来どおりだが、レース映像は380~480Kbpsへ一本化。加えて「お楽しみ映像」と名付けられたコンテンツが追加された。このお楽しみ映像は、過去のレース映像やイベントの様子なども含めた、レースファン向けのコンテンツで、4月2~3日に行われた「2005 フォーミュラ・ニッポン」では2004年度の総集編が配信された。

【画面4】今年4月に変更されたトップ画面。ビットレートは1つに統一されたが、チャネル数は増え、「お楽しみ映像」のほか、従来とは異なる順位表の表示パターンが提供された
【表2】今年4月の変更後のチャンネル
プラットフォーム クライアントソフト 配信内容
PDA(Pocket PC 2003) Windows Media Player レース映像
順位表
PC Windows Media Player レース映像(380~480kbps)
お楽しみ映像
順位表×2
OKI Player 順位表


 そして、もっとも大きな変更点が順位表の拡充だ。Pit Live TVの良さが活きるのはグランドスタンド前の大型モニタが見えない位置でレース映像を視聴できることであるのは前述した通り。ただ、大型モニタに流れる映像とPit Live TVで配信されるレース映像が同じであるため、モニタ前の観客にとっては魅力は大きくない。そこで目をつけられたのが順位表の拡充というわけだ。

 これまでに配信されていた順位表は、画面の上半分に1~5位までを固定表示し、下半分はすべての順位をスクロール表示する仕組みだった。これに加えて、もう1パターンの順位表示が追加された。表示される内容は、レースによって変わってくるとのことで、例えばセクションタイムの順位や、複数クラスが一緒に走るようなレースではクラス別の順位を表示することが検討されているという。

●インディ・ジャパン300マイルで実施されるキャンペーン

 さて、このPit Live TVが実施される次のレースは、冒頭でも述べた4月28~30日のスケジュールで開催されるインディ・ジャパン300マイルとなる。決勝日はインディ・ジャパンオフィシャルソングを歌う大黒摩季さん、同レースのスポンサーである日本ボーリング協会のボーリング大使の小倉優子さん、ツインリンクもてぎの地元栃木県出身のサックス奏者渡辺貞夫さんら著名人がレースを盛り上げる。

 また、中央エントランスに設置された特設ブース「Pit Live TV Station」では同サービスへの接続サポートや、ノートPCのバッテリを充電できるようコンセントも用意される。実際のレース時間は約2時間となるが、レースが始まるまでに多少バッテリを消費していても、いざというときには充電する環境が整っているのはありがたく思う人も多いだろう。

 余談だが、これまでの事例では、ブース内で接続設定をする際に電源を接続する人は多いものの、バッテリの充電だけに訪れる人はそれほど多くないそうだ(もちろん充電だけの利用も可能)。現在の携帯性重視のノートPCが、2時間のレース観戦に耐え得ることを示す事例といえる。

 Pit Live TV Stationの隣には、本サービスをサポートしてきたインテルが今回初めてブースを設置する。ここではCentrino準拠のノートPCが展示されるほか、ブログを体験できるコーナーなどが設置される予定。また、同社Webページ内に本レースの特別サイトも用意。アンケートに答えた人に、抽選で本レースのペアチケットをプレゼントするキャンペーンが、4月15日まで実施されている。

 加えて、指定されたページを印刷してレース開催中にインテルブースを訪れることでオリジナルステッカーが先着300名にプレゼントされる。さらに、この記事をご覧いただいた方は、インテルブースで「PC Watchを見た」と言っていただければ、このステッカーをプレゼントしてもらえるので、スタッフに一声かけてみてほしい。

 さて、このようにツインリンクもてぎへノートPCやPDAを持っていくことで、レースをより楽しめるようになるという試みは評価できる。しかし、1年間で2度もメニュー構成が変えられたように、このサービスはまだまだ試行錯誤が続いている状態だ。

 とはいえ、この1年で確実な進歩が見られることも事実で、インターネットアクセスがとりあえずは可能になったという1つを取っても、十分な誘因になり得る。ツインリンクもてぎへレース観戦へ行くことがあるならば、ぜひノートPCも持参することをお勧めしたい。

□ツインリンクもてぎのホームページ
http://www.twinring.jp/
□Pit Live TVのホームページ
http://www.twinring.jp/pitlivetv/
□インディ・ジャパンのホームページ
http://www.indyjapan.com/
□インテルの特別サイト
http://www.intel.co.jp/jp/personal/news/events/motegi.htm
□関連記事
【2004年4月22日】【元麻布】サーキットにPCを持って行く理由
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0422/hot314.htm
【2004年4月19日】無線LANでモータースポーツを楽しむ
~「インディジャパン2004」映像配信サービスレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0419/indy.htm

(2005年4月13日)

[Reported by 多和田新也]

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