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IDF Spring 2005会場レポート PreslerやFB-DIMMなど次世代製品が多数展示
IDFの会場内では、展示会場である「Technical Showcase」や、デジタルホーム機器を展示した「Digital Home Product Display Hall」、デュアルコアCPUのデモンストレーションを行なう「Multi Core Zone」など、いたるところで製品や技術の展示が行なわれている。ここでは会場内で見つけた気になるアイテムをピックアップして紹介したい。 ●Intel 945Gを利用したデジタルホームPC 今回のIDFではデュアルコアCPUを中心とした、同社のプラットフォーム戦略が目玉となっているが、デジタルホームで採用されるAnchor Creekなどを構成するチップセットの1つがIntel 945Gだ。Intel 945Gについては笠原氏のレポートに詳しいが、Intel 915Gの後継にあたるグラフィック統合型チップセットである。 デジタルホーム機器の展示場であるDigital Home Product Hallでは、このIntel 945Gを利用したエンターテインメントPCなどが展示されている。いずれもマルチコアのPentium Dを搭載し、Windows XP 2005 MCEをサポートしている。 フォームファクターはmicro/picoBTXが採用されている。本体サイズもそれほど大きくなく、グラフィック統合型チップセットのIntel 945Gが採用されやすいのは頷ける。Intel 945Gではこうしたデジタルホーム機器への採用をにらんで、HDTVの再生機能が実装された。
さらに、Intel 915Gで利用可能となっていたADD2カードに加え、ADD2+カードをサポートしている。チップセット内蔵グラフィックの出力インターフェイスとしてアナログRGB/HD出力/DVIの出力を拡張するSDVO信号と、PCI Express x1を1枚のボードで実現することができる点が特徴で、さまざまなバリエーションのADD2+カードが展示されている。 また、Intel 945Gで利用されるICH7シリーズでは、PCI Express x1がICH6の4レーンから6レーンに増やされる。ATX/BTXといったスロット数の多いフォームファクターであっても、いよいよPCIスロットが存在しないマザーボードの登場が現実的になってきた。 ところが、現状ではPCI Express x1を採用した製品は少ない。今回のTechnical Showcaseでも、シリアルATA IIインターフェイスを持つRAID6カード、Gigabit EthernetカードやTVチューナカードなど、興味深い製品の展示はなされているものの、昨年と比較して劇的なほどにPCI Express製品が増えたという印象は受けない。 そうした中で期待されるのが、PCI Express-PCIのブリッジだ。ビデオカードはすでにPCI Express x16への移行が進んでいるが、当初PCI Express-AGPのブリッジチップで始まり、徐々にネイティブ対応となっていった。この流れはPCIでも起こりそうだ。 前回のIDFでTEXAS INSTRUMENTSがこのPCI Express-PCIブリッジのデモを行なっていたが、今回Genesis Logicも同様のデモを行なっている。このデモの面白いところは、Physical Interface for PCI Express(PIPE)と呼ばれるインターフェイスを使ってPHY層とMAC層を分けているところで、GenesisがリリースするのはPHY層だけという点である。これにより、MAC層のチップやプロセッサなどをベンダー側が選択できる、柔軟な対応が可能となる。 こうしたブリッジの役割を果たすユニットが普及すれば、PCIインターフェイスを持つさまざまなチップをPCI Expressで利用できるようになるわけで、注目すべきソリューションといえる。
●Multi Core ZoneではPreslerのデモも さて、このほか日本のコンシューマユーザーにもおなじみの企業の製品から、いくつか紹介していきたい。 まず、アイ・オー・データ機器のブースでは、同社のNAS製品であるLANDISKシリーズの新製品が参考展示された。「GigaLANDISK(HDL-G250L)」という製品名が付けられており、プロセッサに「Intel 80219」が採用されている。Intel 80219はPCI-Xインターフェイスなどを有するXScaleベースのI/Oプロセッサで、IntelのI/Oプロセッサラインナップでは廉価版チップの位置づけになる製品である。
ATIのブースでは、このIDF期間中に発表された2つの製品が展示された。1つは3月1日に発表された「RADEON X300 SE HyperMemory」である。32MBのオンボードメモリを搭載したサンプルボードを使い、1,024×768ドットの解像度で「Half-Life2」を動作させるデモを行なっていた。 もう1つが、同じく3月1日に発表された「ES1000」だ。これはサーバー向けマザーボードなどに利用されることを目的としたグラフィックチップで、接続は依然としてPCIインターフェイスが使われているが、デュアルディスプレイ出力やビデオメモリとしてDDR/DDR2を最大256MBまでサポート。半導体における鉛や水銀などの有害物質規制を定めたRoHS compliant ASIC and Board designにも適合していることをアピールしている。 会場では、動作デモは実施されていなかったものの、同チップを搭載したIntel製、TYAN製のマザーボードが展示されている。このセグメントは同社のRAGE XLが強い市場だが、ES1000への移行が注目される。 もう少しデスクトッププラットフォーム寄りなところでは、チップセットの話題がある。今回Intel 955X/945シリーズやNVIDIAのCrush19に話題をさらわれている感はあるものの、VIAも1月末日に発表した「PT894」をデモンストレーションしている。1,066MHz FSB、DDR2-667に対応するチップセットの基本機能をアピールするデモや、昨年発表された、PCI Expressにネイティブ対応する同社のGPU「GammaChrome」とPT894を組み合わせたデモも実施されている。
最後に、2006年以降のプラットフォームに関する展示物を紹介しておきたい。1つはMulti Core Zoneコーナーで展示された65nmプロセスのデュアルコアCPU「Presler」のデモだ。チップセットは「Bridge Creek」プラットフォームの「Broadwater」ではなく、Anchor CreekプラットフォームのIntel 955Xが利用されていた。 もう1つは、Showcase会場内で行なわれたFB-DIMMの動作デモである。ブース担当者はノーコメントとしているが、ディスプレイをつないで実動デモが行なわれていた。FB-DIMMを動作させられる環境としては、来年登場予定の「Bensley」、または「Glidewell」プラットフォームということになる。CPUはいずれのプラットフォームも、パット・ゲルシンガー氏の基調講演でも実物が紹介された「Dempsy」のコードネームを持つXeonのデュアルコア製品であり、そのCPUがすでに動作していることを示している。
□Intelのホームページ(英文) (2005年3月5日) [Reported by 多和田新也]
【PC Watchホームページ】
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