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秋葉原クロスフィールド、産学連携フロアの入居機関を発表

秋葉原電気街から見た秋葉原クロスフィールド。手前の高いビルが秋葉原ダイビル

2月17日発表



 秋葉原クロスフィールドの産学連携フロアの入居テナントが決定し、秋葉原クロスフィールドのデベロッパーであるNTT都市開発、ダイビル、鹿島の3社が入居テナント名を発表した。

 入居が決定したのは、公立はこだて未来大学、産業技術総合研究所、筑波大学、デジタルハリウッド大学、東京大学、東京電機大学、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ、日本弁理士会、人間総合科学大学、ぷらっとフォーム、明治大学、稚内北星学園大学の12機関。

 産学連携フロアは、今年3月31日に竣工、オープンを迎える秋葉原ダイビルの5階から15階の中低層階に設置するもので、その名の通り、産学が連携した先端的研究、教育、ベンチャー育成などが行なわれることになる。

 秋葉原クロスフィールドの運営を担う株式会社クロスフィールドマネジメントの山口皓章社長は、「秋葉原クロスフィールドは、産学連携、情報ネットワーク機能、集客等機能の3つが集約された拠点。新たな秋葉原が創出されることになる。今回の産学連携フロアは重要な取り組みのひとつ」と話した。

クロスフィールドマネジメントの山口皓章社長 東京大学先端科学技術研究センターの妹尾堅一郎特任教授 産学連携フロアに入居する各機関の関係者

 一方、秋葉原クロスフィールドの街づくりに関わっている東京大学先端科学技術研究センターの妹尾堅一郎特任教授は、「今回の拠点が、産学連携の雑居ビルになってはいけない。産業活性化の拠点を目指す」と発言。さらに、「ビル栄えて、街ほろぶとなっては意味がない。ビル栄えて、街一層栄える、を目指したい」と抱負を語った。

 また、妹尾特任教授は、「今回の入居者は、産業創出型の構想に沿い、それに呼応した企業が集まったもの。コンテンツ、メディア、インフラといった機関のほか、人材育成機関、ベンチャー育成機関などが揃い、それぞれの連携効果が発揮しやすい環境となっている。

 まずは各テナントが自らの事業に取り組み、それとともにテナント同士の連携がはじまる。また、テナントと秋葉原の各企業や店舗といった地域との連携も図ることになる。5階には、テナント同士が自由に交流できるアキバテクノクラブを設置する予定で、これも産学連携を加速することになるだろう」と語った。

 各大学による人材育成では、学生のほか社会人にも広く公開するケースが多く、「秋葉原の街の人にも公開したい」とする入居テナントが多い。また、日本弁理士会により、特許、著作権問題への対応、契約相談などを可能とするほか、ベンチャーキャピタリストの日本テクノロジーズベンチャーパートナーズによりベンチャー企業の資金調達などに関する連携も図れるようにした。

 なお、産学連携フロアが入居する秋葉原ダイビルの上層階部分はオフィスフロアとなっており、日立製作所が入居することが決定している。

秋葉原クロスフィールドの模型 5階から15階までが産学連携フロアとなる
5階にはテナント同士が自由に交流できるアキバテクノクラブを設置
産学連携フロアで実現される効果

●入居する各機関のプロフィールおよび活動予定

・14階、15階 国立大学法人筑波大学

筑波大学ビジネス科学研究所・新井誠教授

 社会人向けの夜間開講の法科大学院を2005年4月に開設。知的財産やグローバルビジネスなどの法分野における最先端教育を行なう一方、法律事務所を併設し、同事務所を通じたリーガルクリニックを実施する。「弁護士実務の臨床訓練ともいえるもので、実務に密着した教育に配慮する」(ビジネス科学研究所・新井誠教授)としている。そのほか、短期プログラムや公開講座などの実施も行なう。



・13階 国立法人 東京大学 大学院情報理工学系研究科

東京大学情報理工学系研究科・石塚満教授

 社会人なども対象にした創造情報学専攻を新設し、4月から開始する。博士、修士課程をあわせて100人程度の募集だが、現在は修士で27人、博士で6人と募集数には達していない。3月1日、2日に試験を行なう予定。そのほか、戦略的情報技術の研究開発、秋葉原の立地を生かした産官学連携を含むプロジェクト実践の教育、研究などを行なう予定。「本郷の壁のなかでの学術的研究成果を求める手法とは異なり、実践的創造力を有する人材の育成に取り組むことを主眼としたい」(東京大学情報理工学系研究科・石塚満教授)としている。



・12階 公立はこだて未来大学

公立はこだて未来大学の中島秀之学長

 システム情報科学部を設置している大学として、函館のキャンパスと秋葉原の拠点を結んだ連携や情報収集、遠隔講義の拠点としての活用を予定している。「テナントとして入居している他の大学にも、はこだて未来大学のために講義を行ってもらうなどの連携も図りたい」(公立はこだて未来大学・中島秀之学長)としている。



・12階 学校法人 東京電機大学

東京電機大学・山名昌男理事

 同学が推進する21世紀COEプログラムの神田地区研究拠点として、「操作能力熟達に適応するメカトロニクス」に取り組むほか、同学の産官学交流センターとの連携、鳩山キャンパスの支援を行なう。

 さらに、東京電機大学発のベンチャー企業が利用できるオフィスの提供、電機大学と秋葉原の電気街としての地域特性を組み合わせた地域貢献講座、資格取得講座などを少人数制で実施。「専門家やプロフェッショナルを対象にした講座も開きたい。電気街の人たちにも来てもらえるような講座を開きたい」(東京電機大学・山名昌男理事)とした。



・12階 学校法人早稲田医療学園 人間総合科学大学

人間総合科学大学・三田宗宏氏

 公開講座、生涯学習事業による地域、産業への貢献や、共同研究による教材コンテンツの開発、eラーニング学習システムの開発などを推進。教材閲覧やeラーニング体験スペースも設置する。また、夜間開講を含めた授業展開により、学部や大学院への社会人の学習機会を拡大することを目指す。「IT従事者に対する、こころとからだのケアの普及、人間総合科学とIT技術の交流、融合を図りたい」(人間総合科学大学・三田宗宏氏)



・12階 学校法人 稚内北星学園大学

稚内北星学園大学の佐武廣夫学園理事

 IT技術者の養成を目的とした大学教育の展開。働きながら学べる土日開講制の導入。そして、明日のITの現場で求められる実践的なカリキュラムの導入などを予定している。さらに、ブロードバンドを活用することで、IT技術教育コンテンツの配信を行ない、ビデオ配信と組み合わせた授業コースを展開する。「新たな技術についても、ITベンダーと連携した実践的なセミナーを開講できるだろう」(稚内北星学園大学・佐武廣夫学園理事)とした。



・10、11階 独立行政法人 産業技術総合研究所

産業技術総合研究所総括企画主幹・金丸正剛氏

 新たな戦略的ソフトウェア研究に向けた拠点機能として、これまで都内に3カ所あった研究オフィスを集結。つくばセンターとの連携機能も持たせる。研究開発課題として掲げているのは、グリッド技術、情報セキュリティ技術、ユビキタス情報技術で、これらをテナント企業との連携、産学との連携によって実現する。また、「研究成果を発信する拠点、市場ニーズを掌握する拠点としても活用したい。つくばに居ては得られないようメリットがあると考えている」(産業技術総合研究所総括企画主幹・金丸正剛氏)としている。



・9階 ぷらっとホーム株式会社

ぷらっとホーム・鈴木友康社長

 秋葉原に拠点を置き、これまで行なってきた製品情報の提供、検証施設の提供といった役割をさらに加速させる。検証ルームを設置し、エンジニアが検証に従事できる環境を用意することで、検証面からのIT系ベンチャー企業の商品化支援、コンピュータやロボットなどの先端研究型企業の発掘、育成支援、交流活動や情報集発信などの活動を行なう予定。「設立以来、エンジニアのオアシスと呼ばれてきた当社の特徴をそのまま生かしたい」(ぷらっとホーム・鈴木友康社長)という。



・8階 日本テクノロジーベンチャーパートナーズ

日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口和孝社長

 ベンチャー企業に対する投資活動のほか、ベンチャー企業経営者、関係者などによるベンチャーカンファレンスの開催、学生を対象にした起業体験プログラムの実施、大学とのコラボレーション事業の展開などを予定している。「金融系のベンチャーキャピタルとは異なり、技術産業に立脚したベンチャーキャピタルである強みを生かして、世界に通用する企業を秋葉原から育て上げたい」(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ・村口和孝社長)と抱負を語っている。



・8階 日本弁理士会

日本弁理士会秋葉原クロスフィールド対応委員会・福田伸一氏

 発明相談室の設置により、クロスフィールドの入居者や近隣の中小企業を対象とした発明相談、知的財産に関する市民講座の開催、知的財産などに関わる関係者との連携による産学官連携支援実務研究会の発足などを予定している。「これまで霞ヶ関の一拠点体制だったが、知財創出、活用の現場となる秋葉原は、霞ヶ関とは違う形で、知財との関連性が高い地域。知財集積地ともいえ、産業創出、連携を、知財の側面からサポートするだけでなく、知財人材の育成や弁理士のパワーアップにもつなげたい」(日本弁理士会秋葉原クロスフィールド対応委員会・福田伸一氏)と語った。



・7階 デジタルハリウッド大学

デジタルハリウッド大学・杉山知之学校長

 実務家を中心とした教員体制によるデジタルハリウッド大学を4月から開講。過去10年間に3万人の卒業生を持つノウハウを生かす。デジタルコンテンツ分野を中心に、仕事を経験する実務教育、ビジネスで通用する英語力を持つ人材の育成、国際感覚を身につけるための留学プログラムの実施などを予定している。「これまでの学校でも、それぞれに地域と密着した展開を行なってきたが、秋葉原でも同様に、地域と連携した実務的な授業を導入していきたい」(デジタルハリウッド大学・杉山知之学校長)という。



・6階 学校法人 明治大学

明治大学学長室・針谷敏夫専門員長

 インターネットと携帯端末を利用したユビキタスコンピューティングなどのIT系の研究・教育のサテライト拠点として利用。理系を中心とした文理融合型の産学連携のほか、先端授業の実施、知的資産センターとの共同デモ展示などを行なう。「理系学部は生田にあり、秋葉原は理系学部にとっての都市部の拠点として活用することになる」(明治大学学長室・針谷敏夫専門員長)という。



□AKIHABARA CROSSFIELDのホームページ
http://www.akiba-cross.jp/
□ダイビルのホームページ
http://www.daibiru.co.jp/
□鹿島のホームページ
http://www.kajima.co.jp/
□NTT都市開発のホームページ
http://www.nttud.co.jp/
□関連記事
【2004年4月20日】秋葉原の再開発事業、正式名称はAKIHABARA CROSSFIELDに
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0420/akiba.htm

(2005年2月17日)

[Reported by 大河原克行]

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