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2005 International CES
Microsoftブース レポート

1月6日(現地時間) 開催



 CESの展示会場のうち、セントラルホールと呼ばれる建物は、大手メーカーが入る建物である。Microsoftも毎年、ここにブースを構えている。

 Microsoftブースは、Microsoft自身が行なう展示と、サードパーティの展示から構成されている。面積でいえば、ほとんどがサードパーティの展示に割かれている。

 ここでは、Microsoftの新しい技術関連を中心に紹介しよう。

●IPTVは帰ってきたビデオ・オン・デマンド!?

 まずは、昨日紹介されたIPTVだ。これは、TCP/IPのネットワーク経由で映像コンテンツサービスを行なうもので、Microsoftは、そのセットトップボックス(IP-Set Top BoxまたはIP-STBという)側のソフトウェアを開発している。すでにMicrosoftは、ケーブルTV用のセットトップボックス用ソフトウェアとして“Microsoft TV”を出荷しているが、このIPTV用のソフトウェアは、Microsoft TVのIPTV版という位置付けになる。

 「IPTV」という新しい名前はついているが、基本的な仕組みは、かつての「ビデオ・オン・デマンド」(Video On Demand:VoD)そのものだ。IP-STB側からのリクエストに応じて、ネットワークを介して映像データを送るわけである。ただ、10年前のVoDブームのときよりも、クライアント側やサーバー側の性能が上がり、ネットワークの帯域が広がった点が違う。

 クライアント側の性能が上がっていることで、GUIが利用でき、コンテンツ購入時の決済機能などについても、クライアント側である程度の処理が可能になる。また、IPTVは、CATVのように閉じたケーブルによる接続ではなく、TCP/IPの開いたネットワークの上で動作するため、コンテンツごとの課金といったさまざまな決済方法にも対応できる。当初は、特定のネットワークプロバイダがユーザー向けに行なうサービスの1つとなるだろうが、ブロードバンド環境が広く行き渡れば、ユーザーが複数のIPTVのコンテンツプロバイダを選択するといったことも可能になるようだ。

IPTVのセットトップボックスとメニュー画面。IPTVは、ケーブルTVのようなサービスをネットワークを使って行なう。MicrosoftTVのIPTV版がソフトウェアとして採用されている Windows Connect Nowに対応した「D-Link MediaLounge DSM-320RD」

 またブースでは、「Windows Connect Now」に対応した「D-Link MediaLounge DSM-320RD」が展示されていた。これは、IEEE 802.11gを内蔵したメディアプレーヤーだ。Windows Connect Nowは、XPのSP2から実装された機能で、USBメモリを使って無線LANのSSIDやWEPキーなどの設定を行なうものだ。コーナーを設けて説明しているが、まだそれほど普及していないようである。すでにでき上がっているネットワークに、このようなメディアプレーヤーを接続する手間は簡単になるが、やはり問題は、接続の中心となり、設定トラブルも多い無線LANルーターの対応だろう。

●幅広い製品に付けられる「Plays for Sure」ロゴ

SSI AMERICAが試作したPlays for Sure対応のカーオーディオ

 昨日発表された「Plays for Sure」ロゴプログラム関連の展示は、ブース内でも大きな比率を占めていた。メディア関連の半導体も展示されており、TIやFreescaleの「Plays for sure」デバイスを使うことで、対応機器を作ることが可能になる。いまのところ、半導体自体にはロゴは入っていないが、そのうち、かつてのAMD製CPUにWindowsロゴが入っていたようにPlays for sureロゴの入った半導体というものも出てくるかもしれない。

 Plays for Sureコーナーに展示されていた家電製品としてはオーストラリアのAVメーカーであるDigitrexの液晶TV、パイオニアのプラズマTV試作機、LG電子のDVR/DVDレコーダーなどがある。

 パイオニアのプラズマTVやDigitrexの液晶TVは、Windows Media Connectを介して、PC側のコンテンツを表示することができる。Windows Mediaに対応しているために、Plays for sureのロゴが表示されていた。半導体やネットワーク対応家電など、Plays for sureロゴは、Windows Media対応であれば、広範囲に適用できるというのが実体のようだ。このため、PCとの親和性を表すロゴとして認知される可能性も高いのではないだろうか。

 LG電子のDVR/DVDレコーダは、日本でいうHDD/DVDレコーダである。160GBのHDDを内蔵し、TV番組の録画/タイムシフト再生が可能なもの。組み込み版Windows CEの上で、Windows Media Centerと同じGUIが動作し、Media Centerと同じEPGを使っての番組指定ができる。

 また、Ethernet端子のほかにUSB 2.0ホスト機能を持ち、ここに無線LANアダプタや増設HDDの接続が可能なほか、メモリカードリーダーやデジタルカメラなどを接続することができるという。まるでWindows Media Center PCを専用機にしたようなもので、ネットワークを介してPC側とコンテンツの相互利用が可能だという。ただ、Portable Media Center機器へのコンテンツ転送には、PCを介する必要がある。

 また、Plays for sure対応のカーオーディオ機器も試作機が展示されていた。車社会の米国では、音楽などのコンテンツを車の中でも楽しみたいという要望が強く、iPodなどでもカーオーディオと連携させる機器や自動車用マウント部品、シガーライターによる電源アダプタといろいろな製品が出ている。この試作機は、SSi Americaによるもので、簡単にいえば、カーオーディオと同じ形をしたWindows Media対応音楽プレーヤーである。USBでPCと接続、MTP経由でコンテンツを転送できる。

 SSI AMERICAは、カーオーディオメーカーではなくHDDを使ったMP3ジュークボックスのメーカーで、そのバリエーションとして車載用のものがある。この製品のフロントパネルは、かなりカーオーディオを意識したものになっている。

ずらりとならんだPlays for Sure対応のオーディオプレーヤー。よく見ると、色違いの機種も入っていて、そんなに種類が多くないことがわかる Plays for Sureは、半導体にまで及ぶ。Plays for Sure機器を作るには、対応半導体を使えば簡単ということ。ユーザー向けのロゴプログラムだが、主要デバイスにまで範囲を広げ、機器製造メーカーが安心して製造できるようにしようというわけだ パイオニアのプラズマTV試作機では、Windows Media Connectを使って、PC側のコンテンツのブラウズ/再生が可能になっている

コンテンツを供給するWindows XP上のWindows Media Connect オーストラリアのDigitrexの液晶TV。こちらもPlays for sureロゴを表示し、Windows Media Connect経由でPCコンテンツを表示できる LGのDVR/DVDレコーダーLRM-519。組み込み版WindowsCEを使ってMediaCenterと同じGUIやEPG機能を実現している

□2005 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【1月7日】【CES】ビル・ゲイツ氏 基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0107/ces02.htm

(2005年1月8日)

[Reported by 塩田紳二]

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