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2005 International CES
ビル・ゲイツ氏 基調講演レポート
会場:Las Vegas Convention Centerなど 1月6日(現地時間) 開催 CES開催前日は、ビル・ゲイツ会長兼CSAのスピーチから始まるのが恒例となっている。昨年は、SPOT(MSN Direct)の正式サービス開始をアナウンスしたが、今回は、Windows Media Centerを中心にしたサービスが主な発表項目である。つまり、メディアを扱えるWindowsだけでなく、各種のサービスや、非PCハードウェアへの展開を行なうことで,ユーザーに総合的な「Digital Lifstyle」を提供するというのがMicrosoftの目的である。 ●テレビのトークショーのフォーマットで進行
スピーチは、米NBC放送のトークショー「Late Night with Conan O'Brien」の人気司会者であるコナン・オブライエン(Conan O'brien)の登場で始まった。この番組は、日本でいえば、お笑い系芸人が司会するそれに近いもので、決して「徹子の部屋」のような上品でおとなしいものではない。
たとえば、「もう少しして、彼(ゲイツ)がここにやってくると、この会場の人たちの平均所得が1億2,800万ドルになる」とか、NBCが制作を予定しているCESのテレビ番組(もちろん、ジョーク)の配役が決まったといって、IT業界の有名人と似ている人を紹介していく。たとえば、Sun Microsystemsのスコット・マクネリ氏は、バービーのボーイフレンドのKen、Amazon.comのジェフ・ベゾス氏は鳥のエミュー、そしてゲイツ氏は、アニメ「The Simpsons」(シンプソンズ)に登場するMilhouse(ミルハウス)とかなり辛辣である。
●「Plays for Sure」ロゴ・プログラムを開始 ゲイツ氏のスピーチは、このO'Brienの番組と同じセットで、番組のように質問形式で進む。もちろん、途中でMicrosoftの社員によるデモなどもあった。 その中でゲイツ氏が紹介したのは、Microsoftが始める「Plays for Sure」と呼ばれるロゴ・プログラムに関するもの。 これは、Windows Media CenterやWindows Media Playerに関わるハードウェアやコンテンツサービスについてのもの。Microsoftは、コンテンツを持つ企業と提携し、MSNなどを通じて、さまざまなコンテンツを提供する。それは、Windows Media Centerからは、メニューとして呼び出すことが可能で、受信したビデオコンテンツなどを、同じくPlays for Sureログを付けたPortable Media Center機器へダウンロードして見ることもできる。サービスは、PCだけでなく、Media Center機能を組み込んだデジタルDVDレコーダー(韓国のLG電子などが開発)からも利用が可能だ。 このロゴは、MicrosoftのAV機器に付いており、コンテンツサービスとハードウェアを結びつける働きを持つ。このロゴの付いたサービスは、同じロゴを持つハードウェアで利用可能というわけだ。 日本でいうHDDレコーダーは、米国では、Tivoがハードウェアとサービスを一体にしたビジネスを行なっているが、今回、Microsoftと提携し、Tivoで録画した番組をPCへ転送することを可能にする予定となった。 また、ケーブルTVなどで使うセットトップボックスに対して「IPTV」というコンセプトを紹介した。これは、MicrosoftとComcastが共同開発したTV Foundation Editionというソフトウェアを使うもので、米国の電話会社であるBell Southが、これを使ったサービス行なう予定。 IPTVは、簡単にいえば、IPネットワークを使ったビデオオンデマンドサービスであり、4つのビデオストリームを配信可能なもの。そのユーザーインターフェースは、Windows Media Centerと同じであり、EPGから録画を指定するのと同じように番組を選択できる。また、単に動画を配信するだけでなく、たとえば、スポーツ番組を複数のカメラアングルから見たり、予告編を見てから、番組の購入を決めるといったことができるようだ。
●SPOTはサービス開始して1年が経過 また、ビル・ゲイツは、SPOT(MSN Direct)に腕時計だけでなく、置き時計タイプのものが登場することも発表した。このMSN Directは、今回あらたに腕時計タイプにSwatchとTissotが参入、置き時計タイプは、Oregon ScientificとMZ Bergerから発売が予定されている。 また、Xboxについては、新作HALO2の登場もあって、昨年最後の2カ月間の売上げは、米国市場でPlayStation 2を抜いた。また、多くのユーザーがオンラインサービスであるXbox Liveを利用しているという。 スピーチでは、現在開発中の「Forza Motorsports」というゲームのデモが行われた。これは、実車データから3Dレンダリングされた自動車レースゲームで、車のパーツや塗装のカスタマイズが行える。パーツに関しては、自動車パーツメーカーと提携し、実際に販売されているカスタムパーツが用意されているという。
●見えてきた米国でのMicrosoft家電参入戦略 今回発表された製品やサービスは、米国市場向けであり、Windows Media Center EditionやXboxの人気が低く、MSN Directのサービスが行なわれていない、日本のユーザーには関心が持ちにくいものばかりだった。また、期待されたXbox 2などの情報もまったくなかった。 それでも、Microsoftの方向性ははっきりした。Windows Media Center/Windows Media Playerのインターフェースを普及させ、これをセットトップボックスやDVD/HDDレコーダといった家電に展開する。そして、ネットワークを使って、ポータブル機器を含め、さまざまな機器でのコンテンツの共有を可能にする「Digital Lifestyle」を提供するわけだ。 ハードウェアやソフトウェア、ユーザーインターフェースだけでなく、サービス/コンテンツもセットにして提供することで、家電領域への参入を狙う。これは、AppleのiPodによく似たやり方である。ハードウェアであるiPod、優れたGUIを持つiTunesというソフトウェア、そして音楽コンテンツ販売のiTunes Music Storeを提供することでAppleは、ポータブルオーディオ機器という家電分野への参入を果たした。これを映像に拡大し、ハードウェアメーカーを巻き込んで行なうというのがMicrosoftの戦略なのだ。
【お詫びと訂正】初出時、「iTunes」を誤って表記しておりました。お詫びして訂正致します。 □2005 International CESのホームページ(英文) (2005年1月7日) [Reported by 塩田 紳二]
【PC Watchホームページ】
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