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日本IBMのPC事業部もLenovoへ転籍
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向井宏之理事 |
12月13日 発表
日本IBM株式会社でPC&プリンティング事業を統轄する向井宏之理事は13日、Lenovoとの提携について記者向けの説明会を行なった。
向井理事は、PC事業の売却は単なる売却に留まらず、IBMとLenovoとの戦略的提携であると述べ、両社が補い合う形でワールドワイドのPCテクノロジーリーダーになると語った。
PC事業のLenovoへの売却は、2005年第2四半期をめどに行なわれる。IBMは、6億5千万ドルの現金と、6億ドル相当のLenovoの株式を受け取る。この株式は3年間のロックアップ期間が設けられており、期間中は保有し続ける義務がある。また、PC事業を精査した結果、確認された5億ドルの負債についてもLenovoが引き継ぐ。
Lenovoは、PC事業を行なう新会社(以下、新Lenovoと略称)を設立する。新LenovoはLenovoホールディングスの100%子会社であり、IBMの資本は入らない。
新Lenovoの本社はニューヨークに、拠点はLenovoがある北京と、IBMのPC事業の拠点であるノースカロライナ州ラーレイに置かれる。研究開発拠点は、中国、米国、日本に置かれる。
新Lenovoには、IBM PC事業の経営、製造、研究開発、営業、マーケティングなどがすべて移管される。向井理事によれば「一部の切り売りではなく、PCに関するすべてのファンクションを異動する」と解説された。
ブランドについても、「ThinkPad」を始めとする「Think」ブランドについては完全に移管される。なお、「IBM」のブランドについては最長5年の期限付きで新Lenovoが使用できる。したがって、「IBM ThinkPad」は最長あと5年存在することになる。
また、LenovoはIBMに優先的にPCを供給するプリファード・サプライヤーになること、IBMはLenovoに対して優先的にサービスやファイナンシングを提供するサプライヤーになることも契約に含まれている。
事業売却の概要 | IBM PC事業の概要 | Lenovoの概要 |
両社の特徴の比較と補完 | IBMと新Lenovoの関係 | 新Lenovoの特徴 |
今回、日本IBM内のPC事業も新会社へ移管することが、明らかにされた。営業部門については、日本市場の規模の大きさから、新Lenovoの日本支社となる法人が設立される方向で検討されている。
ThinkPadの開発拠点である大和研究所についても、ThinkPadに関連する部門は新Lenovoに移管され、従来通りノートPCに関するワールドワイドの開発拠点として機能する。日本IBMから新Lenovoへ異動する社員は約600名程度が予定されている。「転籍に伴う待遇や仕事の内容の変化は、基本的にはない」と述べた。
また、IBMがすでに決定した今後18カ月間の開発計画については、そのまま実行されることが決定している。
向井理事は、「IBMはワールドワイドで法人向けに高品質な製品群を持ち、Lenovoはこれから発展する中国国内でのシェアと個人向けでローコストな製品群を持ち、両社の特徴は完全に補完される。また、IBMはLenovoが持っていない、ワールドワイドの営業力、ファイナンス、サービス、ソリューションを提供できる」と述べた。 また、サーバー部門とクライアント部門が切り離されることに対する懸念については、「現在でも両者の部隊と営業は独立しており、支障が発生するとは思いにくい」と否定した。
さらに、Lenovoの発言力増大により、ThinkPad製品などの品質が低下する懸念については、「ThinkPadというブランドの価値はIBM側もLenovo側もよくわかっており、大事にしたいと思っている。ブランドの位置付けなどは今後の話し合いになるが、ThinkPadに対する期待は大きく、守っていきたいと思う」と述べた。今後のThinkPadについては、「組織がスリムになることにより、開発のスピードアップや柔軟性の向上などを期待している」と期待を語った。なお、デスクトップPCについては中国が開発拠点となる。
□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.co.jp/
□Lenovoのホームページ(英文)
http://www.lenovogrp.com/
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【12月8日】米IBM、PC事業をLenovoに売却
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1208/ibm.htm
【12月3日】IBMがPC事業を売却!? 米NY Times紙が報道
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1203/ibm.htm
(2004年12月13日)
[Reported by date@impress.co.jp]