三浦優子のIT業界通信

ラオックス ザ・コン館リニューアルオープン前日レポート
~秋葉原再開発でオフィス/大学需要を狙う




●秋葉原再開発を睨みリニューアルオープンする ラオックス ザ・コンピュータ館

ザ・コンピュータ館
 ラオックスの旗艦店舗であるザ・コンピュータ館が10月22日10時に、リニューアルオープンする。

 同店舗のリニューアルは、2001年10月26日にターゲットを法人向けへとシフトする大がかりなものが行われた。その後も毎年のように細かいリニューアルが実施されている。

 今年4月には、自作系のPC・DO Shopとザ・コンピュータBOOK館に続き、ザ・コンピュータMAC館を6階スペースへと吸収し、開店当初のコンセプトであった、「パソコンに関するものならないものはない」という総合店舗への回帰を図った。

 それに続く今回のリニューアルでは、「総合店舗としての弱点となっていた部分をカバーし、秋葉原地区におけるザ・コンピュータ館のあり方を追求した」(ラオックス広報室 山下巌部長)内容となっている。

 同社自身で感じていたザ・コンピュータ館の弱点とは大きく3つあった。

 1つは、初心者ユーザーからは、専門的で敷居が高い店舗と見られていたこと。

 2つめは、'90年の開店当初は他にないパソコンの大型専門店という特徴をもっていたものの、現在では多くの店舗が同様にPC専門店を開店しており、競合との明確な差別化ができなくなっていること。

 3つめは法人需要は、法人向けスペースを縮小したこともあって、総合店舗とは言いながら法人向けの部分が弱くなっていたこと。

 今回のリニューアルでは、新コンセプトの基で、こうした部分をカバーすべく、新しいサービス、これまでにはなかったコーナーを設けた。

●初心者からプロまで相談を受けるコンシェルジュを新設

 まず、初心者ユーザーから敷居が高いという指摘があったことに対しては、これまでになかったコンシェルジュ・サービスをスタート。1階に設けられたこのコーナーには、副店長がコンシェルジュとして立って、「WindowsとMacintoshの違いがわからないといった超初心者的な質問から、法人、マニアユーザーの専門的な質問まで店舗に置いてある商品に関する質問はもちろん、どこに行けばお金をおろすことができるのかといった直接店舗には関係のない質問まで受け付ける」という。

 気軽にどんな質問でも受け付けるコーナーを設けることで、「初心者ユーザーでも、安心して入ってもらえる店舗という印象をもってもらう」ことを狙っていく。

 副店長がコンシェルジュ担当となるのは、「ある程度スキルのあるスタッフでなければ、コンシェルジュが勤まらないのはもちろん、副店長は個人の売り上げ目標を持っていないかわりに、店舗全体の売り上げ拡大という命題をもっている。お客様から寄せられる質問の中には、今後の改善すべき箇所のヒントなども含まれてくるので、副店長を担当とした」という。

 その他にも店舗の人気商品をランキング形式で紹介する「ザ・コン TREND」を1階に、規格や容量が多種多彩なメモリ製品を集めて紹介する「メモリー・ワールド」を同じく1階に、自分ではウイルス対策をとれないというユーザーがいることを考慮し、ウイルス感染の診断から駆除までを有料で行なうサービスを提供する「ウイルスクリニック」を5階に、それぞれオープンする。

●大学関係者を意識しビジュアルテクノロジーと提携

 2つめの改善点となる他店との差別化策としては、5階に設けるビジュアルテクノロジーとのコラボレーションブースがある。

 ビジュアルテクノロジーといえば、元アスキーの西和彦氏が取締役技術本部長であり、AMD製64bit CPUのOpteronを搭載したコンピュータの開発、販売を行なう、技術志向の高いメーカーだ。

 「5階の展示スペースには、オーディオ機能に特化したハイエンドの個人向けマシンも展示するが、ビジュアルテクノロジー社メインのユーザー層は企業の研究室や大学で、価格は400万円程度のもの。それをザ・コンピュータ館で大量に販売するのは難しいかもしれないが、秋葉原地区でも他の店舗にはない、最先端技術のマシンを展示、販売することで、ザ・コンピュータ館という店舗の幅が広がり、研究者や大学関係者などの来店増にもつながるのではないか」と山下部長は説明する。

 大学や研究者を意識するのは、秋葉原の再開発地域に現在建設が進んでいる新しいビルに、大学、IT関連企業が入居することになるからだ。これまでも秋葉原は大学や研究者の街でもあったが、西口に建設されている秋葉原ダイビルには複数の大学が入居する予定で、これまで以上に秋葉原と大学との距離が縮まることになる。

 「同じ西口にある店舗同士、ぜひ、ザ・コンピュータ館を御用達の店舗に」とラオックスでは企業や大学関係者に熱いラブコールを送る。その熱い思いを具現化したのがビジュアルテクノロジーの商品展示ということになる。

駅前に続々建築中の大型ビル群。大学や大手企業の入居が見込まれている

●再開発ビルに入居した店舗の御用達目指し即日配達サービスも

 3つめの課題である法人向け商品の拡充についても、「ないものはない店舗といいながら、法人コーナーの縮小により、法人向け商品が少なくなっているため、本当の意味での総合店舗になっていないのではないかという声があり、法人スペースを拡充することとなった」という狙いがある。

 さらに秋葉原には、再開発により多くの法人がオフィスを構えることになるという事実がある。これまで秋葉原には、大規模なオフィスビルはなかった。しかし、ダイビルやUDXといった新しいビルには多くの法人が入居するため、こうした法人顧客の取り込みも秋葉原の店舗の重要な課題となったのだ。

 そこで、これまではPC・DO Shopが入っていた地下スペースをビジネスフロアとして、サーバーや企業向けPC、プロッタなど法人のための製品を集めて展示することとした。

 さらに新たなサービスとして、秋葉原から約1km以内の法人客を対象に、午後3時までの電話注文を受けた商品をその日のうちに届ける「クイック・デリバリー・サービス」をスタートする。

 「法人の場合、紙切れ、インク切れが起こり、即品物が届かなければ商売にならないという場面が存在する。そういう場合に商品をその日のうちに届けるサービスを提供していくことで、最初は紙、インクからスタートし、次にはPCもというビジネスが派生しないとも限らない」と期待の声を寄せる。

 新たなコーナーの新設により、新店舗のフロア構成は次のようになる。

・6階=Macintosh(従来通り)
・5階=PC(ノートPC、デスクトップPC)、ディスプレイ、ビジュアルテクノロジー製品、ウイルスクリニック受け付けカウンター
・4階=周辺機器、PC・DO Shop
・3階=PCソフト、書籍(従来通り)
・2階=アクセサリー(従来通り)
・1階=デジタルカメラ、モバイル、ランキングコーナー「ザ・コン TREND」、コンシェルジュ・サービス、メモリー・ワールド
・地下=ビジネスフロア、クイックデリバリー・サービス受付窓口

 22日10時のオープンには、NEC製ノートPC「LaVie N LN300/9DB」を109,800円、トレンドマイクロの「ウイルスバスター2005」を980円で、アイ・オー・データ機器の120GBの外付けHDDを4,980円で、それぞれ個数限定で抽選販売。さらに、週末の23日と24日にも特価商品を用意し、リニューアルオープンを盛り上げる。

20日時点では、店内は改装中のため一部フロアが休止中 抽選販売となる数量限定の特売品 改装セールを告げる店頭のポスター

□ラオックスのホームページ
http://www.laox.co.jp/
□The Computer館ホームページ
http://www.laox.co.jp/store/180/index.html
□関連記事
【3月19日】AsoBitCityを分散し、ザ・コンを再統合するラオックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0319/miura010.htm
【2001年10月26日】ラオックス ザ・コンピュータ館がリニューアルオープン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011026/laox.htm
【4月20日】秋葉原の再開発事業、正式名称はAKIHABARA CROSSFIELDに
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0420/akiba.htm

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(2004年10月21日)

[Reported by 三浦優子]


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