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NVIDIA、“DOOM3 GPU”こと「GeForce 6600」発表会
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GeForce 6600 GTを紹介するNVIDIA株式会社PCビジネス担当シニアマネジャーの東 正次氏 |
8月23日 開催
米NVIDIAは12日(米国時間)に発表したメインストリーム向けGPU「GeForce 6600」シリーズの国内発表会を開催した。
●DOOM3が3倍速いGPU
GeForce 6600 GT/GeForce 6600搭載リファレンスカード |
GeForce 6600シリーズは、GeForce FX 5700の後継となるGPUで、位置づけとしてはGeForce 6800シリーズがハイエンド向けとなるのに対し、メインストリーム向けとなる。バスインターフェイスはPCI Expressネイティブだが、ブリッジチップを搭載したAGP版も追って登場する予定。
コアクロックは上位モデルのGeForce 6600 GTが500MHz、下位モデルのGeForce 6600が300MHz。ビデオメモリは6600 GTが1GHz動作のGDDR3を、6600が500MHz前後のDDRを搭載する。メモリ容量は128~256MB。
ピクセルパイプライン数は8本、メモリインターフェイスは128bitと、いずれもGeForce 6800シリーズ(上位モデル)の半分となる仕様だが、機能面ではDirectX 9.0cで新採用されたShader Model 3.0に完全対応するなど、6800シリーズと同等の機能を搭載する。
NVIDIAデスクトップGPU担当プロダクトマネージャのJason Paul氏 |
そのうちの1つが「UltraShadow II」と呼ばれる技術。この技術は、視点からは見えない部分の陰影処理を省くことによってレンダリング性能を向上させるもの。最新の3Dゲームでは複雑な陰影処理を行なうものが増えてきており、NVIDIAデスクトップGPU担当プロダクトマネージャのJason Paul氏によれば、目に見える物体よりも、影のジオメトリの方が複雑だという。
これは8月に発売されたばかりの3Dアクションゲーム「DOOM3」にも当てはまり、GeForce 6600 GTは、1,024×768ドット/32bitカラー/4xアンチエイリアス/8x異方性フィルタリング/High Qualityモードのベンチマークで平均42fpsと、同じセグメントのGeForce FX 5700およびATI RADEON X600 XTに対して2.5~3.5倍近い性能を発揮するといい、同社ではGeForce 6600を“DOOM3 GPU”と呼んでいる。
会場では実際にDOOM3のデモも行なわれた。デモシステムの具体的な仕様やゲームの設定などは不明だが、GeForce 6800シリーズなどに勝るとも劣らないスムーズさで動作していた。
●ビデオエンコード/デコード支援機能
ビデオのエンコード/デコード支援機能もGeForce 6800同様に搭載。「ディインタレース」機能は、TV映像などのインタレース映像を補間してノンインタレース表示する機能。CPUによるソフトウェア方式だと、テキストの縦スクロールなどの場面でこの補間にズレが生じてしまうが、GeForce 6600では発生しないという。
「インバース3:2プルダウン」機能は、1秒あたりのコマ数の違いにより生ずる映像のダブリを補正する機能。映画は1秒24コマで撮影されているのに対し、TVは1秒30コマとなっているため、TVで映画を放映するときは、その差の6コマ分を補間して再生する。そのため、前のフレームの映像が次のフレームの映像にダブって表示されることがある。インバース3:2プルダウン機能では、このダブリをなくす。
このほか、エンコード時の動き予測機能や、WMV9の再生支援機能などを搭載する。これらの機能は、GeForce 6600の製品出荷と同時期に予定されているForceWareのバージョン65で利用可能になる。
ディインタレースなし(左)とあり(右)。差は一目瞭然 | |
インバース3:2プルダウンなし(左)とあり(右)。左の写真では丸の中の映像に残像が表示されている | |
動き予測なし(左)とあり(右)。丸の中の部分の画質に大きな差が出ている |
●SLI機能
GeForce 6600のもう1つの大きな特徴が「SLI (Scalable Link Interface)」に対応する点。SLIは、同じビデオカードを2枚差すことで、処理能力を倍加させる技術。GeForce 6600では6600 GTがこのSLIに対応する。
会場ではGeForce 6800 GTを用いたリアルタイムデモが行なわれた。SLIではGPU同士が通信することで、フレーム内の負荷をリアルタイムで分析し、2つのGPUに描画シーンを分担させることができる。
分散処理を分かりやすくするため、デモでは、フレームごとにどの部分をどちらのGPUが描画しているかを線引き表示し、ポリゴンが多いなど負荷が高い部分を受け持つGPUは狭い面積を描画し、2個のGPU間で最適な負荷分散が行なわれていることが確認できた。
負荷分散などはドライバが自動的に行なう設計となっており、パッチなどをあてなくても既存のソフトで動作するという。性能は、GeForce 6800 GTを2枚搭載したシステムで3,300フレーム程度描画したのに対し、同じ時間で1枚のシステムでは2,200フレーム程度と50%近い向上を示していた。
NVIDIAアジア・パシフィック テクニカルマーケティングマネジャーのOng Tze Lin氏 |
NVIDIAアジア・パシフィック テクニカルマーケティングマネジャーのOng Tze Lin氏は、SLIによる性能向上はまだ最終的な調整段階にあるとしながらも、最大では1.87倍程度に達するという。
なお、SLIを利用するには、原則として同じメーカーの同じ型番のカードが必要となる。物理的インターフェイスはPCI Express x16が2個必要となるが、電気的には片方はx8もしくはx4でも利用可能。実際にデモで用いられたSupermicro製マザーボードの片方のPCI Express x16スロットはx4接続となっている。
なお、SLIのアダプタは現時点ではPCBタイプのものとなっているが、あるカードメーカー関係者によれば、最終仕様は決定しておらず、ケーブル式になる可能性もあるという。また、その関係者はSLIアダプタの登場時期は年末頃になりそうとの見方を示していた。
NVIDIAでは、今後メインストリームにもSLIを発展させていきたい考えで、マザーボードメーカーにも働きかけており、第4四半期にASUSTeKから“ゲーマー向け”SLI対応マザーボードが予定されているほか、各社からもメインストリーム向け製品が登場予定という。ただし、SLI対応のnForceチップセットの予定についてはコメントを避けた。
●製品は9月から順次出荷開始
ビデオカードは、エルザジャパンと日本ギガバイトがGeForce 6600搭載カードを展示した。エルザの製品は9月中旬から後半頃の出荷予定で、256MBメモリを搭載し、価格は現在のGeForce FX 5700と同程度になる見込み。カードは同社独自のデザインのもので、製品版ではファンレスになる可能性もあるという。
6600 GT搭載カードは10月頃の予定で、128MBメモリを搭載し、価格は2万円半ば位の見込み。AGP版製品は11月頃の予定という。
日本ギガバイトは6600 GT搭載品2製品と6600搭載品1製品を9月中旬頃より出荷開始。価格はいずれも未定。6600 GT/256MBメモリを搭載する「GV-NX66T256D」にはDOOM3がバンドルされる。
NVIDIAのGeForce 6600 GT搭載リファレンスカード | エルザジャパンのGeForce 6600搭載「GLADIAC 743」。製品版ではファンレスとなる可能性もある |
日本ギガバイトのGeForce 6600搭載「GV-NX66128D」 | ギガバイト製品のそれぞれの主な仕様 |
□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
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【8月14日】NVIDIA、SLI対応のGeForce 6600 GT
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【6月30日】Supermicro、NVIDIA SLI対応デュアルXeonマザーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0630/supermicro.htm
【6月29日】【海外】NVIDIAがデュアルGPUソリューション「NVIDIA SLI」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0629/kaigai099.htm
(2004年8月23日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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