●中国から米国へ直送
以前、San JoseのFry'sで東芝のノートPCを購入した時もそうだったが、購入したといっても箱をポンと渡されるだけで、紙で包んでくれるわけでもなければ、ヒモをかけてくれるわけでもない。99.9%の客がクルマで買いにきているのだから、必要なら駐車場までショッピングカートに載せて押して行けということだ。それで何も困らないのだが、そのドライなところには毎度感心する。 さて購入したPresario R3140USだが、まず箱を見て驚いた。Athlon 64ノートを買ったハズなのに、箱に貼られているステッカーはAthlon XP-Mなのだ。このPresario R3000ZシリーズにはAthlon XP-M搭載モデルも用意されている。大丈夫かと店員に念を押したが、これで間違いないという。確かにFry'sのプライスタグはAthlon 64になっている。次の日に帰国するわけではなく、返品しに戻ってこれる余裕はあるので、とりあえず持ち帰ることにした。 このAthlon XP-Mロゴ問題がきっかけとなって、箱に貼られた出荷ラベル等を念入りにチェックしたのだが、ここでも凄いことに気づいてしまった。このPresario R3140USは、中国の江蘇省(Jiansu)昆山(Kunshan)の輸出特区にある金春(Compal)の工場から、6台セットのうちの1台として直接Fry'sのSan Marcos店に納品されていたのだ。
江蘇省は上海の少し北にある土地だが、そこをFedExで出荷されたのが5月28日、筆者が購入したのが6月3日だから、工場出荷から消費者の手元に届くまで1週間とかかっていないことになる。サプライチェーンマネージメントというとDellモデルがお手本のように言われるし、実際そうなのだろうが、HPもなかなかやるなぁという感じだ。ただ、いくら今のPCの大半が台湾系企業の中国工場で作られていることが常識になっているからといっても、製造元の名前がモロにばれるようなことは、日本の企業には難しいだろうなぁとも思う。このあたりは文化の差というところだろうか。
ホテルに戻ってさっそく箱を開いてみる。やはり3.5kgもあるノートPC、箱から取り出すだけでズシリとくる。液晶パネルを開いてみると、パームレストにはAthlon 64のロゴが貼ってあった。やれやれである。中国人も米国人も、日本人ほど細かい部分に気を使わないのだと痛感させられた。米国滞在中にこのノートPCで何かをやるつもりはないのだが、初期不良の確認のために起動してみることにする。空港のセキュリティスタッフの前で起動してみせなければならない状況を考えると、バッテリも充電しておいた方が良いだろう。
と、こうして筆者のものとなったPresario R3140USだが、箱ごと持って帰るのはさすがに無理。箱のラベルだけ切り取って、本体と付属品のみを持ち帰ることにした。筆者は機内持ち込みするバックパック1つしか荷物を持たない主義だが、ソフトパックの偉いところは無理が通れば道理が引っ込むこと。滞在中に着た服をパッド代わりにして詰め込んでしまった。本当に何とかなってしまうものだ。 ●とりあえずのベンチマークは上々 日本に帰ってから、ハードウェアのチェックをしてみることにした。スペック自体は基本的に前回表にまとめた通りだったのだが、Webやマニュアルの情報と1つだけ食い違う部分があった。それはメモリの構成だ。Webやマニュアルによると、R3140USには2つのSO-DIMMソケットがあり、1つはユーザーアクセス不可、1つは底面からユーザーアクセス可能になっている。本機の場合、工場出荷状態でそれぞれのソケットに256MB DIMMが1本ずつインストールされていることになっていた。 しかし、実際に調べて見ると、メモリはユーザーアクセスのできないソケットに512MB DIMMが1本インストールされているのみで、空きソケットが1つ残された状態であった。 本来のスペックであれば、メモリの増設はインストール済みの256MB DIMMを取り除いた上で1GB DIMMをインストールした場合の1.2GBが上限となるハズだったのだが、筆者が購入したR3140USの場合1GB DIMMを単純に追加した1.5GBがメモリ増設の上限となる。これは嬉しい誤算だ。 さて、改めて自分の部屋で広げてみると、やはりR3140USは大きい。そして重い。Presario R3140USの上にNECのLaVie Jを載せるとが、2倍以上の重量があるのもダテではない大きさ。もちろんACアダプタも大きい。
インターフェイス類を見てみよう。本体の右側面には、左からスピーカー音量小、同大、ミュート、ヘッドホンジャック、マイクジャック、USB端子と並ぶ。USB端子の右にあるフタ2つの部分は、モデルによってはIEEE 1394とIrDAが提供されるようだが、本機ではこのオプションは採用されていない。 その右側はオプションで提供される拡張ベース用の接続端子。拡張ベースには、USB端子、S/PDIF端子のほか、ネットワーク、モデム、TV出力、シリアルポートといったポートリプリケーター機能に加え、ワイヤレスキーボードとマウスがセットされる。便利そうではあるのだが、米国で買って持ち帰るにはかさばりそうな代物だ(内蔵するスピーカーがAltecブランドらしいが、それで本体内蔵がJBLではでたらめな気がしなくもない)。その右がイーサネット、S端子(TV出力)と続く。 それなりにコネクタが豊富な右側面に対して、背面はDCジャック、パラレルポート、VGA端子、モデムコネクタくらいとグッとさびしくなる。DVD+RWドライブのある左側面になると、PCカードスロットとUSB端子があるくらいのもの。 モデルによってはUSB端子の左側にフラッシュリーダーがつくらしいが、そのモデルは無線LANを内蔵しておらず、微妙なところだ。これだけ大きいノートPCなのだから、「全部入り」でもいいとも思うのだが、お値段のこともあるのだろう。インジケーター類が無線LANも含め、すべてフタ(液晶)を閉じた状態でも視認できるのはグッドだ。
これだけ巨大なノートPCだけに、キーボードはもちろんフルピッチのゆったりしたもの。ただ、筐体の大きさの割にはストローク感が足りない気がする。タッチパッドは上部のハードウェアスイッチでオンオフを切り替えられるもの。感度は普通で、専用スクロールエリアもあるのだが、Windowsが立ち上がるまでタップが効かない仕様なのに最初はとまどった。あまりパッドが好きじゃない筆者としては、マウスをつないだ方がいいには違いない。 とりあえずインストールされていたOSはWindows XP Home Edition(もちろん英語版)。どうせ64bit版のベータOSをインストールするのだから何がプリインストールされていてもいいのだが、とりあえずこの状態で、ちょっとベンチマークテストを実行してみた。実施したテストは、前々回、eMachinesのノートPCを取り上げた時と同じだ。 OSが違うので同じには比べられない(英語版の方がスコア的に有利)が、なかなか悪くないのではないかと思う。特に、このPCを米国在住者なら1,000ドルで入手できることを考えれば(もちろんBestBuyで買わなければならないが)、かなりコストパフォーマンスは高い。 ただ思うのは、Intelのモバイル向けプロセッサがPentium Mになったら(来年前半でMobile Pentium 4は終了らしいが)、AMDのモデルナンバの数字っていったい何なんだろう、ということだ。まぁ、いまさらまた変えても混乱するだけだから、このまま続けた方が良いのだろうが。いずれにせよ、Athlon 64のマシンは入手できた。無事日本に持ち帰ることもできた。そろそろ64bit版OSのテストを始めよう。
□関連記事 (2004年6月21日) [Text by 元麻布春男]
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