NECから登場したLaVie Nは、12.1型ワイド液晶を搭載した小型2スピンドル機で、同じく2スピンドル機であったLaVie M/MEシリーズの後継となる。 LaVie Nは、スロットイン方式のDVDスーパーマルチドライブを搭載するほか、充電が可能なスタンドが付属していることも特徴だ。 ●下位モデルでもDVDスーパーマルチドライブを搭載初代LaVie Nは、女性をターゲットにしたプチノートとして2002年10月に発表された製品である。今回登場した新LaVie Nは、そのコンセプトを受け継ぎながらも、筐体のデザインが一新され、大きく生まれ変わっており、LaVie M/MEシリーズの後継としても位置づけられる。 LaVie Nは、搭載CPUやHDD容量の違いによって、上位モデルの「LN500/9D」と下位モデルの「LN300/9D」の2製品があるが、両製品ともスロットイン方式のDVDスーパーマルチドライブを搭載していることが特徴だ。 今回は、上位モデルの「LN500/9D」を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。ただし、今回試用したのは、量産出荷品ではないため、出荷品では細部が変更されている可能性もある。 LaVie Nは、LaVieシリーズとしては珍しく、フロスティパールホワイトと呼ばれる光沢のある白色と、ミスティブルーブラックと呼ばれる濃青色の2色のボディカラーが用意されている。今回はミスティブルーブラックモデルを試用したが、塗装色は深みのある光沢で、なかなか美しい。 ボディのサイズは298×199~202×37.9mmで、重量は約2kg(コスメティックカバーは含まず)である。同じ2スピンドル機のバイオノートTR(約1.4kg)に比べれば重いが、バイオノートTRの液晶は10.6型ワイドであり、LaVie Nのほうがひと回り大きいことを考えれば納得できる範囲だ。 LaVie Nは、コスメティックカバーと名付けられたカバーが付属していることも面白い。このコスメティックカバーを本体底面に装着することで、底面のネジなどが見えなくなり、外観が非常にすっきりとする。腕に抱えて持ち歩く場合など、他人から見られることを意識したデザインなのであろう。
●1,280×768ドット表示が可能なスーパーシャインビュー液晶を搭載LN500/9Dでは、CPUとしてPentium M 1.50GHzを搭載している(下位モデルのLN300/9Dでは、Celeron M 1.20GHzを搭載)。チップセットは、グラフィックスコア統合型のIntel 855GMEで、メモリは標準で256MB実装している。SO-DIMMスロットが2基用意されており、最大2GBまで増設が可能だ。なお、今回利用した試用機には、1GBのSO-DIMMが装着されていた。 HDD容量は60GB(LN300/9Dは40GB)で、このクラスのモバイルノートPCとしては、標準的なスペックだといえるだろう。HDDは本体を分解せずに、交換が可能な構造になっている(もちろん、交換はメーカー保証外の行為となるが)。 ただし、LaVie Mは、ATI Technologiesのビデオチップ「MOBILITY RADEON 9000」を搭載することで高い3D描画性能を実現していたが、LaVie Nでは、Intel 855GMEの内蔵グラフィックスに変更されたため、3D描画性能は期待できない。 液晶ディスプレイとしては、12.1型ワイド液晶が採用されている。この液晶は、スーパーシャインビュー液晶と呼ばれるもので、表面に光沢がある、いわゆるツルピカ液晶の一種だ。こうした光沢液晶は、輝度やコントラストが高く、DVD-Video再生時などの見栄えがよいのだが、表面への映り込みが気になりやすい。しかし、スーパーシャインビュー液晶では、表面に低反射処理が施されているため、映り込みも少なく見やすい。解像度は1,280×768ドットで、XGA解像度よりも、横が256ドット分広くなっている。
●DVDスーパーマルチドライブ搭載で全ての記録型DVDメディアに対応
LaVie Nのウリが、DVDスーパーマルチドライブを搭載していることだ。最近のノートPCでは、記録型DVDドライブを搭載した製品が増えてきているが、全ての記録型DVDメディアに対応したDVDスーパーマルチドライブを搭載している製品はまだそれほど多くはない。特に、このクラスのモバイルノートPCでは貴重である。 また、メディアのローディング方式として、一般的なトレイ方式ではなくスロットイン方式を採用していることも特徴だ。スロットイン方式では、トレイを引き出さずにスマートにメディアの出し入れが可能だが、通常の12cmメディア以外のメディア(名刺型やハート型など)は利用できない。また、カートリッジ入りのDVD-RAMにも対応していない。 記録速度は、DVD-Rが最大4倍速、DVD+Rが最大2.4倍速、DVD-RWが最大2倍速、DVD+RWが最大2.4倍速、DVD-RAMが最大2倍速、CD-Rが最大16倍速、CD-RWが最大8倍速となっている。 ●Windowsを起動せずにDVDやCDの再生が可能キーボードのキーピッチは19mmで、キーストロークも3mmと十分である。キーの配列も標準的で、不等ピッチもなく使いやすい。キーボードの上には、「ワンタッチスタートボタン」と「おでかけボタン」が用意されている。ワンタッチスタートボタンを押すことで、メールソフトやWebブラウザの起動が行なえる。 おでかけボタンは、電源管理設定を変更するためのボタンで、ボタンを押すごとに3種類の電源管理設定を切り替えることができる。割り当てる電源管理設定は、ユーティリティで自由に変更可能だ。ボタンの左のLEDは、モードに応じて色が変わるようになっている。 ポインティングデバイスとしては、NXパッドが採用されている。クリックボタンは、中央部で2つに分かれているのではなく、左右のボタンが1つに繋がった形になっている。パッドの操作性は良好だが、ボタンのクリック感があまりなく、慣れるまでやや違和感を感じた。なお、小型の光学式マウスが付属しているので、机の上で使う場合はマウスを使うとよいだろう。 LaVie Nでは、Windowsを起動せずに、DVD-Videoや音楽CDの再生が可能な「インスタント機能」を装備していることも特筆できる。A4サイズ以上のフルサイズノートPCでは、こうした機能を装備した製品も増えてきたが、携帯性を重視したモバイルノートPCでは珍しい。 電源オフの状態で、本体右側面にある「QuickStart」ボタンを押すことで、インスタント機能が起動し、光学ドライブにDVD-Videoや音楽CDを挿入すると、自動的に再生が開始される。早送りや巻き戻しなどの操作は、右側面のCD/DVDコントロールボタンで行なえる。電源OFFの状態から再生が開始されるまでの時間を計測してみたところ、DVD-Videoは約29秒、音楽CDは約23秒であった。
●立てかけるだけで充電が可能なスタンドが付属LaVie Nは、インターフェイスやカードスロット類も充実している。左側面には、PCカードスロットとトリプルメモリスロット、IEEE 1394(4ピン)が用意されている。トリプルメモリスロットは、メモリースティック(メモリースティックPROも含む)とSDメモリーカード、xD-Picture Cardを直接挿入できるため、デジタルカメラとの連携に便利だ。PCカードスロットのフタは内部に倒れ込む方式になっているが、トリプルメモリースロットのフタはダミーカード方式である。 右側面には、DVDスーパーマルチドライブとUSBポートが用意されている。また、音量調節用のボリュームも装備している。 本体背面には、USBポート×2、LAN、モデム、外部ディスプレイ、Sビデオ出力、ヘッドフォン/光デジタルオーディオ出力が用意されている。Sビデオ出力端子を装備しているので、家庭用TVに接続して、大画面でDVD-Videoの再生を行なうことも可能だ。 無線LAN機能はIEEE 802.11b/g対応で、右側面に無線LANスイッチや無線LANインジケータが用意されていることも評価できる。
立てかけるだけで充電が可能なスタンドが付属していることも面白い。初代LaVie Nでも、利用しないときに縦置きで収納するためのスタンドが付属していたが、新LaVie Nのスタンドは充電機能を装備しているので(充電機能を利用するには、スタンドにACアダプタを接続する必要がある)、PDAのクレードルと同じような感覚で本体を載せることで、バッテリの充電が行なえる。 また、スタンドに立てかけたまま、液晶を開けられるようになっているので、DVD-Videoやインターネットのストリーミング画像などを見やすいアングルで楽しむことができる。スタンドの下側のボタンを押すことで、液晶部分のラッチのロックが外れるようになっているのも親切だ。 バッテリは11.1V、4,800mAhの6セル仕様で、公称約4.7時間の駆動が可能だ。大容量バッテリは用意されていないが、標準バッテリでこれだけ持てば、一応合格点はつけられるだろう。ACアダプタのサイズは、このクラスのノートPCとしては標準的といえるだろう。
●パフォーマンスも高く、バッテリ駆動時間も十分参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対照用として同じPentium M 1.50GHzを搭載したFMV-BIBLO MG75Gと、Pentium M 1.40GHzを搭載したEndeavor NT300およびEDiCube S150Hの結果も掲載してある。なお、最初に述べたように、今回の試用機はメモリを1GB装備していたため、ベンチマークテストもその状態で計測している。 結果を見ればわかるように、LN500/9Dのパフォーマンスはなかなか良好だ。MoblieMark2002のPerfomance ratingは161と高く、バッテリ駆動時間を示すBattery life ratingの値も226(3時間46分)であり、6セルバッテリ搭載機としては健闘している(EDiCube S150Hのバッテリは8セル仕様)。統合型チップセットなので、3D描画性能は高くはないが、ゲームなどをするのでなければ、十分な性能を持っているといえる。 【LaVie N LN500/9Dベンチマークテスト】
●メインマシンとしても十分活用できるモバイルノート新LaVie Nは、スタイリッシュなボディが魅力のモバイルノートであり、基本性能も高い。インスタント機能の装備や充電可能なスタンドが付属するなど、使いやすさにもこだわりが感じられる。DVDスーパーマルチドライブを搭載しているので、オリジナルDVD-Videoの作成なども簡単に行なえる。 3D描画性能にこだわらないのなら、メインマシンとしても十分活用できるだけのパフォーマンスを持った製品であり、PCを初めて購入するというユーザーにもお勧めだ。 □関連記事 (2004年5月12日)
[Reported by 石井英男]
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