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RADEON X800でHDゲームを実現
~ATIが、国内で新GPU製品発表会を開催

RADEON X800リファレンスカード

5月11日 実施



 ATIテクノロジーズジャパン株式会社は11日、4日付け(現地時間)で発表された最新GPU「RADEON X800」シリーズの国内製品発表会を開催した。発表会では、カナダ本社のシニアマネージャであるトシ・オクムラ氏が製品の概要説明、ならびにテクニカルデモなどを行なった。

ATIトシ・オクムラ氏

 発表されたのは「RADEON X800 XT Platinum Edition」と「RADEON X800 PRO」の2製品で、これまで「R420」のコードネームで呼ばれてきたもの。コアクロック、およびメモリクロックは、X800 XTが520/1,120MHz、X800 PROが475/900MHz。ピクセルパイプラインはX800 XTが16、X800 PROが12となる。

 これ以外の仕様は共通で、バーテックスパイプラインは6本、メモリインターフェイスは256bit GDDR3、製造プロセスは台湾TSMCの0.13μmで、銅配線、Low-k(低誘電体層間絶縁膜)技術を採用している。トランジスタ数は1億6千万。

 オクムラ氏はまず、過去3年間の製品と技術の進化について振り返った。2001年は初代RADEONでハードウェアT&LとDDRを採用、2002年はRADEON 8500でプログラマブルシェーダーとGDDRを採用、2003年はRADEON 9800で浮動小数点演算とGDDR2を採用し、シネマティックレンダリングの道を拓いた。

 そして2004年には、今回発表のRADEON X800で「3Dc」技術とGDDR3の採用によりHD(High Definition)ゲーミングを実現し、新たな躍進をもたらすことを宣言した。

RADEON X800 XT Platinum Editionと同X800 PROの相違点 RADEON X800コア・ダイアグラム ピクセルパイプライン・ダイアグラム
バーテックスパイプライン・ダイアグラム メモリコントローラ・ダイアグラム そのほかの主な特徴

 X800は、パイプラインの増強により、ピクセル性能、バーテックス性能ともに9800 XTの2倍に向上。メモリクロックもGDDR3の採用により、1.5倍に高速化。実際のゲームやベンチマークでも、9800 XTに比べ、X800 PROはおおむね1.5倍、X800 XTは2倍近いスコアを出すという。

 NVIDIAのGeForce 6800シリーズと思われる“他社の次世代製品”との比較では、X800 PROが拮抗する程度、X800 XTが4割程度高性能だという。

 このような高性能化を果たしながらも、Low-kやGDDR3などの採用により、発熱や消費電力をRADEON 9800と同程度に抑えることにも成功しており、キューブ型ケースなど小型のケースにも無理なく収納できるとした。

新製品とRADEON 9800 XTとのベンチマーク比較 同じく、GeForce 6800と思われる他社製品との比較

3Dcの適用例。3Dcを使った左側の方が、首筋や肩当ての凹凸がより緻密に表現されている

 高画質化の機能も追加、改良されており、新機能としてバンプマッピングの高精細化を可能とする3Dcが搭載された。3Dcはバンプマップ用テクスチャの圧縮を行なう技術で、最大1:4にまで圧縮ができる。これによりビデオメモリ容量を圧迫することなく、高精細なバンプマップの表現が可能となる。

 同社は3Dcをオープンな技術として各社に提供を開始しており、「Half Life 2」、「Serious Sam 2」といったゲームが採用を表明している。また、同社はDirectXやOpenGLにも同技術が採用されるようMicrosoftなどに働きかけているという。

 このほか、Anti-Alias面では、キャッシュサイズの増強、アルゴリズムの強化、サンプル精度を2倍にする技術の搭載、ビデオ面では、ピクセルシェーダを利用したMPEG-1/2/4のエンコード/デコード支援機能の実装などがなされている。

 これらの機能や性能を紹介するため、各種テクニカルデモが行なわれた。まず、よりリアルな表現が可能となった、髪の毛、人の肌、ソフトシャドー、被写体深度、宝石のきらめきの表現が個別にデモ。

 続いて、100体以上いると思われる兵士が谷間を一斉に走り抜けるという圧巻のデモが実演された。

 最後には、それらの技術をすべて盛り込んだ短編デモが紹介された。このデモでは、主役の女性キャラクターに40万ポリゴン、シーン全体では400万ポリゴンを使用しており、ディテールの緻密さに加え、カメラのピントの表現などにより、少し前のオフラインレンダリングに勝るとも劣らないレベルとなっていた。

髪の毛のデモ 群衆のデモ X800のイメージキャラクタRuby
【動画1】髪の毛(2.3MB) 【動画2】肌とソフトシャドー(3.9MB) 【動画3】被写体深度(3.8MB) 【動画4】ダイヤモンド(6.2MB) 【動画5】群衆(5.1MB) ※動画はすべてWMV形式

□ATIのRubyデモ動画掲載ページ
http://www.ati.com/developer/demos/rx800.html

 会場には、カードベンダー各社が自社製品を展示。X800 PRO搭載カードについては、すでに秋葉原の店頭に出回っているものもある通り、各社とも今月中旬から下旬にかけて出荷開始予定で、価格は5~6万円程度になる見込みという。

 X800 XTは、ATIからのチップ出荷が5月21日の予定で、カードベンダーからの製品出荷は6月上旬以降となる見込み。価格についてはどこも未定とのこと。

 既存製品については、基本的に現行製品がすべて継続されるが、RADEON 9800 XTのみは、X800シリーズと競合するポジションにあることから、生産終了となるという。

 また、RADEON 9800シリーズには「Half Life 2」のクーポン券がついていたものの、未だゲームがリリースされていないことについて、同社では購入済みユーザーに対し何らかの補償を検討していることが明らかにされた。

ASUSTeKのX800 PRO搭載「AX800 PRO/TD」。ちなみに、写真に写っているCPUクーラーは本邦初公開の同社オリジナル品で、近々販売予定という GIGABYTEのX800 PRO搭載「GV-R80P256D」 MSIのX800搭載デモシステム
他社がワンスロット仕様のリファレンスクーラーを採用する中、異彩を放っていたHISのX800 PRO搭載「EXCALIBUR X800 PRO ICEQ II」。2スロットを占有するNVIDIA式(?)の巨大ヒートシンククーラーを搭載することで、リファレンスクーラーよりチップ温度を11度下げられ、かつ騒音はリファレンスクーラーと同等という。代理店担当者によれば、少数ながら今月中に入荷の可能性があるという 唯一展示された玄人志向のX800 XT Platinum搭載「RDX8XT-A256C」 PowerColorブランドのビデオカードを製造するTulのX800 PRO搭載カードの製品パッケージ。というより、バッグ。実際このバッグに入って、店頭に並ぶという

□ATIテクノロジーズジャパンのホームページ
http://www.ati.com/jp/
□製品情報(英文)
http://www.ati.com/products/radeonx800/
□関連記事
【5月8日】RADEON X800 PRO搭載ビデオカードが発売に、SAPPHIRE製のリテールパッケージ版(AKIBA)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20040515/etc_r8.html
【5月6日】【海外】ATIが次世代GPU「RADEON X800」をWinHECで発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0506/kaigai087.htm
【5月5日】3Dゲームファンのための「RADEON X800X」講座(GAME)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040505/rx800.htm
【2003年10月3日】ATI、国内でRADEON 9800 XT/9600 XTの説明会を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1003/ati.htm

(2004年5月11日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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