[an error occurred while processing the directive]

NEC、コンシューマPC市場でシェア30%維持が目標
~営業利益率3%を目指す

金杉明信社長


 NECは、10月30日、中期成長戦略を発表した。

 金杉明信社長は、会見の冒頭、「今回の戦略は、6月から各事業の積み上げをベースにして策定したものであり、夢やサプライズの要素は少ない」とし、「しかし、現実的なものであり、達成には確信を持っている」と切り出し、地に足のついた成長戦略であることを強調した。

 また、パソコン事業についても言及し、同事業部門における中期経営目標として営業利益率3%、国内コンシューマPC市場における市場シェア30%維持を目標に掲げた。パソコン事業の営業利益率目標を明確に掲げたのは、同社社長として、金杉社長が初めてのことだといえる。

 今回発表した中期成長戦略では、営業利益率7%、ROE15%、D/Eレシオで1.0(グロス)という数値目標を掲げ、これを3~4年で達成することを示した。

 西垣浩司前社長(現副会長)の構造改革を中心とした後ろ向きな戦略から、金杉体制の成長戦略への転換を明確に示したものだといえる。金杉社長も、「構造改革は一段落したと考えている。今年は、来年度以降の反攻の準備を進めてきた。幸いにも、百年に一度ともいえる通信ネットワークの変化がすすみ、ネットワークのインフラが整備されるタイミングと合致し、ここに新たな事業チャンスが巡ってきている」と、今回の成長戦略を位置づけている。

PC事業の強化 NECの中期成長戦略 構造改革の進展

 このなかでは、日本市場を軸とした事業展開を優先させ、確実な収益確保と安定成長を狙うことを示した。

 具体的には、SIサービスをベースにした安定収益基盤の確保としてこの分野で営業利益率10%以上の確保を推進するほか、ITとの融合戦略によるネットワーク事業の拡大としてブロードバンドソリューション、社会インフラソリューション、モバイルインフラソリューションの3つの分野からの展開。そのほか、携帯電話の第3世代への移行を踏まえたリーディング企業としての地位強化、ソリューション事業を支えるプロダクト事業の再強化などを進める考え。

 プロダクト事業の再強化では、「サーバーなどのプロダクトはSIを支えるプラットフォームであり、オープンミッションクリティカルの世界では、サーバーの部品の部分にまで対応していけるかどうかが鍵になる。プロダクトを自社で開発し、部品のところまで入っていける点は当社の大きな強みになる」とする一方、「徹底した原価低減をすすめ、年間3,000億円を上回るコスト削減を進める」とした。

 こうした具体的戦略を、国内での事業基盤の確立を先行させた上で、海外へと横展開する考え。

 「日本市場は、コンシューマ分野を先導役に、世界に先駆けたブロードバンド、モバイル市場である。ここを軸にした基盤を確立することは極めて重要だ。私は臆病なので、なんでもかんでも海外でやるのではなく、国内に立ち上げた当社の強みを発揮できるもののなかから、海外に通用する強みを横展開していく」と、冗談を交えながら語った。

 現在、ITソリューション事業は1兆1,000億円、ネットワークソリューション事業は1兆7,400億円、半導体ソリューション事業は9,400億円だが、それぞれ年率3%、9%、5%の成長率を目指すという。

 また、海外市場に関しては、重点市場として中華圏市場を掲げ、この市場に対しては、モバイル3GやITネットワークソリューション事業を推進することで、今年3月には22%だった海外売上比率を、中期目標では30%にまで引き上げる計画だ。

 一方、パソコン事業に関しては、「これまで赤字を垂れ流していた事業だったが、コア技術による競争差別化、グローバルなSCMの構築、コンタクトセンターの一元化などによるCS、品質の強化によって、中期目標として営業利益率で3%を狙え、といえるところまできている」とし、「今年末には1.数%の営業利益率になるだろうが、その倍をやれ、と号令をかけた」とした。

 シェアナンバー1、スピードナンバー1、CSナンバーの3つを追求し、「シェアに関しては、国内のコンシューマ市場で30%を維持してほしいと要望した。直接の担当者は、もう少し高い数字を目標としたいだろうが、その代わり、SoundVuや燃料電池、水冷といった付加価値の高い商品を中心にやってほしいと考えている。どこかのようなブランドのない製品の領域に入っていくつもりはない」としている。

 また、「商品開発のスピードとサプライチェーンを活用し、CSでもトップでいければ、営業利益率3%はいける。それが実現できるスリムな事業体質にはなっている」と話した。

 金杉社長がここまでパソコン事業に言及するのは初めてのことだが、「ユビキタス社会のなかで、パソコンはメジャーなクライアントとして生き残ると判断している。形は変わるかもしれないが、その可能性は高い。ユビキタス時代のソリューション・サービスに向けて、このカスタマベースを持っていることは重要」として、パソコン事業が、同社の中期戦略においても、重要な役割を担うことを訴えた。

 また、携帯電話事業に関しては、「パソコンと並ぶ、もうひとつの国内でのプロダクト事業の柱」と位置づけ 「国内でも年率6%の成長を描き、製品開発力の強化、ソフト開発体制の強化、生産プロセスの革新によって、リーダー企業として、3Gへの移行をドライブしていきたい」とした。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0310/3002.html
□関連記事
【10月23日】NEC、中間期連結決算は増収増益
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1023/nec.htm
【3月28日】NEC、金杉新社長体制が本日付けでスタート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0328/nec.htm

(2003年10月30日)

[Reported by 大河原克行]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.