会期:9月16~18日(現地時間)
IDF2日目の基調講演のテーマは、モバイルとエンタープライズ。このうち、モバイルについては、アナンド・チャンドラシーカ副社長と、ロン・スミス上級副社長の二人が交替で講演を行なった。 ここでは、Wireless Communications and Computing Groupを率いるロン・スミス上級副社長のXScaleを中心とした基調講演をレポートする。モバイルPCをテーマとしたチャンドラシーカ氏の講演については別稿を参照されたい。 ●3つの技術を導入したBulverde
スミス上級副社長は、XScaleを採用した携帯電話をいくつか紹介した後、「次に来るプロセッサ」としてコードネーム「Bulverde」と呼ばれる新プロセッサを紹介した。 なお、今回の発表は次世代プロセッサの技術発表となっており、実際に型番がついた製品の発表は、来年ぐらいになるという。ちなみに、Bulverdeは“ブルベルデ”と発音するようだ。 Bulverdeには、大きく3つの機能がある。 1. Intel Wireless MMX technology Intel Wireless MMX technologyは、PC用プロセッサに搭載されているMMXとSSEの一部の整数SIMD命令をXScale用に変更したもの。1つの命令で複数データを同時処理できるため、画像のエンコード/デコードなどのマルチメディア処理を高速に実行できる。 Wireless MMXについてスミス上級副社長は、「低消費電力で高速なマルチメディア処理を提供できる」ものとし、さらに「PC用に作られたMMX/SSE対応のゲームやマルチメディアアプリケーションが携帯電話やハンドヘルドに簡単に移植できる」と説明した。 従来のXScaleの命令セットでは、MMX/SSEを使ったアプリケーションを移植することはできても、実用的な速度で動かすことは難しく、画面表示のクオリティを落とすような形での移植しかできなかった。同氏によれば、「Xboxのようなゲームが携帯電話にも移植できる」とし、「MotoGP」と思われるオートバイゲームをデモした。 「Intel Quick Capture (IQC)」は、CMOSイメージセンサーを簡単に接続できるインターフェイスと、動画/静止画取り込み用の関連機能からなるもの。これにより、携帯電話やPDAにカメラ機能を安価に統合することが可能となる。 単にイメージセンサーの接続だけでなく、色空間の変換や、プレビュー機能などを実現するハードウェアが内蔵されおり、前述のWireless MMXと併用することで、動画付き通話(いわゆるTV電話)なども実現可能。この機能を使うことで「フルモーションのビデオと最大4Mピクセル(400万画素)までの静止画」を扱えるという。 日本では、カメラ付き携帯電話は珍しくないが、欧米ではカメラ付きの携帯電話は数えるぐらいしかない。それでも最近では、NOKIAやソニー・エリクソンなどが、カメラ付き携帯電話のラインアップを充実させつつある。 その背景には、ようやく欧米でパケットベースの高速通信を可能にするGPRSやEDGEが利用できるようになってきたことがあり、これらの高速データ通信を生かすためにも、画像付きメールといったアプリケーションが必要になってきたのである。 最後のIntel Wireless SpeedStep technologyは、高度な電力管理を実現するためのもの。スミス上級副社長よれば、「ノートPC向けのSpeedStepと似たようなもの」であり、「これによりパフォーマンスと電力消費をダイナミックに最適化できる」という。 その後、スミス上級副社長は、9月に発表したGSM用の高速通信規格であるEDGEに対応したPXA800EFについて簡単に説明。現行の世界各国の携帯電話規格への対応を示すとともに、現在W-CDMAへの対応版を開発中であることを明らかにした。 なお、Bulverdeについては、別途セッションなどの資料を交え、詳細なレポートを行なう予定である。
□IDF Fall 2003のホームページ(英文) (2003年9月18日) [Reported by 塩田紳二]
【PC Watchホームページ】
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